コラム

日本語教師は英語力があった方が良い?あるとどんな時に役立つ?

2023.06.23

「日本語教師には英語力は必要?」
「日本語教育における英語の重要性とは?」
「英語圏で日本語教師として働くには?」

日本語教師に求められる英語力について、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
日本語教師として働くために、英語力が必須であるケースが一定数存在します。

本記事では、日本語教師に英語力が必要なケースや英語圏で日本語教師として働く場合の働き方などについてご紹介します。

日本語教師に英語力は必要?

「日本語教師は英語が上手なんでしょう?」

特に、教える学習者の母語が英語である場合、一度は聞かれる質問の1つでしょう。
しかし、日本語教師であるからといって必ず英語力が必要とは限りません。
英語力が必要な場合とそうでない場合について以下のようにまとめました。

<関連記事>日本語教師になるにはどうすればいい?必要な条件や方法を解説

英語力が必要ない場合

英語が母語であっても、日本での学習をする場合や日本での生活が長い外国人に教える場合、学習者は簡単な日本語を理解している人も少なくないため、学習者が理解できる日本語を教師が判断し、やり取りの中で話し方や使用する言葉を調整することで、コミュニケーションを図ることが可能です。

英語力が必要な場合

海外で日本語教師として働く場合やインターナショナルスクールで教える場合には、英語力があると良いでしょう。
なぜなら、特に海外で働く場合は、英語やその国の言語がある程度理解できると、日常生活が送りやすくなるからです。
また、これはインターナショナルスクールで働く際にも共通することですが、授業時間外に学習者とコミュニケーションを取る手段としても英語は役に立ちます。

日本語の授業では、英語やその国で用いられている言語を用いて教える「間接法」を採用する海外の教育機関もあり、多くの国で公用語として話されている英語が話せなければ授業が行えない場合もあるでしょう。
そのため、教育機関によっては一定の基準以上の英語力を求められる場合があります。

英語力があると就職に有利?

先ほども述べた通り、海外の教育機関に就職したり、インターナショナルスクールで日本語を教える仕事に就いたりする場合、英語関連の資格をもっていることはアピールポイントになります。

TOEICやTOEFL、iELTsのスコアや英検取得といった客観的指標において自分の英語力を証明することも効果的であるほか、海外に在住していた期間がある、あるいは、海外でボランティア経験があり、その際に英語を使用していた、などの経験もアピールポイントになるでしょう。

日本語教育が盛んな英語圏の国

ここまで、日本語教師に求められる英語力の重要性について紹介しましたが、どこの国で、どのような教育現場で働く場合に英語力が求められることが多いのでしょうか。
ここからは、日本語教育が盛んな英語圏の国について紹介します。

日本語教育が盛んな国として、次の2つの国が挙げられます。

  • ・米国
  • ・オーストラリア

米国

2021年に実施された国際交流基金による「日本語教育機関調査結果」によれば、2021年時点における米国の日本語学習者数は161,402人で、前回の調査(2018年、166,905人)より3.3%減少したものの、日本語学習者数が多い国の1つといえます。
教育機関数、学習者数は2018年より減少しましたが、日本語教師数4,109人で、2018年より増えました。

アメリカの日本語教育について、もっと知りたいという方はこちらの記事もご覧ください。

<関連記事>米国で日本語教師は需要がある?働き方や、日本語教師になるための方法を解説

オーストラリア

同じく2021年の国際交流基金の調査で、オーストラリアは2018年に続き日本語学習者数が全体の4位で、大洋州で最大の日本語教育国です。
小・中学校で第二外国語として日本語コースが開設されているケースも多く、学習者のほとんどは学校教育で日本語を学んでいます。
オーストラリアの初等・中等教育は各州政府の所管で、各々独自にカリキュラムを設定しています。そのため、教育形態や規模に差はあるものの、日本語学習は全体的に活発に行われています。

学校教育以外では、一部の民間の語学学校や各地域のコミュニティ・カレッジで一般成人を対象とした日本語講座が開かれています。

(参考:国際交流基金 - 2021年度 海外日本語教育機関調査

英語圏における日本語教師の活躍の場

ここまで、英語圏において日本語教育が盛んな国について紹介しました。それでは、英語圏で日本語教師はどのような場所で活躍しているのでしょうか。

  • ・学校
  • ・J-LEAP

学校

まずは、小・中学校や高校、大学などの教育機関です。

先ほども述べましたが、オーストラリアの日本語学習者の多くは学校教育の中で日本語を学んでいます。
また、米国でも日本語教育の主流は学校教育です。そのため、小・中学校などの教育機関で活躍している日本語教師数が多いと言えるでしょう。教育機関以外では、あまり多くありませんが、民間の語学学校で日本語講座が開設されているケースもあります。

米国やオーストラリアの学校で働くときには、その教育機関で求められている資格を確認しましょう。
例えば、米国の公立校では、州の認める教員免許が必要となりますが、資格要件は州ごとに異なります。反対に私立校では教員免許は必要ないものの、学校の方針で教員免許の取得が奨励されている学校もあります。

オーストラリアの初等・中等教育機関において正規教員として日本語を教える場合は、教員資格を得るために、「オーストラリアの大学において、教育学(Bachelor of Education)及び専門分野の学士課程(フルタイムで4年のコースで、入学前に初等か中等教育かを選ぶ必要がある)を同時に修了」などの3つの選択肢があります。
この「教員資格」とは、初等・中等教育の教員資格をさします。
州ごとに教員登録の要件が異なるため、詳細は各州の教員登録要件を参照するようにしてください。

(参考:国際交流基金 - オーストラリア(2020年度)


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J-LEAP

J-LEAP(Japanese Language Education Assistant Program)は、国際交流基金によって実施されている「米国若手日本語教員(J-LEAP)派遣事業」です。
日米間の人材交流を目的に、現地の機関に対する若手日本語教員の派遣が行われています。

アシスタントティーチャー(AT)として、アメリカの日本語教育現場を支える役割を担っています。
アメリカの受入機関(小・中学校、高校)でリードティーチャー(LT)のもと、派遣校における授業サポートや、その地域での日本語教育や日本文化促進理解のためのさまざまな活動を行います。
派遣前の研修や赴任直後の着後研修など、研修プログラムも充実しています。

2020年10月時点では合計14名の指導助手(Assistant Teacher)が派遣されていました。
2023年度の公募はすでに終了しましたが、さらに詳しく知りたい方は、「J-LEAP」で検索してみてください。

(参考:j-leap_flyer.pdf / 国際交流基金 - 米国若手日本語教員(J-LEAP)派遣事業

日本語教師には英語力も必要

日本語教師には、日本語教育に関する知識だけでなく、外国人である学習者と円滑なコミュニケーションを取るために英語力が必要なケースが多くあります。

日本語教師を目指す方は、働く国や教育機関で求められている英語力、学習者とコミュニケーションを取るために必要な英語力も養いながら、日本語教師になるための知識・スキルを身につけましょう。

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