日本語教師養成コラム
教育訓練給付金で日本語教師養成講座はお得に受けられる?
公開日:2025.03.26 更新日:2025.03.26

監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
日本語教師の国家資格を取得するには大きく2つの方法があり、
独学で勉強し、基礎試験から応用試験、実践研修までを済ます方法と、
文部科学大臣に認定された日本語教師養成講座を受講し、応用試験のみの合格で登録日本語教員になる方法があります。
しかし「費用が高いので、受講するか迷っている」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときに活用できるのが、教育訓練給付金です。
本記事では、教育訓練給付金の概要や具体的な申請方法、活用する際の注意点を解説します。
教育訓練給付金の申請を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
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教育訓練給付金とは
教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が定めた教育訓練を修了した際、
その訓練にかかった費用の一部が支給される制度です。
このとき支給される給付金を、"教育訓練給付金"といいます。
日本語教師養成講座も、厚生労働大臣が指定する教育訓練の一つであるため、
教育訓練給付制度に申請すれば給付金を受け取れます。
ただし、支給の対象となるには、後述する条件を満たしていなければなりません。
また、教育訓練は、そのレベルに応じて"専門実践教育訓練・特定一般教育訓練・一般教育訓練"の3種類に分けられており、
給付率がそれぞれ異なります。
日本語教師養成講座は特定一般訓練、もしくは一般教育訓練に該当するので、
給付率は受講費用の50%か20%であり、上限は25万円または10万円です。
<関連記事>教育訓練給付金とは?活用できる国家資格とともに解説
教育訓練給付制度の対象となる条件
教育訓練給付金の支給対象となる条件は、
定められた講座が始まる日に雇用保険に加入しているかどうかで変わります。
講座開始日時点で雇用保険に加入している場合は、
加入期間が1年以上であれば対象です。
この支給要件期間とは、同一事業主のもとで被保険者として雇用されていた期間のことを指します。
つまり、雇用保険に加入したうえで1年以上同じ職場で働いていれば、
支給要件期間の基準は満たしているというわけです。
また、転職していたとしても、雇用されていなかった空白期間が1年以内であれば、
転職前と転職後の支給要件期間を合わせて算出できます。
一般教育訓練の講座が始まる日に雇用保険に加入していない場合は、
被保険者でなくなってから1年以内であり、過去に支給要件期間が1年以上あった方が対象です。
そのため、離職から1年以上経っている方や1年未満で離職した方、
雇用保険に加入した経験がない方は、教育訓練給付制度の対象とはなりません。
なお、過去に教育訓練給付金の支給を受けたことがある方は、
講座開始日に雇用保険に加入している方もそうでない方も、支給要件期間の条件は3年以上となります。
このケースの支給要件期間は、過去に教育訓練給付制度を利用して受けた教育訓練の開始日から数えたものです。
雇用保険に長年加入していたとしても、前回の訓練開始日から3年以上経っていない場合は対象外となる点は押さえておきましょう。
<関連記事>転職時に役立つ教育訓練給付制度とは?その詳細を徹底解説
教育訓練給付金を受給したほうがお得に日本語教師養成講座を受講できる?
教育訓練給付制度の条件を満たしている方であれば、
この制度で給付金を受給したうえで日本語教師養成講座を受講したほうがお得です。
前述しましたが、教育訓練給付制度を利用すれば、
受講費用の50%(上限25万)もしくは20%(上限10万)にあたる額の給付金を受け取れます。
日本語教師養成講座の平均費用は、入学金や教材費なども含め、
おおよそ50万~60万円といわれていますので、上限額まで支給されるケースが多いといえます。
<関連記事>日本語教師になるための資格取得費用を抑える方法と金額の目安
教育訓練給付制度を活用して日本語教師養成講座を受ける手順
教育訓練給付金を受け取るには、所定の手続きを踏まなくてはなりません。
申請手続きの際に手間取らないためにも、ここで詳しい手順を確認しておきましょう。
手順①支給対象となるか確認する
教育訓練給付制度の申請を検討する際は、日本語教師養成講座を申し込む前に、
まずご自身が支給対象となっているか確認しておいたほうがよいでしょう。
離職期間が長い方や転職回数が多い方の場合は、支給要件期間を満たしているのか、
正確に算出するのが難しいケースがあります。
支給対象となっているかどうかは、ハローワークにて照会可能です。
実際に講座を申し込んでから対象外だったと判明するような事態を避けるためにも、
事前にご自身の支給要件期間を調べておいたほうが安心です。
手順②教育訓練給付制度の利用を申し出る
教育訓練給付制度を申請するには、講座修了後にスクールから発行される教育訓練修了証明書や、
教育訓練経費の支払いを証明できる領収書の提出が必須です。
そのため、スクールに必要書類を用意してもらえるよう申し出たうえで、講座を受けなくてはなりません。
スクールによっては、積極的に教育訓練給付制度の案内をしていないケースもあるため、
ご自分で情報収集したうえで申し出ることを推奨します。
手順③必要書類を受け取る
領収書と教育訓練修了証明書を受け取り、申請まで保存しておきましょう。
詳しくは後述しますが、教育訓練給付制度の申請にはスクールから受け取る書類以外にも必要なものがありますので、
ほかの書類の準備も同時に進めておきましょう。
手順④必要書類を揃えて教育訓練給付制度に申し込む
書類が手元に揃い次第、ハローワークで教育訓練給付制度に申請します。
申請する際は、以下の書類が必要です。
【教育訓練給付制度の申請に必要な書類】
- ・教育訓練給付金支給申請書
- ・教育訓練修了証明書
- ・教育訓練実施者が発行した領収書
- ・教育訓練経費等確認書
- ・本人・住所確認書類
- ・個人番号・身元確認書類
- ・返還金明細書(領収書発行後に教育訓練実施者から費用の一部が還付された場合のみ)
- ・給付金を受け取る口座の通帳またはキャッシュカード
- ・委任状(代理人による手続きの場合のみ)
また、ハローワークへの申請には、講座修了日の翌日から1か月以内という期限が設けられています。
本人または代理人が来所するか、電子申請あるいは郵送により申請できるため、必ず期限内に手続きを済ませてください。
教育訓練給付制度を利用する際の注意点
教育訓練給付制度の利用にあたっては、
あらかじめ気をつけておかなければならないことがあります。
以下では、教育訓練給付制度を利用する際の注意点を詳しく解説します。
注意点①公務員や自営業者は対象にならない
雇用保険に加入していない公務員や自営業を営む方は、
教育訓練給付制度の対象とはなりません。
ただし、雇用保険に加入して働いていた過去があった場合は、
離職してから1年以内であれば対象となる可能性があります。
事前にハローワークにて支給要件期間を調べ、
支給対象となる要件を満たしているか確認しておくと確実です。
注意点②給付金は講座修了後に支給される
教育訓練給付金は、日本語教師養成講座の修了後に申請したうえで支給されます。
そのため、講座に申し込んだタイミングで受講料や教材費などを支払うスクールでは、
一度費用を自分で負担しなければなりません。
また、講座を途中でやめてしまった場合も教育訓練修了証明書が発行されないので、
給付金は受け取れなくなります。
注意点③必ずハローワークに確認しておく
教育訓練給付制度を申請するのであれば、たとえ支給要件期間の基準を明らかに満たしていたとしても、
一度ハローワークに相談しておくことをおすすめします。
ハローワークでは、支給要件期間にくわえて、教育訓練給付制度と併用できる失業保険や傷病手当の詳細、
厚生労働大臣が指定した教育訓練に該当する講座の確認が可能です。
教育訓練給付制度をはじめとする、さまざまな支援制度を最大限活用するためにも、
ハローワークへの確認は必ず済ませておいたほうがよいでしょう。
教育訓練給付金制度の対象となる講座
教育訓練給付制度の対象となる日本語教師養成講座は、数が限られています。
そのため、事前に対象講座であることを確認したうえで選びたいところです。
以下では、教育訓練給付制度の対象となる講座の一例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
<関連記事>日本語教師養成講座420時間カリキュラムの内容や費用について
ルネサンス日本語学院「登録日本語教員養成・実践研修コース」
ルネサンス日本語学院の登録日本語教員養成・実践研修コースは、
国家資格「登録日本語教員」を応用試験のみで目指せるコースです。
また、基礎となる理論科目をeラーニングで学習できることが魅力で、
独自の顔認証システムにより、テストまで自宅で実施することができます。
ご自身のペースで進められるeラーニングであれば、修了までのスケジュールを自由に調整できます。
そのため、学習速度を上げて修了までの時間を短縮することも、仕事の合間にゆっくり学んでいくことも可能です。
また、対面で指導法を学ぶ実践科目と実践研修(教育実習)は、
平日の夜に週2回通うコースか、土曜日の朝・昼を利用して週1回通うコースのいずれかを選択して受講できます。
また、その他の対象講座は、厚生労働省のHPをご確認ください。
当社プレスリリース:https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/
※現在は「登録日本語教員養成・実践研修コース」となっております。
電話でのお問い合わせ・ご相談はこちら
教育訓練給付制度の対象にならなかった場合はどうすればいい?
高い費用がかかる日本語教師養成講座の受講には、教育訓練給付制度を活用したいところです。
しかし、支給要件や厚生労働大臣が指定した講座などを確認した結果、
教育訓練給付制度の対象から外れていたことが判明し、お困りの方もいらっしゃるかもしれません。
そのようなときは、以下の方法で、費用を抑えられるよう工夫してみてはいかがでしょうか。
ここでは、教育訓練給付制度の対象にならなかった場合にできる対処法を紹介します。
給付条件を満たしてから講座を受ける
教育訓練給付制度の対象から外れた原因が支給要件期間の不足のみであれば、
条件を満たせるまで雇用保険に入りつつ、講座の申し込みを先送りにするのも一案です。
支給要件期間の条件を満たすには、
初めて教育訓練給付金を受給する方は1年、2回目以降の方は最短でも3年かかります。
ご自身のライフプランも考慮したうえで、検討するとよいでしょう。
キャンペーンや特典を利用する
多くのスクールでは、
説明会の参加後に申し込むと受講料が割引されるキャンペーンや、友人紹介の割引特典などを実施しています。
このようなキャンペーンや特典を利用することでも、日本語教師養成講座の費用は抑えられます。
キャンペーンや特典の内容は、スクールごとにさまざまです。
同じスクールでも時期によって変わることがあるため、
ある程度の期間をかけて講座を探す際は、こまめにチェックしておくとよいでしょう。
最新情報を得るためには、
スクールの公式サイトを確認する、あるいは資料請求をするなどの方法をおすすめします。
複数のスクールを比較する
日本語教師養成講座の費用を少しでも抑えたいなら、
複数のスクールを比較して、価格の安い講座に申し込んでみてはいかがでしょうか。
スクールによっては、受講料のみ表記されており、別途で入学金や教材費がかかるケースもあります。
受講にあたっては入学金や教材費も必要な費用となりますので、
表記された金額が総額であるかは調べたうえで比較するのが賢明です。
教育訓練給付金を受け取って日本語教師養成講座をお得に受講しよう
今回は、教育訓練給付制度の概要や申請方法、活用する際の注意点を解説しました。
教育訓練給付制度を活用すると、
日本語教師養成講座を修了した際に給付金が受け取れます。
申請するには条件を満たす必要がありますが、対象となっている場合は活用したほうがよいでしょう。
なお、教育訓練給付制度は、対象となる講座も限られています。
事前にハローワークで対象講座を確認したうえで、スクールを選ぶと安心です。
ルネサンス日本語学院では、教育訓練給付制度の対象となる"登録日本語教員養成・実践研修コース"を開講しています。
国家資格「登録日本語教員」を目指す方で、教育訓練給付金の申請を検討しているのであれば、ぜひお問い合わせください。
日本語教師養成講座ならルネサンス日本語学院にぜひお問い合わせください。
この記事の監修者

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。