コラム

日本語教師とはどんな仕事? 需要や向いている人の特徴を解説

2023.04.14

日本語を教える女性

日本語は世界でも習得が難しい言語の一つと言われていますが、日本の文化を好んで来日したり、日本語を学んだりしている人は世界中にいます。
本記事では、日本語教師の仕事の内容や需要、日本語教師に向いている人の特徴などを詳しく紹介していきます。
日本語教師を目指している方は必見です。

日本語教師とは

日本語教師は、日本語を母語としない人に日本語を教える教師です。
しかし、日本語教師の性質は、同じく日本語を教える国語教師とまるで違います。
日本語教師は、「外国語として日本語を教える」仕事です。

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日本語教師の仕事内容

日本語を母語としない人に日本語を教えることが、日本語教師の主な仕事内容です。
しかし、教えることは日本語にとどまりません。
日本の文化、慣習、ビジネスマナーなど、日本語学習者にとって必要なことも同時に教えていくのです。

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日本語教師の需要は?

日本語教師の需要は、急激に増えているのをご存じでしょうか。
2023年2月21日、政府は日本語教師の国家資格「登録日本語教員」の資格を新たに創設することを閣議決定しました。2023年6月頃までに法案成立見込み、2024年4月施行となる予定です。(2023年4月現在)
日本語教師の需要が高まっている理由としては、主に以下の2つが挙げられます。

  • ・在留外国人の増加 
  • ・AIに代わることができない

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<在留外国人の増加>

まず紹介する日本語教師需要の理由は「在留外国人の増加」です。
2019年、日本国内における労働人口割合の減少を危惧した日本政府は「出入国管理及び難民認定法」を改正。 外国人労働者の受け入れ体制を強化しました。
これにより、留学生や就労者の数が増加し、外国人に向けた日本語教育の見直しが実施されることとなりました。

在留外国人数の推移を見ていきましょう。
「令和4年度末現在における在留外国人数について」(出入国在留管理庁, 2023年3月24日令和4年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp))によると、2019年の在留外国人数は2,933,137人で過去最高を記録しましたが、新型コロナウイルスの影響により、2020年(2,887,116人)、2021年(2,760,635人)ともに在留外国人数は減少しました。

しかし、2022年には3,075,213人と、過去最高だった2019年の総数を上回り最高記録を更新しました。
それに伴い、今後は留学生や就労者はもちろん、日本で生活をする生活者を対象にした日本語教育も広く行われるようになるでしょう。

<AIに代わることができない>

2つ目の理由は「現状のAIでは代替が不可能な仕事だから」です。
すべての自然言語は、人間の心理と密接な関係があります。言葉や文脈の背景には、個々人の経験や心理が内在されていることはもちろん、その地域の文化や慣習も含まれています。

たとえば、ビジネス日本語における「空気を読んだ言動」や、相手との関係性によって使用する表現を変える「敬語」も日本語の特徴の一つと言えるでしょう。 まだまだAIには難しい領域かもしれません。
このような理由からも、日本語教師はAIに代わることができない仕事であり、需要が高まっているのだと予想されます。

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日本語教師の就職先

ここからは、日本語教師になったあと、就職先にはどんな場所があるのか見ていきましょう。
さまざまな場所で活躍しているのが日本語教師です。
国内と海外に分けて、それぞれ紹介していきます。

<国内>

  • ・日本語学校
  • ・大学の留学生別科
  • ・外国人労働者を採用している企業
  • ・外国人技能実習生の研修センター
  • ・地域の日本語教室

国内の就職先といえば、日本語学校が最初に思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、それ以外にも多くの場所で日本語教師は活躍しているのです。

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<海外>

  • ・世界各国の日本語学校
  • ・日本語が選択科目として存在する教育機関
  • ・日系企業
  • ・技能実習生の送り出し機関
  • ・公的機関による海外派遣(青年海外協力隊、国際交流基金など)

海外にも、留学準備のための日本語学校が存在します。ほかにも「日本へ渡る人へ日本語を教える場面」があるところは、同様に就職先として挙がるでしょう。
また、私たちが第二外国語としてドイツ語や中国語を学ぶように、外国語として日本語を学べる大学も、日本語教師の就職先になります。

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日本語教師のメリット

次は、日本語教師のメリットをみていきましょう。
ここでは、以下の3つを紹介します。

  • ・視野が広がる
  • ・やりがいがある
  • ・人生経験をそのまま活かせる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

<視野が広がる>

日本語教師はさまざまな国の人と接します。もちろん、学習者によって価値観も常識も大きく異なり、そういった環境で働くことは柔軟さや広い視野の獲得に繋がるでしょう。
また、学習者は、日本人では気づかない日本語の不思議を感じるなど、日本人が日本語について新たな発見をする機会にもなります。

<やりがいがある>

やりがいをどこに感じるかは人によって違います。
しかし、日本語教師は常に学習者とともにあります。日本語を学びたい人たちが期待を胸に、教師の目の前にいるのです。
教師はそんな学習者が必要な日本語や日本の文化を教えるのです。
文明が発展するにつれ、人と人が直接顔を合わせなくても成立する仕事が随分と増えました。だからこそ、 目の前の人を笑顔にするという単純な幸せを、日本語教師はより身近に感じることができるといえるでしょう。

<人生経験をそのまま活かせる>

常勤講師、あるいは非常勤講師として週1~2日働いたり、オンライン日本語教師として働いたり、ライフスタイルに合わせた働き方を選べるのも本語教師のメリットの一つです。そんな日本語教師はセカンドライフの仕事としても人気が高いです。
日本語教師の仕事は、日本語を教えるだけではありません。一人ひとりの仕事の経験、学習した内容、文化や慣習など、これまでの人生において得てきたすべてが、日本語教師としての強みとなるのです。

日本語教師のデメリット

では、日本語教師にデメリットはないのでしょうか。

<非常勤講師の場合>

さまざまな求人情報を見ると、非常勤講師の1コマ(45分1コマの場合が多い)当たりの給与は1,800円~2,000円程の教育機関が多く、常勤講師に比べると収入面は不安定になりがちです。そのため、複数の教育機関や他の仕事と掛け持ちをする場合も多いです。
また、非常勤講師から常勤講師に必ずなれるという保証はありません。非常勤講師から常勤講師になるまで平均2年近くかかる場合もあるようです。

<常勤講師の場合>

常勤講師だから楽かというとそうでもありません。非常勤講師とは業務内容が異なり、授業以外の業務の種類が増えます。
たとえば、学生の生活面のサポートや学校行事の企画・運営など、学校を運営するにあたり必要な業務を任されることも多いです。

<日本語が「好き」だけでは務まらない>

日本語教師の仕事は「日本語を教える」ことにとどまりません。日本の文化・慣習を届けることが好きだから、国語が好きだったから、本を読むのが好きだからといって、日本語教師に向いているというわけではありません。
日本語を外国語としてとらえること、日本という国そのものの広い知識が必要で、そこを誤解している人にとっては大きな壁となるかもしれません。

日本語教師に向いている人の特徴

最後に、日本語教師に向いている人の特徴を紹介します。
みなさんはどんな人が日本語教師に向いていると思いますか?

<日本に関するさまざまなことを伝えたい人>

日本の文化や日本語のおもしろさ、日本について多くの人に伝えたい。
日本語教師を目指す多くの人がこれに該当するのではないでしょうか。
この姿勢は日本語教師の仕事そのものであるといえるので、このような気持ちがある人は日本語教師に向いていると言えるでしょう。

<異文化に興味があり、さまざまな国の人とコミュニケーションを取りたい人>

異文化が好き、興味があるというのも大事な指標の一つです。
日本語教師をしていると、いくつもの新しい価値観に触れることができます。
新しく出会った価値観を受け入れられるか、面白いと感じられるか、一歩踏み込んで探究できるかという点は、とくに大きいのではないでしょうか。

<人一倍探求心強く、好奇心旺盛な人>

他の職業も同じだと思いますが、日本語教師にも、この職業ならではの壁があります。
それが「多くの日本人は普段特に気にしない問題に答える必要があること」です。
たとえば「『1回』と『1度』の違い」や「『明日は雨が降るんだった』の『た』はどういう意味か」など、日本語母語話者は引っかからないようなポイントについても、考えてみる必要があるのです。
「え?何か違いはあるの?」と興味を持った方は、日本語教師について学んでみてはいかがでしょうか。

日本語教師とは、世界を繋ぐ求められし職業

今回は、日本語教師という仕事について解説してきました。
日本語教師の仕事内容や需要、メリットなどについて、おわかりいただけたかと思います。
今後、日本語教師は国家資格になり、ますます需要の高い職業になると言えるでしょう。

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