コラム

日本語教育能力検定試験はどんな試験?合格ラインや勉強方法を徹底解説

2023.05.26

海外で働く日本語教師イメージ

「日本語教育能力検定試験ってどんな試験?」
「日本語教育能力検定試験を受験するメリットは?」
「試験合格のためにおすすめの勉強方法は?」

日本語教師として働くにあたり、取得しておきたいのが、日本語教育能力検定試験です。
日本語教育能力検定試験に合格することで、日本語学校の採用基準を満たせるほか、日本語教育の実践につながる体系的な知識が基礎的な水準に達していること、状況に応じてそれらの知識を関連付け多様な現場に対応する能力が基礎的な水準に達していることを証明する資格として有効です。

本記事では、日本語教育能力検定試験の内容、受験のメリット、そして試験に合格するための勉強方法などについて紹介します。

日本語教育能力検定試験とはどんな試験?

日本語教育能力検定試験とは、日本語教育を行うために必要な基礎的な知識や能力があるかを問う内容で構成されている試験です。
日本語教師の就職先の一つである日本国内の法務省告示校、いわゆる日本語学校に勤める場合には、日本語教育能力検定試験の資格を有していることが採用基準の一つになります。

日本語教師は日本語学校で勤務するケースも多いため、日本語教育能力検定試験に合格することは、日本語教師として働く上での大きなメリットです。
また、日本語教育能力検定試験に合格することで、客観的に自らの日本語教育に関する基礎的な知識と能力が一定の水準に達していることを証明できるという点もメリットといえます。

<関連記事>【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説
<関連記事>日本語教師は英語スキルがあった方が良い?あるとどんな時に役立つ?

日本語教育能力検定試験を受ける目的

日本語教育能力検定試験を受ける目的は、自らの日本語教育に関する基礎的な能力・知識が一定の水準に達しているかをテストという形で測り、日本語教育を行うために必要な能力が備わっていることを証明することです。

<関連記事> 日本語教師になるにはどうすればいい?必要な条件や方法を解説
<関連記事> 日本語教師の基礎知識

日本語教育能力検定試験の出題範囲

日本語教育能力検定試験の出題範囲は「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」の5区分です。
日本語教育の手法・日本語の文法的な知識にとどまらず、異文化への理解やコミュニケーション教育など、日本語教育を行う上で、重要な知識が問われます。

区分 求められる知識・能力
1 社会・文化・地域 日本や日本の地域社会が関係する国際社会の実情や、国際化に対する日本の国や地方自治体の政策、地域社会の人びとの意識等を考えるために、次のような視点と基礎的な知識を有し、それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
2 言語と社会 言語教育・言語習得および言語使用と社会との関係を考えるために、次のような視点と基礎的な知識を有し、それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
3 言語と心理 言語の学習や教育の場面で起こる現象や問題の理解・解決のために、次のような視点と基礎的な知識を有し、それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
4 言語と教育 学習活動を支援するために、次のような視点と基礎的な知識を有し、それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。
5 言語 教育・学習の対象となる日本語および言語一般について次のような知識・能力を有し、それらと日本語教育の実践とを関連づける能力を有していること。

(参考:JEES 日本語教育能力検定試験出題範囲

日本語教育能力検定試験の構成と配点

日本語教育能力検定試験は「試験Ⅰ」「試験Ⅱ」「試験Ⅲ」の3科目から構成されます。
「試験Ⅰ」の試験時間は90分間で、日本語教育の実践に繋がる基礎知識について出題されます。

続く「試験Ⅱ」の試験時間は30分で、音声出題による聴解問題です。
日本語を学習する外国人の発音や、問題解決に対するアプローチ方法などについて音声を媒体とした形式で出題されます。

最後の「試験Ⅲ」の試験時間は120分で、記述式とマーク式の2方式を用いた試験です。
とくに記述式試験は、「言語にかかわる事象や教育実践の方法・内容などにたいする考えや主張を問う」もので、「考えや主張の是非ではなく、その伝え方を論理性と日本語力の面から測定」するために約400字ほどで記述します。

配点は「試験Ⅰ」が100点、「試験Ⅱ」が40点、「試験Ⅲ」が100点の、計240点です。

日本語教育能力検定試験の合格ラインと受験人数は?

日本語教育能力検定試験の受験者数は年々増加傾向にありますが、一方で合格率も上昇傾向にあり、資格取得しやすい検定資格になってきています。

実際、令和4年度(2022年度)における合格率は29.8%で、平成29年度(2017年度)の25.3%から合格率が大きく上昇しています。
記述式を含む3科目総合の平均点は158.0点となっています。

<関連記事>【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説

日本語教育能力検定試験は難しい?

日本語教育能力検定試験の合格率は年々上昇傾向にあり、平成20年代と比較するとやや合格しやすい難易度に変化してきていることがわかります。

しかし、過去の結果を見ても、合格率は30%を下回っているため、試験の難易度としては「やや難しい」レベルに位置するといえます。

実際の対策として、日本語教師養成講座や日本語教育能力検定試験対策講座の活用、独学であれば過去問題を繰り返して演習することなどが挙げられます。
日本語教育能力検定試験は容易な難易度ではありませんが、しっかりと基礎的知識をおさえ、徹底的に過去問題を演習するなど、網羅的な学習を実践すれば、合格への道は確実なものになります。

日本語教育能力検定試験で合格するためのポイント

日本語教育能力検定試験に合格するためには、計画的な学習と知識のアウトプットが重要です。
ここからは、日本語教育能力検定試験に合格するために重要なポイントを3つ紹介します。

  1. ① 計画的な勉強スケジュールを立てる
  2. ② 過去問の演習で適度にアウトプットを行う
  3. ③ 試験対策講座を受講する

しっかりとポイントをおさえ、効率よく確実に合格を目指しましょう。

計画的な勉強スケジュールを立てる

独学で学習する場合でも、日本語教師養成講座や検定対策講座に通って勉強する場合でも大切なポイントは、自分の生活スタイルに合う勉強スケジュールを立て、そのスケジュールに沿った計画的な学習を意識することです。

スケジュールを立てる際には、まず自分の現在の生活スタイルを把握し、無理なく続けられる勉強時間を確認しましょう。

過去問の演習で適度にアウトプットを行う

日本語教育に関する基礎的知識が多く問われる日本語教育能力検定試験ですが、一方的に知識を取り入れるだけでは、合格に必要な応用力が身につきません。

テキストなどで知識を取り入れたあとは、過去問を演習するなど、知識をアウトプットする時間を取りましょう。過去問を解いていく過程で、自分に足りていない知識は何かも確認でき、効率よく学習が進められます。
また、合格への思いが強いあまり、多くの過去問教材を買ってしまうことがありますが、知識の定着率を上げるためには、試験日までに確実にやり遂げられる適切な量の過去問教材を購入し、限られた問題を繰り返し説きなおすことを意識しましょう。

検定対策講座を受講する

独学で勉強を進める場合は、自分の学習スケジュールを管理したり、必要な勉強量を着実にこなすだけの継続力が必要です。
しかし、試験の範囲は広く、聞きなれない専門用語も多く出てきます。そのため、自分で管理するだけではうまく学習が進められないと感じる場合は、試験対策講座の受講を検討しましょう。

試験対策講座を取り入れることで、定期的な学習時間の確保と学習スケジュールの確立ができるだけでなく、日本語教育の専門家である講座講師の分かりやすいポイント解説が聞けますし、分からないところは講師に質問して理解できるまで教えてもらうこともできます。

日本語教育能力検定試験に受験資格はある?

日本語教育能力検定試験には必要な受験資格がなく、出願手続きを行えば誰でも受験できます。

国家資格ではないものの、国内の法務省告示校、いわゆる日本語学校が採用基準の一つとして設けている「文化庁届出受理日本語教師養成講座420時間コースを修了する」ことが難しい人にとっては、受験のハードルが低いことは大きなメリットといえます。

<関連記事>【日本語学校とは】日本語教師になりたい人必見!概要と就職するために必要な条件

日本語教育能力検定試験の出願手続きの流れ

日本語教育能力検定試験の出願方法は、令和5年度(2023年度)からインターネットによる受付へと変更されました。
(参考:JEES 日本語教育能力検定試験ホーム

インターネット上で出願手続きを行った場合の支払方法には、クレジットカード決済やコンビニエンスストア支払いなどのオンライン決済が用いられる予定です。

現時点ではインターネット上の出願手続きに関する詳細が告知されていませんが、詳細については随時ホームページで告知される予定です。

本記事では、郵送で手続きを行う場合の出願手続きの流れについて、以下5つのポイントに沿って紹介します。

  1. ① 願書を購入する
  2. ② 写真を準備する
  3. ③ 支払いを完了させる
  4. ④ 願書を郵送する
  5. ⑤ 受験票を受け取る

それぞれ順に見ていきましょう。

願書を購入する

願書は書店かインターネット上で購入できます。
願書の購入には400円(2022年度実績)かかり、インターネットでは6月中旬ごろから販売が開始されます。

願書には「受験案内」「受験願書」「振替払込用紙(受験料を入金するための用紙)」「出願書類提出用封筒」の4点が入っています。

写真を準備する

日本語教育能力検定試験に合格した場合、合格証書にプリントされる写真を準備します。3か月以内に撮影した写真で、縦40mm×横30mmの履歴書サイズで準備します。

写真を撮影する際には、顔がはっきり映るように、帽子やサングラスは着用しないように気をつけましょう。

支払いを完了させる

日本語教育能力検定試験の受験料は17,000円(税込)です。
支払方法には、郵便局の窓口で支払う方法と、ATMで支払う方法があります。インターネットで手続きの場合、受験料の支払いは、クレジットカード、コンビニエンスストア、Pay-easy によるオンライン決済が予定されています。

郵便窓口で手続きを行う際には、願書に同封されている「振替振込用紙」を使用して支払い手続きを行います。
ATMで振り込み場合には、ゆうちょ銀行ATMのみ利用できます。

願書を郵送する際、支払い完了を証明する書類も同封するので、ATM振込の場合には、「ご利用明細書」を忘れずに保管しておきましょう。

受験票を受け取る

受験票はハガキ形式で、9月下旬ごろに到着します。
氏名、受験会場を確認し、不備があれば早急に問い合わせ窓口まで連絡しましょう。

受験票は試験当日必ず持参しなければならないものなので、到着次第大切に保管しましょう。

日本語教育能力検定試験に合格するための勉強方法

日本語教育能力検定試験の勉強において重要なのは、基礎的知識の網羅的学習と、知識を活用したアウトプット学習です。
まずは、テキストに書かれている基礎的内容を満遍なく頭に入れましょう。ポイントは「広く、浅く」です。
ある程度知識が頭に入ったと感じたら、次は過去問教材を使用し、知識のアウトプットを行います。

過去問を解いて不明な点があればその都度テキストで確認し、とくに苦手な分野や項目についてはテキストや用語集を使い反復学習を徹底しましょう。

網羅的に知識を定着させ、さらに知識を活用した演習を行い、インプットとアウトプットを繰り返し行うことで、合格に必要な知識が効率よく定着し、問題を解くのに必要な応用力も身につきます。

日本語教育能力検定試験は独学で合格できる?

独学で日本語教育能力検定試験に合格することは可能です。
しかし、独学の場合には、自分で学習を計画的に進めたり、予習復習をベースとする学習サイクルを維持したりする力が必要です。
学習のペースやスケジュールを自分で管理するのは難しいという場合には、日本語教師養成講座に通ったり、検定対策講座を受講したりすることを検討するとよいでしょう。
養成講座や検定対策講座は通学形式のものだけでなくe-ラーニング形式のものもありますので、自分のライフスタイルに合わせた形式のものを選ぶことが大切です。

日本語教師養成講座420時間コース | ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座
日本語教育能力検定試験対策講座 | ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座

日本語教師とはどのような仕事か、日本語教師になるための勉強方法、日本語教師として仕事に就くには・・・など、疑問や不安のある方は、まずは受講相談/資料請求・お電話で私たちルネサンス日本語学院にお問い合わせください。

日本語教育の現状や日本語教師の資格、検定試験など、日本語教育に関する概要とルネサンス日本語学院の養成講座についてご案内いたします。

日本語教育能力検定試験は誰でも受けられる

日本語教育能力検定試験は、必要な受験資格がなく、誰でも簡単に受験できる検定資格です。
日本語教育能力検定試験への合格は、国内の法務省告示校、いわゆる日本語学校の採用基準を満たせることのほか、自らの日本語教育能力と知識が一定の基準に達していることを客観的に示せることがメリットです。
日本語教育に携わりたい人や日本語教師として働きたい人は、ぜひ受験を検討しましょう。

また、日本語教育能力検定試験の出願方法は、令和5年度(2023年度)からインターネット上での受付に変更されました。出願方法の詳細については、随時公式ホームページにて確認しましょう。
(参考:JEES 日本語教育能力検定試験ホーム

日本語教育の現状や日本語教師の資格について気になる方は、ルネサンス日本語学院の養成講座に関するご案内をぜひご覧ください。

日本語教師養成講座ならルネサンス日本語学院におまかせください!
日本語教師の国家資格「登録日本語教員」になるためのサポートをおこなっています。
日本語教師に興味を持った方は、ぜひお気軽にお問合せください。

<関連記事>登録日本語教員とは 国家資格化に伴いどう変わる?
<関連記事>日本語教育能力検定試験に合格するために必要な勉強時間
<関連記事>日本語教育能力検定試験はどの会場で実施されるのか?
<関連記事>日本語教育能力検定試験はどんな試験?合格ラインや勉強方法を徹底解説