日本語教師養成コラム

韓国で日本語教師として働く際の給料はいくらくらい?

公開日:2023.06.16 更新日:2024.09.10

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

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「韓国における日本語教師の需要は?」
「韓国で日本語教師として働く場合の平均年収は?」
「韓国で日本語教師として働くために必要な資格は?」

韓国での日本語教師の仕事に関して、このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
韓国は日本語教師の需要が高いと言われており、日本語教師の求人情報も多く見られます。

とはいえ、韓国で日本語教師の需要が本当にあるのか、不安に感じてしまいますよね。
本記事では、韓国における日本語教師の需要について、韓国で日本語教師として働く場合の平均年収、そして、必要な資格などについてご紹介します。

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韓国で日本語教師の需要はある?

韓国における日本語教師の需要は高いといえます。
一つの根拠として、国際交流基金が実施した日本語能力試験(JLPT)の韓国の応募者数・受験者数があげられます。

応募者数約136万人を記録した2019年、韓国の応募者数は103,821人、受験者数は80,005人(7月:43,008人、12月:36,997人)を記録しています。
この結果から、韓国での日本語学習の需要の高さがうかがえると同時に、日本語教師の需要もあると言えるでしょう。

(参考:過去の試験のデータ | 日本語能力試験 JLPT


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韓国で日本語教師として働くメリット

実際に、韓国で日本語教師として働くメリットには、どのような点が挙げられるのでしょうか。
ここからは、韓国で日本語教師として働くメリットについて、ご紹介します。

3つが挙げられます。

  1. ①就職のチャンスが多い
  2. ②韓国語を活かせる
  3. ③国が教育に力を入れている

メリット①就職のチャンスが多い

2018年度と2021年度の国際交流基金の調査から、日本語学習者数と日本語教師数を見てみたいと思います。

  • 2018年度調査:日本語学習者数531,511人、日本語教師数15,345人
  • 2021年度調査:日本語学習者数470,334人、日本語教師数13,229人

2021年度は、2018年度と比較すると、日本語学習者数、日本語教師数ともに減少していますが、日本語学習者の数に対して、日本語教師が少ない状況は変わりません。

そのため、韓国で日本語学校など民間の学校に勤務するかたちで日本語教師として働く場合、日本語教師の数が少ないのに対して、日本語学習者数が多いため、韓国の日本語教師の競争率はあまり高くない労働市場といえます。
日本語教師として採用される可能性が比較的高いと言えるのではないでしょうか。

(参考:国際交流基金 - 2021年度 海外日本語教育機関調査


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メリット②韓国語を活かせる

日本語教師として働くといっても、まったく韓国語を話さないわけではありません。
同じ学校で働く教員や事務員と話す場面などで、韓国語でコミュニケーションを取る機会は多いです。
休み時間などには、学習者と話す機会もあるでしょう。

また、海外で日本語教師として働く場面には、現地の言葉で日本語を教える「間接法」が用いられることもあり、その場合は、現地の言葉ができなければ日本語教師として働くことは難しくなります。
もちろん、日本語を日本語で教える「直接法」を用いている教育機関もあるため、韓国語のスキルは必須というわけではありません。
とはいえ、韓国で日本語教師として働くなら、日本語を教えるときはもちろん、生活場面においても、韓国語を活かせる場面が多いことは想像に難くないでしょう。

メリット③国が教育に力を入れている

韓国では国全体で教育に力を入れており、外国語を学習する機会として日本語学習者にも重点が置かれています。
そうした背景のなかで、韓国には日本語を学習するための塾や日本語学校が多く存在します。
そのため、日本語教師として働く現場が複数あることもメリットの1つと言えるでしょう。

とはいえ、ネイティブだからといって簡単に就職できるというものではありませんし、韓国で日本語教師として働く際には就労ビザの取得が必要になります。
韓国で日本語を教える際に発行させるのは「会話ビザ(E-2ビザ)」と呼ばれる種類のビザです。
ビザの発給条件には4年制大学の卒業などの条件がありますが、必要書類等は個々人による場合もあるので、ご自身でお調べすることをおすすめします。

韓国での日本語教師の年収

韓国での日本語教師の年収は例年約204万円~240万円を推移しており、韓国人の平均年収が約317万円である現状と比較すると、韓国における中小企業の平均年収と同じくらいといえるようです。

韓国で日本語教師として働くには

ここまで、韓国で日本語教師として働くメリットや、韓国における日本語教師の平均年収について紹介しました。
それでは、実際に韓国で日本語教師として働く場合、どのような資格が必要なのでしょうか。
ここからは、韓国で日本語教師として働くのに満たすべき条件について紹介します。

韓国で日本語教師として働く場合、次の3つのうちいずれか一つの条件を満たす必要があります。

  • ・文化庁届出受理日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する
  • ・日本語教育能力検定試験に合格する
  • ・大学または大学院において「日本語教育に関する教育課程」を主専攻(45単位)または副専攻(26単位)し、卒業する

文化庁届出受理日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する

1つ目の条件は、文化庁届出受理日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する、という方法です。
この「日本語教師養成講座」を受講、修了し、日本国内はもちろん、韓国などの海外で活躍している日本語教師の方は多いのではないでしょうか。

現在は420時間コースを設けているスクールも多く、インターネット上で一部の授業が受講できる通信コースもあるため、日中働きながら420時間コース修了を目指すことも可能でしょう。

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日本語教育能力検定試験に合格する

「日本語教師養成講座に通う時間がない」「なるべく短い期間で日本語教師としての条件を満たしたい」「できる限り費用を抑えて日本語教師としての勉強をしたい」という方におすすめなのが、日本語教育能力検定試験に合格する方法です。

日本語教育能力検定試験は比較的難易度が高い試験ですが、計画的に勉強時間を確保し、十分に受験対策を行えば、独学でも十分に合格を目指せます。

<関連記事>【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説
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大学または大学院において「日本語教育に関する教育課程」を主専攻(45単位)または副専攻(26単位)し、卒業する

すでに大学や大学院で日本語教育に関する勉強をしている場合には、大学・大学院で日本語教育課程を修了するのがよいでしょう。
日本語教育課程を修了することで、日本語教師の条件の一つを満たすことができると同時に、日本語教育について専門的な勉強をしたという証明になります。

<関連記事>日本語教師になるにはどうすればいい?必要な条件や方法を解説

韓国は日本語教育の需要が高い

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韓国は日本語教育の需要が高く、日本語教師の求人も定期的に行われています。
韓国で日本語教師として働くには、日本語教師としての条件を満たすことや、日本語に関する知識を学ぶことだけでなく、韓国語を習得することも重要です。

「韓国で日本語教師を目指したい」「韓国で働いてみたい」「海外で日本語教師になりたい」など、日本語教師という職業に魅力を感じたら、まずは日本語教師になるための勉強を始めてみませんか。

日本語教師になるため、着実に準備を進めましょう。

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国家資格についてはこちらの記事で詳しく解説をしております。第1回:日本語教師が国家資格になる

ぜひこちらのページもご覧ください。
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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。