日本語教師養成コラム

台湾で日本語教師の需要はある?待遇や日本語教師になるための方法を解説

公開日:2023.06.02 更新日:2024.09.10

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

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「台湾で日本語教師の需要はある?」
「台湾における日本語教師の待遇は?」
「未経験から台湾で日本語教師として働く方法は?」

台湾での日本語教師の働き方について、このような疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。
台湾には多くの日本語学習者が暮らしており、日本語教師の需要は非常に増えていると言えます。

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台湾で日本語教師の需要はある?

2021年度に実施された国際交流基金による調査では、世界で8番目に日本語学習者が多い国は台湾であると発表されました。
しかし、台湾にいる日本語教師は約3,400人にとどまっており、日本語学習者の数に日本語教師の数が追いついていません。
そのため、台湾では日本語教師の需要が増えていると言えます。

順位 国・地域 学習者(人) 機関(機関) 教師(人)
1 中国 1,057,318 2,965 21,361
2 インドネシア 711,732 2,958 6,617
3 韓国 470,334 2,868 13,229
4 オーストラリア 415,348 1,648 3,052
5 タイ 183,957 676 2,015
6 ベトナム 169,582 629 5,644
7 米国 161,402 1,241 4,109
8 台湾 143,632 907 3,375

(参考:https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/dl/survey2021/overview.pdf

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台湾の日本語学習者はどれぐらいいる?

台湾に住む日本語学習者の数は、2021年度時点で143,632人でした。
台湾において、日本語は英語に次いで2番目に学習者が多い外国語です。2019年時点で、第二外国語学習者全体における日本語学習者の割合は56.0%を占めています。
少子化の影響で全体の学習者数は減っているものの、2019年度の日本語能力試験の応募者数は85,583人、受験者数は77,357人で、応募者数・受験者数ともに日本語学習者の多い上位10か国中でも随一の数となっています。

台湾における伝統・現代両面の日本文化に対する関心や、日本観光の人気が高いことも日本語学習者の多さにつながっていると考えられます。

(参考:国際交流基金 - 台湾(2020年度)

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台湾での日本語教師の働き方

ここまで、台湾における日本語教師や日本語教育の需要が高い背景について紹介しました。
それでは、台湾で日本語教師として働く場合、どのような働き方が可能なのでしょうか。
ここからは、台湾での日本語教師の働き方について紹介します。

台湾で日本語教師として働く場合、次の3種類の働き方が主流です。

  • ・日本語学校
  • ・大学
  • ・高校

日本語学校

台湾での日本語教師の求人を探す場合、現地の日本語学校の求人が最も多く、最初の就職先としては一般的とされています。
日本語学校にもよりますが、ビジネス日本語、会話、文法、日本語能力試験対策など学習者のニーズに合わせた様々なクラスが開講されています。

<関連記事>【日本語学校とは】日本語教師になりたい人必見!概要と就職するために必要な条件

大学

台湾では多くの大学で日本語を学習する日本語課程が開設されており、高等教育機関152校のうち、日本語科目を開講しているのは139機関で全体の約90%にあたります。
日本語学校に比べて一般向けに求人を行っている大学は少なく、大学教員になるためには日本語教育もしくは言語学系の修士課程、博士課程を修了している必要があります。

高校

第二外国語教育の推進や、海外教育旅行の奨励を受けて、2020年度には305校が選択科目として第二外国語を開設し、そのうち91.1%の278校が日本語を開講しています。
日本語科目のほかに日本語や日本文化のなどの課外活動を行っている学校も少なくありません。
台湾の高校で働くには、大学で教職課程を履修後、卒業資格を取得するなど、各国において定められた経歴や資格の条件を満たす必要があります。

台湾での日本語教師の待遇

ここまで、台湾で日本語教師として働く場合の働き方についてご紹介しました。
ここからは、台湾で日本語教師として働く場合の待遇について、以下の3点に着目していきます。

  • ・給料
  • ・休暇
  • ・契約期間

給料

台湾で働く常勤の日本語教師の平均月給は、27,000元~30,000元程度の教育機関が多いようです。
台北市内にある教育機関では、他の地域に比べて1割程度給料が高く設定されることもあるそうです。
日本円に換算すると、月収は10万円~12万円程度となり、住居手当などの各種手当が含まれている場合が多いです。
この他に、賞与が支給される教育機関もあります。
日本の月収に比べるとかなり低く感じるかもしれませんが、台湾の物価を考えると一人で生活するには十分な金額と言えるでしょう。

休暇

台湾の日本語学校で常勤講師として働く場合、週休1~2日で勤務することが多いです。
台湾の祝日は旧暦を基に設定されており、年間の祝日は11日です。それに土曜日と日曜日の休日を加えると、年間休日は115日程度になります。
ただし、日本語教師の場合は勤務日時が担当授業によって決まることが多いため、必ずしもこの限りではありません。
また、台湾では勤務開始半年から1年未満では年に3日有給休暇を取得できるようになっており、以降は勤務年数によって追加されていきます。
非常勤で働く場合や、その他の教育機関では条件が異なる場合もありますので、就職の際に必ず確認するようにしましょう。

契約期間

最初の契約期間は1~2年である機関が多く、以降は教師と機関双方の合意により更新される場合がほとんどです。
しかし、機関によって契約条件は異なるため、求人を探す際には特に注意するようにしましょう。

未経験から台湾で日本語教師として働くには

ここまで、台湾における日本語教師の待遇についてご紹介しました。
それでは、実際に未経験から日本語教師を目指す場合、どのような条件があるのでしょうか。

ここからは、台湾で日本語教師として働くために必要な条件についてお話しします。

<関連記事>日本語教師になるにはどうすればいい?必要な条件や方法を解説

日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する

文化庁届出受理日本語教師養成講座の420時間カリキュラムを受講し修了することで、日本国内の日本語学校で働く場合と同様に、台湾でも日本語教師として働くための条件の一つを満たすことができます。
日本語教師養成講座はオンラインで受講できるものと、通学で受講できるものが多数開講されています。

日本語教育能力検定試験に合格する

日本語教育能力検定試験に合格することも、日本語教師として働く条件の一つです。
日本語教育能力検定試験は比較的難易度が高い試験ですが、学習をサポートしてくれる講座や、独学に役立つ参考書も多くあります。
日本語教育能力検定試験の詳細は、こちらの記事をご覧ください。

<関連記事>【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説

大学または大学院において「日本語教育に関する教育課程」を主専攻(45単位)または副専攻(26単位)し、卒業する

大学にて「日本語教育に関する(副)専攻プログラム」を修了すれば、日本語教師として就職する際、教育機関の採用段階や給与面で優遇されることもあります。

<関連記事>日本語教師の資格は難易度が高い?試験の合格率やおすすめの勉強法を公開

台湾で日本語教師の需要は増えている

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日本語教師の需要が多い台湾で日本語教師として働く場合、日本語学校で働くことが多いとされています。
台湾における日本語教師の待遇は地域や機関によって様々ですが、一人で生活していくには十分な給与を受け取れるでしょう。
未経験で日本語教師を目指す場合には、日本語教師養成講座420時間カリキュラムの修了や、日本語教育能力検定試験合格などの条件を満たす必要があります。
日本語教師になるために必要な条件を確認し、台湾で日本語教師として働くための準備を進めていきましょう。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。