日本語教師養成コラム
ベトナムで日本語教師は需要がある?現状を詳しく解説
公開日:2023.06.09 更新日:2024.09.10
監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
「ベトナムで日本語教師は需要がある?」
「ベトナムはなぜ日本語学習者が多い?」
「ベトナムで日本語教師として働く場合の平均月収は?」
ベトナムでの日本語教師の仕事に関して、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ベトナムは日本語学習者が多く、日本語教師の需要が高い国です。
近年では日本企業がベトナムに進出するケースも増え、ベトナム国内で日本語を学びたいと考える人も増加傾向にあります。
そのため、ベトナムで日本語教師として働く場合、働き口がなかったり十分な給与が得られなかったりといった心配はないでしょう。
とはいえ、ベトナムではどれだけ日本語教師の需要が高いのかわからず、日本語教師としての就職に不安を感じてしまいますよね。
本記事では、ベトナムにおける日本語教師の需要や、日本語教師の平均月収、なぜベトナムでは日本語学習者が多いのかについて紹介します。
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ベトナムはどんな国?
ベトナムでは、就職や大学受験のために日本語を学ぶ人の数が年々増加傾向にあります。
ベトナムにおける日本企業の進出は1,973社(商工会議所会員数/2022年5月)にものぼり、多くの日系企業がベトナムに進出していることがわかります。
また、ベトナムの平均月収は約4万円であるのに対し、日本の中小企業に就職すれば月収約15~17万円は稼げることも、ベトナム人が日本への就職を目指す大きな理由になっています。
さらに、令和4年6月末時点における日本の在留外国人のうち、ベトナムは中国に次ぎ2位となっており、多くのベトナム人が日本へ進出してきていることもわかります。
<参考>令和4年6月末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁 /【R4.6末在留】統計資料
ベトナムで日本語教師は需要がある?
ベトナム国内で日本語の需要が高まるなか、日本語教師の数は日本語学習者の数に追いついておらず、学習者の数が飽和状態にあるのが現状です。
そうした背景から、ベトナムではさまざまな教育機関において、日本語教師は求められているのです。
独学で日本語を学ぶ人もいる一方で、日本語学校や民間の学校で日本語を学ぶ人も一定数存在することから、ベトナムの労働市場において日本語教師は高い需要を維持しています。
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ベトナムの日本語学習者数はどれくらい?
2021年に発表された国際交流基金による調査によれば、2021年時点のベトナムにおける日本語学習者の数は169,582人で、2018年の174,521人から2.8%減少しました。
しかし、「各国・地域の学習者数・機関数・教師数」は2018年同様に6位と、変わらず上位を維持しています。
日本語学習者の多くは技能実習生の送り出し機関で日本語教育を受けた人が占めており、日本で技能実習生として働いている人が急増している現状がうかがえます。
また、ハノイ市やホーチミン市以外の地方都市でも日本語教育が実施されるようになりましたが、これは、かつて日本で技能実習生として働いていた人や日本で留学生として学んだ人が現地に戻り、技能実習などの機関を設立したり、日本語教師として働いたりするためと考えられそうです。
<参考>国際交流基金 - 2021年度 海外日本語教育機関調査 / overview.pdf
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ベトナムの日本語教育の歴史
ベトナムにおける日本語教育は、1961年にハノイ貿易大学で開始されました。
当初は日本語学科として開始されましたが、学科の人気の高さから日本語学部へ昇格を目指す動きも見られました。
2009年までにベトナム国内に設置された日本語学部の数は39校にのぼります。
数多くの大学で日本語学科が設置されるなか、いくつかの大学では日本での就職を目指す社会人を対象とした勉強会や訓練も実施されています。
学校教育についてもう少し見ていくと、初等教育では2016年に始まった第一外国語導入の試行段階が2019年に終了し、第一外国語として日本語を使用する小学校数は減少しましたが、独自に日本語教育を取り入れる学校が増加しました。
中等教育では2005年から第一外国語科目として日本語教育が開始されました。また、高等教育では人文系の学部に加え、介護、看護、理工系などの大学・学部や、日本での就労を目的として日本語教育を行う大学・短期大学も増加していることがわかります。
2021年時点では63省市のうち10省市(小学校2校、中学校81校、高校36校)において、日本語教育が実施されています。
<参考>東南アジアの日本語教育の状況 / 国際交流基金 - 2021年度 海外日本語教育機関調査
<参考>ベトナムの各地方及び学校における日本語教育実施状況(2021年2月時点) | 在ベトナム日本国大使館
日本で働くベトナム人が多い理由
労働者不足が日本社会の課題である現在、外国人労働者を多く受け入れようとする日本政府の動きが顕著に見られます。
2017年に改正された「外国人技能実習生制度」では、実習期間の延長や人数枠の拡大など、制度における規制緩和が実施され、より多くの外国人労働者が日本で働ける環境が整備されました。
以前は、日本で働く外国人労働者のうち多くを占めるのが中国人でしたが、中国の急激な経済発展にともない、中国からやってくる技能実習生の数は減少しました。
不足した雇用枠を補うために、現在日本ではベトナム人技能実習生の受け入れを積極的に行っています。
また、多くのベトナム人が日本の大学に進学を希望するようになったことも、ベトナム人労働者の増加に影響しています。
「留学生30万人計画」を2008年に掲げた日本政府は、留学生のビザ緩和を実施しました。ビザの規制緩和によりベトナムからやってくる留学生の数は急増したのです。
留学生のアルバイトに対して厳しく規制されている国が多い中、日本では資格外活動を申請することで一定時間のアルバイト活動が可能です。
労働と学校生活を並行して行えることも、ベトナム人学生にとって、日本の大学へ進学しやすくなる要因の一つといえます。
さらに、留学生の増加にともない、就労ビザを取得し日本で働くベトナム人の数も増えました。
以前は海外の企業に就職しようと考えるベトナム人の数はごくわずかでしたが、現在では外国人雇用を積極的に行おうとする日本企業も増え、ベトナムからやってきた労働者を受け入れる雇用枠も増大しました。
こうした背景から、技能実習生の増加、留学生の増加、ベトナム人労働者の増加が発生し、日本で働くベトナム人の数が増加しました。
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ベトナムでの日本語教師の待遇
ベトナムでの日本語教師の月収は平均7万円~20万円と、勤め先や働き方によって大きく変わります。
外資企業や中小企業に就職できれば、月収15万円~20万円を得られるケースも多く存在します。
一方、民間企業では時給制を用いて給与換算をしている企業も多く、働く時間も限られているため、平均月収は10万円ほどにとどまる場合もあるようです。
ベトナムにおける平均月収が約4万円である現状と比較すると、日本語教師の給与は生活を問題なく送れる水準であるといえるでしょう。
また、休暇は日曜・祝日休みで、土曜日に関しては隔週勤務の形態をとることがほとんどです。
企業や教育機関によっては寮や食費を保証してくれる場合もあるため、日本語教師として働くうえで生活面・金銭面においては、ある程度安心して過ごせると言えるのではないでしょうか。
ベトナムで日本語教師として働くメリット
ベトナムで日本語教師として働くことのメリットには「給与面で安定した生活を送れること」「日本語教師の需要が高いこと」などが挙げられます。
日本で月収約10万円の生活は難しい場合が多いですが、ベトナムであれば、問題なく安定した生活を送れるでしょう。
また、ベトナムにおける日本語教師の需要は高いため、就職先も比較的見つけやすいでしょう。
ベトナムで日本語教師として働く
ベトナムは日本語教師の需要が高く、安定した生活を送りながら、働くことができるでしょう。
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この記事の監修者
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。