コラム

米国で日本語教師は需要がある?働き方や、日本語教師になるための方法を解説

2023.06.20

「米国における日本語教師の需要は?」
「米国で日本語教師として働くための方法は?」
「米国で日本語教師をするのに英語は必要?」

米国での日本語教師の働き方について、このような疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。

米国は日本語学習者の数が多く、日本語教師の需要が多い国と言われています。

米国で日本語教師として働くためには、語学学校や教育機関が設けている条件を満たす必要があります。
とはいえ、米国で日本語教師の需要が本当にあるのか、不安に感じてしまうこともあるでしょう。

本記事では、米国での日本語教師の需要について、米国での日本語教師の働き方、そして日本語教師になるために必要な資格や条件についてご紹介します。

米国で日本語教師の需要はある?

米国では日本文化の浸透や日系企業の進出により、日本語教師の需要は増加傾向にあります。

米国の日本語教育は、小学校から大学までの学校教育機関を中心に行われています。
中等教育レベルでは、約半数52.6%の教師がノン・ネイティブ教師となっていることからも、ネイティブ教師の需要があると考えられます。

2021年度に実施された国際交流基金による調査では、世界で7番目に日本語学習者が多い国は米国であると発表されています。

順位 国・地域 学習者(人) 機関(機関) 教師(人)
1 中国 1,057,318 2,965 21,361
2 インドネシア 711,732 2,958 6,617
3 韓国 470,334 2,868 13,229
4 オーストラリア 415,348 1,648 3,052
5 タイ 183,957 676 2,015
6 ベトナム 169,582 629 5,644
7 米国 161,402 1,241 4,109
8 台湾 143,632 907 3,375

(参考:https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/dl/survey2021/overview.pdf

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米国での日本語教師の働き方

ここまで、米国における日本語教師の需要についてご紹介しました。
それでは、実際に米国で日本語教師として働く場合、どのような勤務先があるのでしょうか。

ここからは、米国での日本語教師の働き方について紹介します。

  • ・小、中学校、高等学校
  • ・大学
  • ・民間の学校
  • ・米国若手日本語教員(J-LEAP)
  • ・個人のレッスン・日本語教室

小、中学校、高等学校

幼少期から日本のアニメやポップカルチャーに触れる機会があるため、日本語に興味を持つ学習者は多いです。
公立校においては州が認める教員免許が必要になりますが、資格要件は勤務先がある州によって異なります。
私立校においても、学校の方針によっては教員免許取得が奨励されている場合があります。

大学

初等・中等教育レベルで日本語を学んだ学習者が、大学に入っても学習を続けるといったケースが増えています。
また、近年では中国・韓国などの漢字圏からの留学生も日本語を履修する傾向にあるため、大学における日本語レベルは中上級層が厚くなってきています。
大学になると、実学志向以外の日本研究やビジネスなどの学習理由も加わり、学習者も多様化しています。
そのため、単に日本語を教えるというだけでなく、「日本語や日本文化において、専門的に研究したい分野があり、それを専門的に高度に研究していくこと」が主目的となります。
大学での資格要件は機関によって異なります。

民間の学校

米国での日本語教育は学校教育が主流のため、民間の語学学校において日本語講座が占める割合は多くありません。
しかし、従来日本への帰国を視野に入れた日本人子女を迎えていた補習校で米国内の大学進学を希望する子女や、国際結婚により両親のどちらかが日本人の米国人子女が増加しています。
それに伴い、徐々に補習校での日本語講座の立ち位置も変わりつつあります。

米国の民間学校で働くための統一基準のようなものはありませんが、日本語を教えるスキルを証明できるものがあると有利に働く場合があります。
また、民間学校ではパートタイム勤務がほとんどなので、米国在住資格保有者(米国で有給で働ける適正なビザを持っている者)を対象に公募されていることが多いです。

米国若手日本語教員(J-LEAP)

国際交流基金が実施している「米国若手日本語教員派遣事業(Japanese Language Education Assistant Program, J-LEAP)」では、現在全米5州の初等・中等教育機関に2023年6月現在11名の指導助手が派遣されています。

「米国若手日本語教員派遣事業(Japanese Language Education Assistant Program, J-LEAP)」は教育現場で研鑽を積む意欲のある若手日本語教員を米国の初等・中等教育機関に最長2年間派遣する事業です。
派遣者は受入機関の日本語教師(Lead Teacher)と一緒にチームティーチングを行うことで、現地校での日本語の授業を更に盛り立て、日本語プログラムを強化することを目的としています。

「米国若手日本語教員派遣事業(Japanese Language Education Assistant Program, J-LEAP)」の公募情報は、国際交流基金のHP(国際交流基金 - 米国若手日本語教員(J-LEAP)派遣事業)をご確認ください。

個人のレッスン、日本語教室

コロナ禍でオンライン学習が普及した結果、インターネット上で個人の日本語授業を受講する生徒が増えています。
オンラインや個人の日本語教室で日本語教師として働く際に、資格や要件が求められることなく働くことができる場合もあります。
マンツーマンで教えることが多いため、英語で日本語を教えられる力が必要とされることもあります。

米国で日本語教師になるには

米国で日本語教師として働く場合、働き方によっては一定の条件を満たしている必要があります。
個人レッスンなどで日本語教師として働く場合には、資格を求められることが多くありませんが、語学学校や教育機関に勤める際には「日本語教師の資格をもっていること」「ビザを取得していること」という条件を満たさなければなりません。

また、米国の日本語教育では英語を用いて日本語の授業を行う「間接法」が主流であるため、一定の英語力も必要です。

日本語教師の資格の取り方

ここまで、米国で日本語教師として働く場合の働き方についてご紹介しました。
それでは、国内で日本語教師として働くためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
ここからは、国内で日本語教師として働くために必要とされる条件についてご紹介します。

  • ・文化庁届出受理日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する
  • ・日本語教育能力検定試験に合格する
  • ・大学または大学院において「日本語教育に関する教育課程」を主専攻(45単位)または副専攻(26単位)し、卒業する

これらは国内で日本語教師として働く場合の条件ですが、米国をはじめとする海外でも同様の条件が求められることがあります。

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文化庁届出受理日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する

日本語教師として働くためには、文化庁届出受理日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する必要があります。
420時間のカリキュラムは、通学形式と通信形式のどちらも開講されており、日本語教育に関する基礎知識から、実践的スキルまでを習得できます。

日本語教育能力検定試験に合格する

時間的に420時間のカリキュラムを受講する余裕がない方には、日本語教育能力検定試験に挑戦するのがおすすめです。
日本語教育能力検定試験は難易度が高い試験ですが、計画的に勉強を進め、苦手分野をつぶしながら過去問を活用した演習を繰り返せば、独学でも十分に合格を目指すことができます。

日本語教育能力検定試験に関しては、以下の記事もあわせて読んでみてください。

<関連記事>日本語教育能力検定試験はどんな試験?合格ラインや勉強方法を徹底解説
<関連記事>【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説

大学または大学院において「日本語教育に関する教育課程」を主専攻(45単位)または副専攻(26単位)し、卒業する

すでに大学や大学院で日本語教育に関する勉強をしている場合には、大学・大学院で日本語教育課程を修了するのがよいでしょう。
日本語教育課程を修了することで、日本語教育について専門的な勉強をしたという証明になります。

英語スキルはどの程度必要?

米国で日本語教師として働く場合には、日本語以外の言語を使って日本語を教える「間接法」を用いる場合が多いため、英語をある程度習得しておく必要があります。
しかし、日本語で日本語を教える「直接法」を用いる教育機関もあるため、勤務先によって必要な英語スキルは異なります。

<関連記事>日本語教師は英語スキルがあった方が良い?あるとどんな時に役立つ?

米国での日本語教師の需要は高い

米国は日本語学習者の数が多く、日本語教師の需要が高い国と言えます。
しかし、米国で日本語教師として働くにはある程度の英語力を身につけておく必要もあるでしょう。
米国で日本語教師として働きたい人は、まずは日本語教師として働くための条件を満たすことを目指しましょう。

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