日本語教師養成コラム

日本語教師資格の難易度は?国家資格化による変更点

公開日:2023.04.28 更新日:2025.02.21

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監修者情報

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

資格取得

「日本語教師になるための資格はある?難易度が高い?」
「日本語教育能力検定試験の合格率は?」
「日本語教育能力検定試験に合格するためのおすすめの勉強方法は?」
日本語教師として働くことにおいて、このような疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。

特に、留学生を受け入れることができる国内の法務省告示の日本語教育機関では、
日本語教師としての一定の基準が求められます。

とはいえ、日本語教師として働くために何が必要なのかわからなくて、
何から手をつけていいか迷ってしまうこともありますよね。

本記事では、法務省告示の日本語教育機関で働くために必要な条件、
日本語教育能力検定試験の合格率やおすすめの勉強法について紹介いたします。

これから日本語教師を目指す人や、法務省告示の日本語教育機関で働きたい方におすすめです!

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日本語教師として働くための資格や要件

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2024年6月現在、日本語教師の国家資格として、「登録日本語教員」が制定されました。

しかし、経過措置などもあるため、これまでの条件を確認しておきましょう。

  • ・日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する。
  • ・日本語教育能力検定試験に合格する。
  • ・大学または大学院において「日本語教育に関する教育課程」を主専攻(45単位)または副専攻(26単位)し、卒業する。

今後は
・「登録日本語教員」の資格を取得
になっていきます。


<関連記事>日本語教師になるにはどうすればいい?必要な条件や方法を解説
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日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する

文化庁届出受理420時間カリキュラムの講座を修了することで、法務省告示の日本語教育機関で働くことができます。
420時間の中には教壇実習などの実践的な科目が含まれるため、日本語教育現場で求められる現場対応力が身につきます。

クラス制や通学授業がある講座なら、クラスメートと切磋琢磨しながら学べるのも大きな魅力です。

ただし、四年制大学を卒業していないと420時間カリキュラムの講座を修了しても、
法務省告示の日本語教育機関で働く資格としては認められませんので注意しましょう。

ルネサンス日本語学院では、東京、名古屋、大阪で日本語教師養成講座を開講しております。
この機会にぜひ、詳細をご覧ください。(リンク:https://www.rn-ac.jp/entry/seikyu/

日本語教育能力検定試験に合格する

420時間カリキュラムを学ぶ時間を確保するのが難しい、という方には
日本語教育能力検定試験に挑戦するのがおすすめです。

日本語教育能力検定試験は、「日本語教員となるために学習している者、日本語教員として教育に携わっている者を対象として、日本語 教育の実践につながる体系的な知識が基礎的な水準に達しているかどうか、状況に応じてそれらの知識を 関連づけ多様な現場に対応する能力が基礎的な水準に達しているかどうかを検定することを目的とする。」試験です。
(参考:JEES 日本語教育能力検定試験ホーム


しっかりと対策をすれば、独学で合格を目指すことも可能です。

日本語教育能力検定試験の概要や、合格者数などについては、こちらの記事に詳細をまとめています。
ぜひ、こちらの記事もあわせてご覧ください。


<関連記事>【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説
<関連記事> 日本語教師の基礎知識

大学または大学院において特定のカリキュラムを履修する


大学にて「日本語教育に関する(副)専攻プログラム」を修了することで日本語教師として働くことができます。

そのためには「日本語教育に関する教育課程」を、主専攻の場合は45単位以上、
副専攻の場合は26単位以上取得して卒業しなければなりません

ただ、実際に資格取得のために定められている必要な単位数は大学によって異なるので、よく確認しておきましょう。

日本語教育能力検定試験の概要

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日本語教育能力検定試験は、JEES(日本国際教育支援協会)が主催している試験であり、
日本語教師として求められる知識や能力があるかを問うためのものです。

概要は以下の通りとなります。

 

項目

内容

実施時期

令和61027():0016:40

受験地

北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州(令和6年例)

出題範囲

社会・文化・地域、言語と社会、言語と心理、言語と教育、言語(※16区分主要項目50

配点

試験I100点、試験II40点、試験III100

受験料

17,000円(税込)

試験は一年に1回のみ行われています。
オンライン出願は令和6年7月1日(月)から7月31日(水)まで です。

受験を検討している方は余裕を持って準備を進めておかなければなりません。


<関連記事> オンライン日本語教師は誰でもなれる? 働き方や必要な資格、気になる需要を解説

日本語教育能力検定試験の合格率

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ここ数年の日本語教育能力検定試験の合格率を見てみると、以下のように推移しています。

 

実施年度

受験者数

合格者数

合格率

2023年度 (令和5年度)

8,211

2542

31.00%

2022年度(令和4年度)

7,054

2,182

30.09%

2021年度(令和3年度)

8,269

2,465

29.80%

2020年度(令和2年度)

9,033

2,613

28.90%

 https://www.jees.or.jp/jltct/pdf/R5obosya.pdf

 

例年の合格率は20%後半~30%前半台ですが、ここ数年は上昇傾向です。

ただ、それでも合格率は低いので、日本語教育能力検定試験の難易度は高いといえます。
これは、出題範囲が広いことや、受験のチャンスが限られていることが関係している可能性が高いです。

以下の記事では日本語教育能力検定試験の合格率や合格点について詳しく紹介しているので、こちらもご覧ください。

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<関連記事> 【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説

日本語教育能力検定試験はなぜ難易度が高いのか?

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先ほども少しお伝えしましたが、日本語教育能力検定試験の難易度が高い理由として、以下の点が挙げられます。

  1. 理由① 出題範囲が広く、かなりの学習量が必要とされるため
  2. 理由➁ 受験のチャンスが限られているため

それぞれ細かく見ていきましょう。

理由①出題範囲が広く、かなりの学習量が必要とされるため

日本語教育能力検定試験の出題範囲は非常に幅広く
日本語教育の歴史と現状」や「異文化コミュニケーションと社会」など、実にさまざまです。

そのため、単純にテキスト内容を丸暗記するのではなく、
自分の言葉で説明できるレベルまで理解しておかなければなりません。

勉強時間の目安として、平均して400~500時間は必要です。
もちろんそれ以下で合格できた方もいますが、個人差があるため一概にはいえません。

まずは問題集や過去問を活用し、出題傾向をつかみましょう。
その上で出題頻度が高い問題や、自分で苦手だと感じる分野は計画的に対策していくことが重要です。

理由➁ 受験のチャンスが限られているため

日本語教育能力検定試験は、今のところ毎年10月に実施されています。

そのため、1年目の受験で不合格だった場合、
次の受験機会が翌年の10月になってしまいます。

この点から、モチベーションを保つのが難しいとも言われています。
限られたチャンスで合格するためには、やはり計画的に学習を進めていくことが重要です。

自分で学習管理をする自信がない・・・という方は、通信講座を利用するのもおすすめです。

ルネサンス日本語学院では、日本語教育能力検定試験対策講座でサポートをしております。
気になる方は、ぜひこちらをご覧ください。(リンク:https://www.rn-ac.jp/entry/seikyu/

日本語教育能力検定試験合格を目指す勉強方法

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ここまでは、日本語教育能力検定試験の難易度が高いと言われている理由についてお話してきましたが、
こちらでは、日本語教育能力検定試験の合格を目指す際に効果的な勉強方法をご紹介します。

  1. 勉強方法①過去問を解く
  2. 勉強方法➁苦手分野の把握と克服
  3. 勉強方法③対策講座を受講する

それぞれどんなことをしたら良いのか、詳しく見ていきましょう。

勉強方法①過去問を解く

日本語教育能力検定試験は長く続いている試験ということもあり、
過去問を解いていくことで出題傾向が把握できるようになります。

例えば、平成28年度日本語教育能力検定試験では音声を聞いて
4択から発音上の問題で適当なものを選ぶ問題が出題されました。

テキストとして理解しているだけではなく、発音に関しても正しく理解していなければならないことがわかります。

また、例年マークシートは220問ほどあり、回答時間は220分です。
つまり、11分で解かなければならない計算になります。

過去問を解く際は1問1分以内を目安にしながら時間の配分に関しても調整が必要です。
過去問を繰り返し解くことで時間配分をつかみましょう。


<関連記事> 日本語教育能力検定試験のおすすめのテキストを紹介

勉強方法➁苦手分野の把握と克服

過去問を解いていくことで自分の苦手分野が見えてきます。
苦手分野はその他の分野以上に時間を取れるように学習計画を立てましょう。

特に苦手に感じる方が多いのが、聴解です。

例えば、4択のうち正しいアクセント形式を選ぶ問題が出題されます。
過去に出題された「ところかまわず」を「低」「高」であらわす問題が出題されました。

こちらの正解は「低高低低高低低」ですが「高高高低高高低」と勘違いしている方も多いのではないでしょうか。
このように、勘違いなども含め、繰返し学習が必要になってきます。

また、記述問題を苦手とする方も多いです。

思いのほか時間がかかってしまうことあるので、過去問を解いてみて
どの問題にどれくらい時間がかかるのか時間を計りましょう。

勉強方法③対策講座を受講する

自分で勉強時間を管理したり、自ら勉強の環境を整えることが難しかったりする場合には、
対策講座の受講を検討しましょう。

対策講座では試験合格に必要な学習量をもとに、計画的に学習を進めるためのカリキュラムが構築されているため、
自分で学習サイクルを管理することが難しい場合でも、学習時間を確保しやすくなります

また、自分と同じように試験合格を目指す仲間と出会うことで、モチベーションも向上していきます。


<関連記事>日本語教師は独学で目指せる?必要な資格やおすすめの本

2024年以降の対応

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これまで国家資格ではなかった日本語教師ではありますが、2024年4月より国家資格「登録日本語教員」が誕生しました。

認定日本語教育機関で勤務する場合は、登録日本語教員の国家資格を取得しなければなりません。

しかし、認定日本語教育機関以外で日本語教師として働く場合は不要です。
認定日本語教育機関に関しては令和6年度秋頃公表予定です。

なお、現役の日本語教師には経過措置が設けられており、個人のケースによって一部試験や研修が免除されます。

登録日本語教員になるには、養成機関に通って応用試験・実践研修を受けるか、
独学で知識を付けて基礎試験・応用試験・実践研修を受ける必要があるので、よく確認が必要です。

こちらの国家試験の難易度については、2024年11月実施の試験まではっきりしていません。
試験の範囲は、文化省届出受理420時間カリキュラムに基づいています。


日本語教師養成講座ならルネサンス日本語学院におまかせください!
日本語教師の国家資格「登録日本語教員」になるためのサポートをおこなっています。
日本語教師に興味を持った方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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この記事の監修者

監修者の写真

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。