コラム

日本語教師の需要はある? 海外と国内の現状を紹介

2023.05.10

日本語教師授業イメージ

「日本語教師に需要はある?」
「国内と海外では、日本語教師の現状はどのように違う?」
「日本語教師になるために必要な資格はある?」

日本語教師という職業について、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
外国人労働者の受け入れが重要視されているという日本の労働市場の現状により、今や世界中で日本語教育の需要が高まり続けています。
日本語教育の需要の高まりにともない、日本語教師の需要も高まっているのです。

本記事では、日本語教師の需要、日本語教師という職業の現状、そして日本語教師になるために必要な資格などについて紹介します。

国内での日本語教師の需要

では、日本語を学ぼうとする外国人はどのくらいいるのでしょうか。

国際交流基金の調査によると、調査開始当時である1974年には約7万人ほどであった日本語学習者の数は(国際交流基金 - 海外日本語教育機関調査 過去の調査による日本語教育機関数・教師数・学習者数 )、2021年の調査では3,794,714人まで増加しており、過去3番目の多さとなりました。(国際交流基金 - 2021年度 海外日本語教育機関調査)

近年日本では、少子高齢化の影響による労働の人手不足が社会問題となっています。
その解決策として重要視されているのが、外国人労働者の積極的な受け入れです。
外国人が日本で働く際、異なる文化や言葉の壁を乗り越えて社会に馴染むためにも、日本語力の向上は欠かせません。
このような現状から、日本語教育を行う場の充実がよりいっそう求められるため、日本語教師の需要も同時に高まってきているのです。

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海外での日本語教師の需要

国際交流基金が2021年に実施した「海外日本語教育機関調査」の結果によると(国際交流基金 - 2021年度 海外日本語教育機関調査)、日本語教育は世界の133の国と8つの地域で行われています。
日本では労働人口不足への対応策として外国人労働者の受け入れ緩和が実施されており、日本国内で働こうとする外国人の数も増加傾向にあります。

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日本語教師の需要が高い国は?

同じく国際交流基金の2021年の調査によると、日本語を学ぶ外国人の数は、中国、インドネシア、韓国、オーストラリア、米国の順に多く、東アジアと東南アジアを中心に日本語教育の需要が高まっています。

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なぜ日本語教師は不足している?

日本語教師不足の背景には、給与と離職率があげられるのではないでしょうか。

日本語教師のキャリアスタートは非正規雇用の非常勤講師の場合が多いです。
非常勤講師の給与は授業を担当したコマ数分です。
日本語教師の求人情報によると、1コマ(1コマ=45分の教育機関が多い)当たり1,800円~2,000円の教育機関が多いようです。
収入が不安定なため、別の職業や複数の教育機関とかけ持ちをする人や日本語教師から別の職業に就く人もいます。

また、この数年は新型コロナウイルスの蔓延により、外国人がこれまでのように気軽に日本を訪れられる環境ではなくなりました。来日する外国人労働者や外国人留学生の大幅な減少にともない、日本語教師から離れざるをえなくなってしまった人も多いです。
そのため、新型コロナウイルスによる制限が緩和された現在、入国を待っていた外国人労働者や外国人留学生は来日しているにもかかわらず、日本語教師が不足するという事態になっているのです。

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日本語教師の将来性

先ほどもお話しましたが、新型コロナウイルスの蔓延により、日本への入国を待っていた外国人労働者や外国人留学生が来日しています。また、日本国内での就労を希望する外国人の数は増加傾向にあります。
引き続き外国人労働者の受け入れを積極的に実施するという日本の状況は変わらないため、日本語教師の需要も増加していくと考えられます。
幅広い職業において外国人労働者が活躍するにつれ、日本語教師の活躍の場にも広がりがみられるようになることが予想されます。

日本語教師は稼げる?

日本語教育機関で常勤講師(専任講師)として正社員で働いた場合、平均年収は約280万円~450万円です。

一方で非常勤講師の年収は個人差があります。
授業を担当したコマ数分が給与となるため、週に何日(何コマ)授業を担当したか、1コマあたりの給与はいくらかによって給与が決まります。
最近は1コマあたりの給与が1,800円~2,000円程の教育機関が多いようです。別途担任手当や事務手当などが支給される場合もありますが、教育機関により異なります。

しかし、日本語教育能力検定試験などに合格することや、3年以上常勤講師(専任講師)として勤務するなど着実な実績を積めば、主任教員への昇格などのキャリアアップが望めます。

日本語教師に必要な資格と試験の難易度

現行の日本語教師は民間資格です。
日本語教師には小学校や中学校の教師のような公的な免許は存在しません。極端なことを言えば、働く意志があれば誰でも日本語教師として働けます。

すでにご存じの方も多いかもしれませんが、日本語教師は国家資格へ格上げされる予定です。
政府は2023年2月21日、日本語教師の国家資格「登録日本語教員」の資格を新たに創設することを閣議決定しました。
2023年6月頃までに法案成立見込み、2024年4月施行となる予定です。(2023年5月現在)

とはいえ、留学生を対象に授業を行う際には、出入国在留管理庁による「日本語教育機関の告示基準」を満たしている必要があります。

国内

国内で日本語教師として働く場合、日本語学校で働き始める人が多いのではないでしょうか。
日本語学校など、国内の日本語教育機関に勤務するには、

  1. ①4年制大学を卒業し、日本語教師養成講座420時間カリキュラムを受講し修了する。
  2. ②日本語教育能力検定試験に合格する。
  3. ③大学または大学院において「日本語教育に関する教育課程」を主専攻(45単位)または副専攻(26単位)し、卒業する。

法務省告示基準で認められた上記の3つの条件のうち、1つを満たさなければなりません。

高卒で大卒資格を有しない場合は、②日本語教育能力検定試験の合格で、日本語学校などで働くことができる基準を満たすことができます。
日本語教育能力検定試験は年に一度実施される検定試験で、日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的としており、大学における日本語教育の副専攻修了課程に当たる知識を問われる問題が出題されます。
日本語教育能力検定試験の合格率は25~30%と、難易度はやや高い試験です。

また、①日本語教師養成講座420時間カリキュラムは、自分の学習状況や生活スタイルに合わせて通信講座や通学講座を受講することで、420時間コースを修了することができます。

日本語教育能力検定試験について、詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

<関連記事>【2023年度版】日本語教育能力検定試験の合格点・合格率の傾向を徹底解説|ルネサンス日本語学院
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海外

海外の企業で日本語教師として働く場合は、日本国内での採用条件とは異なり、日本語教育能力検定試験の合格を必要としていない企業も存在します。

一方で、海外企業で日本語教師の求人を行っている場合には、即戦力となる確実な実績をもつ日本語教師を求めている企業が多く、日本語学校などに勤めた経験やボランティア活動など、実際に学習者に教えた経験がない場合、採用してもらうのが難しい場合も多いです。
この場合には、可能な限り自分のスキルや知識をアピールする必要があるので、日本語教育能力検定試験などの資格を保有していれば就職に有利になる場合もあるでしょう。

国内の就職先、海外の就職先について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

<関連記事>【日本語教師とはどんな仕事? 需要や向いている人の特徴を解説|ルネサンス日本語学院

日本語教師の需要は高まっている

日本国内に限らず、近年では世界中で日本語教育の需要が高まっています。

しかし、日本語教師は常に不足状態にあるため、今後も日本語教師の需要はさらに高まっていくことが予想されます。
現行の日本語教師は民間の資格ですが、日本国内で日本語学校に勤める場合には日本語教育能力検定試験の合格など、法務省告示基準で認められた条件を満たす必要があります。
海外で働く場合は、この限りではありませんが、日本語教師として必要な知識・スキルは身につけたほうが良いでしょう。

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