日本語教師養成コラム

「日本語教師はやめたほうがいい」と言われるが、それは本当?

公開日:2023.04.04 更新日:2024.09.10

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

日本語を教える女性

日本語は世界でも習得が難しい言語の一つと言われていますが、日本の文化を好んで来日したり、日本語を学んだりしている人は世界中にいます。
本記事では、日本語教師はやめたほうがいいと言われる理由や、日本語教師がおすすめな人、あまり向かない人の特徴などを詳しく紹介していきます。

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日本語教師とはどんな働き方なのか

外国人留学生が日本語を学ぶ日本語学校で働く日本語教師の多くは、非常勤講師です。
いくつかの教育機関をかけ持ちして教えたり、副業として日本語教師をしたりしている人も多くいます。自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる職業といえます。

<関連記事> 日本語教師とはどんな仕事? 需要や向いている人の特徴を解説
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日本語教師の常勤講師と非常勤講師の違い

日本語学校などの日本語教育機関において、常勤講師と非常勤講師で業務内容等、がらりと変わるのも日本語教師の 特徴です。
それぞれ解説していきます。

<常勤講師の特徴>

日本語学校の常勤講師(専任講師)は会社員と同じと考えるとイメージしやすいでしょう。収入は安定していますが、授業以外の事務的な業務も増える場合が多いです。
学生の生活面のサポートや学生募集、学校行事の企画・運営、コースデザインや教員の管理など、学校を運営するにあたり必要な業務を幅広く担当することもあります。

<非常勤講師の特徴>

非常勤講師は、担当する授業の時間に出勤し、授業時間のコマ数分の給与が支払われます。さまざまな求人情報を見ると、1コマ(45分1コマの場合が多い)1,800円~2,000円程の教育機関が多いようです。
常勤講師に比べると収入は不安定になりがちです。しかし、教えることに集中できること、複数の職場を掛け持ちし、さまざまな教育機関でも経験を積むことができるというメリットがあります。

日本語教師はやめたほうがいいといわれる理由

なぜ、日本語教師はやめた方がいいと言われるのでしょう。
その理由はさまざま考えられておりますが、今回は、収入面と業務量から説明していきたいと思います。

<収入面>

日本語教師は非常勤講師の割合が多く、生計を立てるために複数の教育機関やほかの仕事と掛け持ちをする場合もあります。
一方、常勤講師の給与は、さまざまな求人情報を見てみると20万円前後のところが多いようです。一般企業の大卒の初任給とほぼ同額と言えるでしょう。社会保険は完備されており、交通費が全額負担と上限付きと、教育機関により異なるようです。

日本語教師は収入面に恵まれているとは言いがたいかもしれませんが、日本語教師として「教えることに集中したい」と思う人は非常勤講師を、「授業以外にも運営面に携わりたい」と思う人は常勤講師を目指してみると良いのではないでしょうか。
まずは非常勤講師で授業をすることに慣れ、常勤講師として教材作成や学校運営全般に関わるようになるという方も少なくありません。

<業務量>

常勤講師は収入面では非常勤講師より安定していると言えますが、授業以外の業務の割合も多くなる場合があります。
生活面での指導や進路相談など、学生に関連のある業務に加え、教員のコーディネート、行事の企画・運営など、教育機関により多岐にわたります。学習面と同時に、生活面まで幅広く学生をサポートできるところも魅力の一つです。

日本語教師にあまり向かないはどんな人?

「日本語教師はやめたほうがいい」と言われる理由を解説してきましたが、一般的に「日本語教師にあまり向かない人」というのも存在します。それはどんな人でしょうか。

  • ・残業を避けたい人
  • ・効率重視で仕事をしたい人

<残業を避けたい人>

常勤講師になると、学生管理など授業以外の業務も担当する場合が多く、残業になってしまうこともあります。非常勤講師は授業準備などで残業をすることも可能ですが、基本的には担当する授業時間が終われば退勤が可能です。
しかし、日本語教師に限らず残業が発生する職業はあると思いますが、日本語教師は「人」を相手にしているため、突然の業務が発生することもあります。残業を避けたいと思っている人には向かない職業だと言えます。

<効率重視で仕事をしたい人>

日本語教師という仕事は、効率だけを考える人には難しい職業といえるかもしれません。さまざまな国からやってくる学生たちとのかかわりの中で、時には私たち日本人にとって常識と思っていることがうまく伝わらなかったり、授業が思いがけない方向に進んだり...ということもあります。
毎日新しいこととの出会いがあること、それを楽しんでいくことができない方は向かないかもしれません。

日本語教師がおすすめの人はどんな人?

では逆に、日本語教師がおすすめの人はどんな人でしょうか。以下、4つの例を用意しました。

  • ・仕事でやりがいを感じたい人
  • ・海外での仕事に興味がある人
  • ・自分のペースで仕事をしたい人
  • ・年齢に左右されずに仕事をしたい人

それぞれ簡単に解説していきます。

<仕事でやりがいを感じたい人>

日本語教師の一番の魅力はやりがいでしょう。 異文化に触れられるだけでなく、その先にある気づきには何ともいえない高揚感があります。
今までの当たり前が柔らかく解きほぐされていく感覚は、大きな視野の広がりを感じることができます。

<海外での仕事に興味がある人>

日本語教師の活躍の場は国内だけではありません。 渡日前の外国人や日系企業など、海外でも就職先はさまざま。
「海外で仕事をしたいけど、日本語にも触れていたい」という人には打ってつけの職業といえるでしょう。

<関連記事> 日本語教師として海外で働くには?条件や必要なものを解説

<自分のペースで仕事をしたい人>

最近は働き方にも多様性が見られ、副業ブームも見られます。 比較的自由なライフスタイルを送りたい人には、非常勤の日本語教師がおすすめです。
勉強を楽しめる人であれば、仕事でありながらも自己成長の一環として楽しめそうです。

<年齢に左右されずに仕事をしたい人>

「年功序列の波に飲まれるのが嫌」「定年退職したけれど新しい仕事をしたい」 そんな人にも日本語教師はおすすめです。
授業では、年齢はもちろん、国籍も多種多様で、そこに優劣はありません。また、セカンドライフとしての日本語教師も人気が高いため、50歳、60歳からでも働けます。
さまざまな場で、多くの方が日本語教師としての充実したセカンドライフを送っています。

<関連記事>日本語教師になるにはどうすればいい?必要な条件や方法を解説

日本語教師は素敵

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今回は、日本語教師とはどんな働き方か、日本語教師の常勤講師と非常勤講師の違いについてご紹介し、業務内容と働くスタイルの違いをご紹介しました。そのうえで、日本語教師はやめたほうがいいといわれる理由を収入面と業務量の点から説明し、働き方の点から日本語教師に向かないという例と日本語教師に向いている人の例を紹介しました。

日本語教の業務内容について、イメージをもっていただけたでしょうか。
日本語教師という仕事は、毎日新しいこととの出会いがあり、多くの価値観に触れ、多くのやりがいを感じられる職業だと感じています。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。