日本語教師養成コラム

フリーランスとして活動する日本語教師の主な働き方と収入の目安

公開日:2024.11.11 更新日:2025.02.21

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監修者情報

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

「日本語教師はフリーランスとして働ける?」 「フリーランスの収入はどれくらい?」 などの疑問を抱いていませんか。

最初に結論を示すと、日本語教師はフリーランスとしても活動できます。

ここでは、フリーランスとして活動する日本語教師の働き方と収入の目安を紹介するとともに、
活動にあたり必要になる準備を解説しています。

日本語教師を目指すにあたって、自分らしい働き方を探している方は参考にしてください。

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フリーランスの日本語教師とは

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厚生労働省は、フリーランスを以下のように定義しています。

【実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、
スキルを活用して収入を得る者】

引用:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」

日本語教師にあてはめると、特定の教育機関などに所属せず、日本語を教えて収入を得ている者と言えます。

リーランスの日本語教師に必須の資格はありませんが、仕事を獲得するにあたり一定の知識、経験、
スキルを求められる傾向があります

特定の教育機関に所属しないぶん、即戦力として活躍できる能力を求められるためです。

資格だけではなく、経験も豊富でない場合、フリーランスとしての活動は難しいでしょう。


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フリーランスの日本語教師の働き方

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フリーランスの日本語教師は、どのような働き方をしているのでしょうか。

ここでは、主な働き方を紹介します。

非常勤講師を掛け持ちする

フリーランスの日本語教師の多くが、日本語学校で非常勤講師として働いています。

非常勤講師は、特定の教科や授業のみを担当する講師を指します。
勤務先により業務の範囲は異なりますが、基本的には当該教科、授業にあわせて勤務するスタイルが一般的です。

非常勤講師は、常勤講師に比べると拘束時間が短いため、複数の日本語学校で教科、授業を掛け持ちしている方もいます。

主な給与形態は、時給制または授業コマ数制(授業回数×単価)で、労働時間または授業コマ数に応じて収入を得ます。
け持ちで働く場合は、移動時間などを加味したうえで、スケジュールを調整することが大切です。

オンライン授業で教える

オンライン授業の講師として働いている方もいます。

自宅で働けるうえ、隙間時間を活用できるため、他の働き方と組み合わせることも可能です。

オンライン授業の魅力は、学習者に寄り添った教育を行いやすいことです。
マンツーマン制または少人数制を採用しているケースが多いため、細部までこだわった教育を行える傾向があります。

日本語教師の個性を活かしやすい点も、オンライン授業の魅力の一つです。

さまざまなニーズが存在するため、趣味(漫画、旅行など)や特技(接客業の経験など)を授業に活用することもできます。
主な勤務先として、オンライン授業を取り入れている日本語学校、日本語を教えている
オンラインスクールが挙げられます。

一般企業の研修を請け負う

一般企業で「外国人労働者向け日本語研修」の講師として働く方もいます。

現在のところ求人数はそれほど多くありませんが、外国人労働者を採用する企業が増えている傾向にあるため、
需要が徐々に高まっている働き方と言えるでしょう。

「外国人労働者向け日本語研修」の主な目的は、日本の企業で働く外国人労働者に向けて、
仕事で使用する日本語と日本のビジネスマナーを教える
ことです。

したがって、日本語教師の経験以外に、一般企業での勤務経験があれば、プラスの評価を受けられる可能性があります。

教材や書籍、Webコンテンツを作成する

日本語教師で培った日本語に関する専門的な知識を活かし、ライターとして活躍することもできます。

たとえば、日本語教材や日本語関連の書籍の執筆、ブログやSNSの活用などです。

書籍の出版には、原則として出版会社の協力が必要です。

ブログやSNSは、大きな収入にはつながりにくいですが、オンライン授業の学習者を集めるきっかけになったり、
書籍を出版するきっかけになったりする可能性があります。

自身のブランディングにつながる働き方であり、フリーランスならではの仕事と言えるでしょう。

自分で教室を開く

自分で日本語教室を開いて収入を得ることもできます。 他の働き方に比べて、
自由度が高い点が主な魅力です。 以下の点などを自由に決めることができます。

【自分で決定できること】

  • 学習者の人数
  • 教室の場所
  • 授業料
  • 授業時間
  • 授業の内容

ご自身の希望に合わせて環境を整えられるので、理想を実現しやすい働き方です。

ただし、学習者を集められなければ、収入を得られません。

教室を開く前に、まずは日本語教師としての経験を積むなど、安定した収入を得られるための一定の準備が必要です。


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フリーランスで働くメリット・デメリット

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フリーランスの日本語教師には、次のメリットとデメリットがあります。

メリット

代表的なメリットとして、自分のペースで働けることが挙げられます。

特定の教育機関などに所属していないため、ワークライフバランスを意識して働く場所や仕事の量を自分で調整しながら、
さまざまな経験を積むことが魅力です。

日本語教師に求められる役割や日本語の指導方針は、勤務先によって異なります。
さまざまな職場で働くことで、スキルアップが期待できるでしょう。

また、勤務先が増えると、人脈が広がることもあり、将来の仕事に活かせる点もフリーランスの魅力と言えます。


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デメリット

主なデメリットとして、収入が安定しにくいことが挙げられます。

フリーランスは、自分で仕事を探して請け負う必要があるので、特定の教育機関などから、
毎月決まった給与が支給されるわけではありません。

また、フリーランスの収入は、原則として仕事の量に比例しますので、仕事がなければ収入を得られません。

なんらかの事情で働けない期間があると、その期間の収入はゼロになってしまうわけです。

なお、フリーランスにおいては、確定申告や社会保険の手続きも自分で行わなければならない点にも注意が必要です。

フリーランスの日本語教師は稼げる?

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フリーランスとして活動する日本語教師の年収には、仕事の量を自分で調整できるためにやや幅があります。
したがって、相場を示すことはできません。

単価によりますが、仕事を多く対応すればするほど月収が増えるので、年収も高くなると言えるでしょう

ちなみに、雇用形態別の平均年収は次のとおりです。

雇用形態 平均年収 正規の職員など 506.1万円 期限付きフルタイム雇用 419.0万円 パートタイム雇用 154.0万円

参照:大学日本語教員養成課程研究協議会「大学日本語教員養成課程研究協議会」


フリーランスによって年収は異なりますが、授業1コマあたりの報酬はどれくらいなのでしょうか。

文化庁が発表している資料によると、授業1コマあたりの単価で最も割合が高いのは1,000円~2,000円(31.4%)、
次に割合が高いのは2,000円~3,000円(29.4%)です。

授業1コマあたりの報酬は、1,000円~3,000円が相場と言えるでしょう。

参照:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査結果概要」

フリーランスで稼ぐためのコツ

非常勤講師を掛け持ちすると、収入が安定しやすくなります。

掛け持ちする場合は、ダブルブッキングに注意しましょう。
授業の直前にお断りすると、信頼を失って仕事を依頼してもらえなくなります。

また、一定の手数料はかかりますが、便利なツールが揃っており業務の効率化を図れる、
オンライン学習プラットフォームの活用もおすすめです。

ただし、大きな稼ぎにつなげることは難しいかもしれません。 空いた時間に活用するなど、
自分に合った取り組み方を見つけると収入を増やすことができるでしょう。

ほかにも、仕事を紹介してもらえるように、日本語教師の仲間や既存の取引先など、人脈を広げることが大切です。


<関連記事>日本語教師の年収はどれくらい?高収入を目指すためのポイント

フリーランスの日本語教師を目指すために必要な準備

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フリーランスの日本語教師になるには、さまざまな準備が必要です。 以下で、詳細を解説します。

インターネットで情報を収集する

最初に取り組みたいのが、インターネットを活用した情報収集です。

フリーランスの日本語教師として成功するためには、市場の需要や競争状況を正しく理解する必要があります

特別な資格を必要としないため、誰でもフリーランスの日本語教師を名乗れますが、
すべての方が同じように収入を得られるわけではありません。

より高い収入を得るためには、どのような準備が必要なのかを確かめておくことが大切です。

情報収集の方法としては、日本語学校のコンテンツや、フリーランスの日本語教師が運用しているSNSなどが挙げられます


<関連記事>日本語教師は何歳までならなれる?事前に確認しておくべき条件

「日本語教師養成講座」を修了する

日本語教師養成講座は、日本語教師に求められる知識・スキルを養成する講座です。

具体的には、文化庁へ届け出て受理されている講座を指します。
日本語教員の要件は「日本語教育機関の告示基準」で定められており、要件のひとつに以下の内容が含まれています。

学士の学位を有し、かつ、日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを
420単位時間以上受講し、これを修了した者
引用:法務省「日本語教育機関の告示基準解釈指針」

つまり、同養成講座の修了には420単位時間以上の研修が必要ということです。

日本語教師養成講座は、さまざまな日本語学校やオンラインスクールなどが開講しており、
特徴が異なるため、目的に合っているところを選びましょう。

「日本語教育能力検定試験」に合格する

日本語教育能力検定試験は、学習者のニーズに応じた教育を行うために求められる、
日本語教育の知識や能力を測る試験です。

一般的に、日本語教師養成講座と同じく、日本語教師の実力を示す基準になると考えられています。

出題範囲は「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」の5分野です。

受験資格は設けられていませんが、専門的な知識を求められるうえ出題範囲も広いため、
独学での合格は難しいかもしれません。 合格を目指したい方は、対策講座の活用を検討すると良いでしょう。

参照:JEES 日本語教育能力検定試験

実務経験を積む

前述した講座や試験だけではなく、ボランティアや法務省告示校(日本語学校)などでの実務経験も
フリーランスとして活動していく際に求められます。

「日本語教師養成講座」を修了すること、あるいは「日本語教育能力検定試験」に合格することで、
日本語教育に必要な知識を習得していると証明できます。

ただし、これらの講座の修了や試験の合格だけでは、他の日本語教師と差別化できるわけではありません。

上記の修了や合格は、日本語教師に求められる基礎的な要件です。
フリーランスとして活動する場合は、クライアントや学習者から選ばれるための強みが必要です。

したがって、実務経験を積み、自分だけの強みを身につけることが大切です。

日本語教師はフリーランスとしても働ける

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この記事では、フリーランスとして活動する日本語教師の働き方などを解説しました。

主な働き方として、非常勤講師を掛け持ちする、自分の教室を開くなどが挙げられます。
フリーランスのメリットは、自由に働きながらさまざまな経験を積めることです。

魅力を感じる方は、日本語教師養成講座の修了を目指してみてはいかがでしょうか。


<関連記事>日本語教師のやりがいとは?詳しい仕事内容や将来性も紹介


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この記事の監修者

監修者の写真

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。