日本語教師養成コラム
日本語教師のやりがいとは?詳しい仕事内容や将来性も紹介
公開日:2025.01.28 更新日:2025.02.21

監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
日本語教師は、日本語を学びたい方に向けて日本語を教える職業です。母語が日本語でない方と接する機会が少ないと、
あまり馴染みのない職業かもしれません。
そのため「どういった仕事をしているのだろう」という疑問をお持ちの方も、多いのではないでしょうか。
本記事では、日本語教師の主な仕事内容と、その仕事に携わるなかで感じられるやりがいを解説します。
日本語教師に興味がある方、日本語教師を目指しているけれど悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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日本語教師の主な仕事内容
日本語教師の主な仕事は、大きく3つに分けられます。
以下で、詳しく解説します。
日本語の指導
日本語の指導は、日本語教師のメインとなる仕事です。
日本語の文法や読み書き、発音などを、学習者の目標に合わせたカリキュラムに沿って指導します。
指導する際は、体系的に日本語を学べるよう教えなくてはなりません。
たとえば、日本語を母語とする方が英語を学ぶときにまず文法を覚えていくように、
日本語の学習においても、日本語の文法を学ぶことが必要となります。
しかし、日本語母語話者の私たちが学んできた国文法と、日本語学習者に教える日本語文法は全く違うものです。
日本語の文の構造や品詞を、日本語を初めて学ぶ学習者でも分かるようにしたのが「日本語文法」です。
このように、今まで自分が学んできたものとはまた異なる「教えるための日本語」の知識が日本語教師には求められるわけです。
授業の準備や学習者のサポート
日本語を指導する際は、授業計画の作成や授業に関連する教材の準備、テストの作成と採点など、授業に関連する仕事も発生します。
また、日本語学校等に勤務する場合は、学習者の進路相談や就活の面接練習など、
授業以外で行う学習者のサポートも、日本語教師が担うことがあります。
日本の文化やマナーの伝達指導
日本語教師が教える文化は、伝統文化やサブカルチャーだけではありません。
日本語を通して、日本の生活、マナーを教えることも大切です。
日本語学習者の多くは、日本語を使って日本で生活したり働いたりすることを目指しています。
そのため日本語教師は、学習者に対して日本の生活文化や風習、ビジネスマナーなどを必要に応じて伝えていけるとよいでしょう。
例えば、電車やバスなどの交通機関では電話をする人が少ないことは、他国と比べると珍しいことかもしれません。
日本で生活するのであれば日本のルールに従うべき、と押し付けるのではなく、
日本語学習者が日本と自国のルールの違いに戸惑う前に、学習に織り交ぜて伝えることができるかもしれないということです。
このように、学習者がより日本文化にふれられるような工夫を考えつつ指導していく技術も、
日本語教師の一つのスキルとなるのです。
日本語教師のやりがい
日本語教師として働くにあたって、前項で述べたような仕事を通して、どのようなやりがいを感じられるのでしょうか。
ここでは具体例を挙げて紹介します。
学習者の成長を直に感じられる
日本語教師は、学習者に寄り添いながら、成長を見守っていける職業です。
最初は日本語をまったく話せなかった学習者が、流暢な日本語で話せるようになった姿を見たときには、感慨深いものがあります。
また、学習者から「教えてくださってありがとうございます」という感謝の言葉を直接もらえることもあります。
自分の行動に対して相手が喜んでくれる姿を見ることがモチベーションにつながる方は、
日本語教師として働くなかでやりがいを感じられるはずです。
学習者の目標達成に貢献できる
日本語学習者の多くは、日本への留学や就職を始め、様々な目標をもって日本語を学んでいます。
そうした目標達成に貢献できることも、日本語教師のやりがいの一つです。
日本語学習者が目標を達成するためには、学習者の努力にくわえて、日本語教師によるサポートも欠かせません。
目標までの壁を学習者と一緒に乗り越え、ともに喜びを分かちあえるのは、日本語教師の特権だといえます。
自分自身の成長を実感できる
日本語教師の仕事を続けていると、指導方法に思い悩み、試行錯誤を余儀なくされることもあるかもしれません。
しかし、そういった苦労の末に、ご自身の確かな成長の実感が得られるはずです。
たとえば、日本語学習者に対して思うように伝えられなかったことが、上手く伝えられるようになったときには、自分自身の成長を感じられるでしょう。
日本語の理解が深まる
日本語を日常的に使っていると、単語の意味や役割などを考える機会は少なくなる傾向にあります。
結果「ただなんとなく日本語を使っている」という状態の方が多いのではないでしょうか。
しかし日本語教師は、日本語を母語としない方に指導するため、思いがけない気づきに出会うことがあります。
助詞の意味の違いや、似た単語の使い分けなど、
自分が当たり前に使っていた日本語を多角的に見つめる機会となるのです。
日本文化に対して新たな気づきを得られる
日本語教師として日本文化を教えていると、海外文化のなかで生まれ育った学習者から、
日本文化の新たな側面に気づかされることがあります。
海外では見慣れない光景だと知ると、当たり前だと思っていた日本文化の見方も変わるかもしれません。
外国人の視点から見た日本文化の話を聞くのが好きな方や、
自分の日本文化に対する考え方が変化するのを面白いと感じる方は、楽しみながら働いていけるでしょう。
自分に合った働き方を選べる
日本語教師は、働く場所や雇用形態を自分のライフスタイルに合わせて選択できるため、充実感を得やすい仕事です。
日本語教師が働ける場所は、多岐にわたります。
国内の日本語学校はもちろん、国外の日本語学校やオンラインスクールでの就業も可能です。
また雇用形態も、常勤講師や非常勤講師、フリーランスなどさまざまです。
フルタイムで働くのが難しい場合は、雇用形態を変えて勤務時間を調整できます。
日本語教師は、ほかの職業に比べ、働く場所や時間の制約が厳しくはありません。
そのため、ライフスタイルの変化が多いような方でも、日本語教師として長く働きつづけることができます。
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日本語教師に必要な準備
日本語教師は多くのやりがいを感じられる仕事ですが、準備が必要です。
以下では、日本語教師として働いていくうえで必要な項目を解説します。
<関連記事>日本語教師になるには?求められる条件や向いている人&主な仕事内容
認定日本語教育機関で働くには国家資格を取得しなければならない
日本語教師として働くにあたって、ボランティアで日本語を教える、あるいはオンラインで指導する場合は、
国家資格の取得は義務づけられていません。
しかし、適正な日本語教育を確実に行える場として文部科学大臣が認めている、認定日本語教育機関で働くには、
"登録日本語教員"という国家資格が必要になります。
登録日本語教員は、基礎試験と応用試験で構成されている日本語教員試験に合格したうえで、教育実習を終えると取得できます。
日本語教員試験を受験するにあたって年齢や学歴などの制限はなく、どなたでも挑戦が可能です。
ただし、日本語教員試験は日本語教育に必要な知識や技能を問われるものであるため、
事前に講座を受けるといった方法で対策しておくことが望ましいといえます。
なお、登録日本語教員は施行されて間もない資格であり、現在は経過措置が行われている期間です。
経過措置の対象講座では、4年制の大学を卒業しており、これから登録日本語教員の取得を目指す方であれば、
条件を満たすと基礎試験と教育実習が免除されます。
登録日本語教員の取得は相応の準備が必要ですが、日本語教師としての活躍の場を広げるためにも、取得しておいたほうがよいでしょう。
日本語教師の将来性
日本語教師は、今後ますます需要が増えると見込まれている、将来性のある仕事です。
海外から来日する在留外国人の数は、年々増加傾向にあります。
一方で、日本語を教えられる日本語教師の数は足りていません。
そのため、日本語教師の働き口がなくなるといった可能性は低いでしょう。
前項で述べたような準備は必要であるものの、多くのやりがいを感じながら自分のペースで働きつづけられるので、
今から目指す価値は十分にあるといえます。
<関連記事>日本語教師の需要はある? 海外と国内の現状を紹介
日本語教師に向いている方の特徴
日本語が好きで、日本語を教えるための知識とスキルを学んでいきたいという方には、日本語教師はぴったりです。
とりわけ日本語教師に向いている方には、6つの代表的な特徴があります。
以下で、細かく見ていきましょう。
<関連記事>日本語教師に向いているのはどんな人?仕事内容も解説
特徴①人に何かを教えるのが好き
人の役に立てるよう、何かを教えることが好きな方は、日本語教師にも向いています。
日本語教師は、日本語学習者に寄り添い、その努力をサポートできる仕事です。
教えたことを吸収して成長していく学習者の姿を見守りながら、
目標を達成した際の喜びを分かち合えます。
教えることが好きな人は、そのような瞬間に大きな達成感を得られるでしょう。
特徴②コミュニケーションをとるのが好き
日本語教師は、日々多くの学習者と交流しながら日本語を指導します。
そのため、人と積極的にコミュニケーションをとることが好きな方には、うってつけの仕事です。
日本語学習者は、出身国や生まれ育った環境、年齢なども多岐にわたります。
学習者たちの多様性を尊重し、信頼関係を構築していくには、高いコミュニケーション能力が欠かせません。
また、日本国内で教鞭をとる日本語教師の場合は、
慣れない日本での生活にストレスを抱えている学習者のメンタルケアを担う必要もあります。
学習者の心の健康を保つためには、日本語教師による積極的なコミュニケーションが不可欠なのです。
このように、日本語教師はあらゆる場面でコミュニケーションを求められるため、人と話すことが好きな方に向いています。
特徴③忍耐力と柔軟性がある
日本語教師には、困難な状況にも粘り強く向き合う忍耐力と、
不測の事態でも臨機応変に対応できる柔軟性が求められます。
たとえば学習者の理解が思うように進まないときは、日本語教師がしっかりと向き合い、
つまずいている部分を把握したうえで時間をかけてフォローしていくことが必須です。
また、学習者同士の意見が衝突してしまったような場面でも、教師という立場で柔軟に対処する必要があります。
さまざまなバックグラウンドをもつ学習者が集まっている状況では、
国籍や文化などの違いから、学習者同士の争いに発展してしまうことは少なくありません。
そのため、日本語教師は「どんなことが起こっても、その事態に粘り強く向き合ったうえで柔軟に対応できる」という方に適した仕事です。
特徴④異文化に興味がある
日本以外の国の文化に強い興味と関心がある方にも、日本語教師は向いています。
日本語学習者のほとんどは、日本以外の文化で生まれ育った方たちです。
そのため、学習者との交流が増えれば、異文化に触れる機会も多くなります。
日本とは違う文化に興味を抱き、好奇心をもって受け入れられるのであれば、
学習者と良好な関係を築けるでしょう。
特徴⑤日本のことを外国人に伝えたいと思っている
日本語教師は、日本の文化や歴史などの知識を取り入れたうえで
周りに発信していきたいと思っている方にも適した仕事です。
日本語教師は、日本語をはじめとした、日本に関するありとあらゆることを教えなくてはならないので、
自分自身も日本について学ぶ必要があります。
そのため、幅広い日本の知識を積極的に取り入れていく姿勢が大切です。
また、日本語を教えるときも、日本の幅広い知識をもっている方であれば、教科書を超えた部分まで独自の視点で指導できます。
たとえば、教科書に載っていないような地域のイベントや
日本人ならではの習慣を題材にしたうえで、授業を展開することも可能です。
日ごろから日本の情報を集めている方には、向いているといえます。
特徴⑥海外で働きたいと思っている
海外でも日本語教師の需要は高まっているため、日本国外で働きたいと思っている方にとっては、
日本語教師になることも目標を達成する手段の一つとなりうるでしょう。
特に中国やインドネシア、韓国では日本語学習者が増加傾向にあり、
日本語教師の需要は増すばかりです。
海外で働く夢を叶えるためにも、日本語教師を目指してみてはいかがでしょうか。
日本語教師は教える喜びを感じられる仕事
今回は、日本語教師のやりがいや働くうえでの苦労を紹介しました。
日本語教師は習得が難しい日本語を指導する職業であり、相応の準備が必要とされるものの、
それ以上に教える喜びを感じられる仕事です。
さまざまな国で需要があり、海外で働くチャンスも得られます。
日本語教師としての活躍の場を広げていきたいのであれば、認定日本語教育機関でも働ける、
登録日本語教員の取得がおすすめです。
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この記事の監修者

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。