日本語教師養成コラム
日本語教師は何歳までならなれる?事前に確認しておくべき条件
公開日:2024.09.06 更新日:2024.09.10
監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
「日本語教師になりたいけれど年齢が遅すぎるのではないかと感じている」
「何歳まで日本語教師として働ける?」
日本語教師として外国人に日本語を教えたいと考える方の中には、年齢的な問題を感じている方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、日本語教師は何歳まで働けるのか、また目指すにあたってはどのような条件があるのかといった点を解説します。
この記事を読むことで、何歳までなら日本語教師を目指せるのかがわかるようになるので、ぜひご覧ください。
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日本語教師は何歳まで働けるのか
日本語教師に年齢制限はないため、何歳からでも目指すことができ、何歳まででも働くことができます。
採用市場のメインは中途採用・経験者採用なので、新規学卒者でなければ不利になるようなこともありません。
また、日本語教師を募集している機関・施設の中には、未経験者向けに研修制度を用意しているところもありますので、経験不足を懸念している方でも安心です。
30歳、40歳を過ぎているからといって、日本語教師になる道を諦める必要はありません。
50~60代でも、多くの方々が日本語教師として活躍されています。 幅広い年代に就職の機会が得られ、長く働ける職業と言えるので、
年齢問わず興味を持った段階で日本語教師の道を目指してみてください。
日本語教師に多い年代
年齢制限はないとされていても、実際には若い世代ばかりが活躍しているのではないかと心配する方もいらっしゃるでしょう。
文化庁が発表したデータによると、令和4年度の年代別日本語教師等の数は、以下の通りでした。
10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 不明 |
275人 | 2,380人 | 3,649人 | 6,755人 | 8,571人 | 9,625人 | 5,851人 | 6,924人 |
0.6% | 5.4% | 8.3% | 15.3% | 19.5% | 21.9% | 13.3% | 15.7% |
参考:(PDF)文化庁国語課:令和4年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要[PDF]
このデータからもわかるように、50代と60代の日本語教師の数が全体の約41%を占めており、実際には50~60代の教師が多いと言えます。
さらに、年齢が不明の方を除いても、70代以上の方が全体の13.3%を占めており、50代以降でも長く活躍できる職業であることがわかります。
日本語教師になるための条件
日本語教師になるには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。
日本語学校をはじめとする認定日本語教育機関で働く場合は、今後国家資格「登録日本語教員」が必要ですが、
それ以外の機関・施設で働く場合、資格は必須ではありません。
ただし、日本語に精通していることが求められるため、多くの民間日本語学校では下記のいずれかを満たすことが採用条件として設けられています。
これから日本語教師を目指す方は、以下に示す方法の中からご自身に合った方法を選択することになります。
参考:(PDF)文部科学省総合教育政策局日本語教育課:登録日本語教員の登録等について(新たに日本語教員になろうとする方向け)
大学や大学院で日本語教育を専攻する
まず、挙げられるのが大学や大学院に入り、日本語教育に関する専攻・副専攻課程を修了するか、
日本語教育に関する科目を取得して卒業する方法です。
大学院への進学は必須ではありませんが、日本語に関してさらに深く学びたい方や、大学や独立行政法人等特定の団体で働きたいと考えている方は進学を検討しましょう。
大学に入学して日本語教師を目指す場合、卒業までには短くても2年、通常4年、留年した場合はそれ以上の時間が必要です。
年齢的な問題に考慮し、できるだけ早く日本語教師になりたいと考えている方にとって、入学の試験、日本語以外の科目の受講や定期試験、卒業論文など、
一般的に大学で実施している内容にも対応することになります。
そのため、大学卒業をしたいと考えていなければ、日本語教師になるために大学に入学することはあまり現実的ではありません。
日本語教育能力検定試験を受験する
日本語教育能力検定試験に合格して、日本語教師になる方法もあります。
この方法は大学に入る必要がないものの、現状はこの試験だけに合格しても日本語学校の採用条件に合わないことも多く、
フリーランスやオンラインでの日本語教師という形で始めることになるでしょう。
日本語学校への就職を希望する場合は、この試験合格以外に日本語を教えた経験や420時間コースを修了していることが求められます。
また、新制度の国家資格である「登録日本語教員」を取得する試験ではないことに注意が必要です。
試験は毎年1回、10月に行われています。 令和5年度の日本語教育能力検定試験のデータを見ると、全科目受験者が8,211人、合格者は2,542人でした。(※)
受験するにあたり条件は特に定められていないものの、合格率は31%程度と低いことがわかります。
独学で受験される方もいらっしゃいますが、最低でも数カ月間は専門的な勉強が必要でしょう。
年に1度しかない試験ですので、短期間での合格を目指すためにも、講座などを活用して効率的に学ぶことをおすすめします。
※参考:(PDF)公益財団法人 日本国債教育支援協会:令和5度日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験者・合格者数 推移[PDF]
日本語教師養成講座を受講する
民間の教育機関で日本語教師養成講座を受講する方法でも、日本語教師を目指せます。
日本語教師養成講座を受講する場合、教育機関で420単位時間の履修が求められています。
420単位時間のうち何割かを通信教育で学べる機関もあるため、大学に通いながら、
あるいは働きながら日本語教師を目指したい方に適しています。
独学で日本語教育能力検定試験に合格した場合は、ボランティアやフリーランスとして自身で実践経験を積むことから始めることが多いようです。
その点、日本語教師養成講座の場合は、日本語教育の現場見学や教育実習も受けられます。
なお、日本語教師養成講座を受講して日本語教師を目指す場合、4年制大学の卒業をしていると、日本語学校での就職や国家資格の取得が有利な条件になります。
※参考:一般社団法人全国日本語教師養成協議会:日本語教師養成講座
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日本語教師になるうえで年齢よりも大切なこと
ここまで年齢について述べてきましたが、日本語教師を目指す際には、
年齢以上に考慮すべき重要な要素があります。 それは、社会経験と金銭面での余裕です。
社会経験
社会経験を持って日本語教師になると、教育現場での活躍が期待できます。
日本語教師は、日本に興味がある外国人に向けて、日本語だけではなく、日本の文化や社会についても広く教える能力が必要です。
特に、海外で働いていた経験や、海外からの留学生を受け入れて指導したという経験は、
日本語を母語としない相手がどう学んでいくか、海外で日本語がどのように求められているかを認識しやすいため、教育現場でも活きます。
そのため、年齢が高い方や、途中から日本語教師になる方は、これまでの社会経験をもとに活躍できる傾向があります。
金銭面
目指していた日本語教師になれたからといって、すぐに希望する収入が得られないケースが考えられるので、
金銭面には多少なりとも余裕があると良いでしょう。
特に日本語教師は教育した経験の有無が待遇に影響しやすく、副業として活動をはじめたり、
貯蓄に余裕がある状況で日本語教師をはじめたりすることで、経験を積んで収入を上げていくことが一般的です。
一定の経験を積めば収入は安定していくものですが、それまでの期間を低収入でも乗り切るための貯蓄があると安心です。
国家資格化により、こうした待遇が改善されることも期待されています。
ルネサンス日本語学院の受講を決めた60代の方のアンケート
ルネサンス日本語学院で420時間コースを受講される方には、
50代~60代の方も多く、どういった理由で日本語教師を希望されたか、学習した後などについてアンケートをいくつか紹介していきます。
60代の方のコメント:入学した理由について
「私自身が外国に20年以上いた経験があり他言語の習得に苦労した為、学習者の気持ちに寄り添い教えることが出来ればと日本語教師を目指しました」
「医療機関で働いておりますが、仕事の関係上で日本語の学び方に興味を持っていました。 また、自分の年齢も考え、独りでも何かできることあればなと考えていました」
60代の方のコメント:講座修了した後について
「実際に外国人学習者の前で授業をしてすごく楽しいです! 理解してくれた時はお互いとても嬉しい気持ちになり、英語を使わず日本語を日本語で教える直接法の楽しさにはまる方もいらっしゃるんではないでしょうか」
「講座修了してもeラーニングはまだ見ることできるので、見返しつつ国家資格「登録日本語教員」の取得は目指したいと思います。 今の仕事はまだまだありますが、いずれは日本語教師としてやっていきたいと思っています」
このように、60代から受講をはじめ、日本語教師になりたいと考え、講座終了後に就職をみすえて学習されている方がいらっしゃいます。
日本語教師に年齢制限はないことや、これまでの人生経験が日本語教師になりたいと考えるきっかけになっていることが分かります。
何歳からでも日本語教師を目指せる
今回は、日本語教師は何歳まで目指せるのかを紹介しました。
解説した通り、日本語教師の仕事に年齢制限はないので、興味を持っている方は今からでも日本語教師を目指してみてください。
教師や教育の経験がなく、実際の教育現場で活用できる経験を積みたい方には、日本語教師養成講座の受講がおすすめです。
日本語教師養成講座ならルネサンス日本語学院にお任せください。
420時間コースの場合、カリキュラムの約70%が自宅で完結するため、忙しく頻繁に通学するのが難しい方にもぴったりです。
ルネサンス日本語学院の日本語教師養成講座を詳しく知りたい方は、個別相談フォームよりお気軽にお問合せください。
お申し込みはこちら 個別相談フォーム | ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座 (rn-ac.jp)
この記事の監修者
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。