日本語教師養成コラム

日本語教育能力検定試験のおすすめのテキストを紹介

公開日:2023.09.21 更新日:2024.09.10

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監修者情報

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

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日本語教育能力検定試験のおすすめのテキストを知りたい」
「そもそも日本語教育能力検定試験用のテキストとは?」
「日本語教育能力検定試験の注意点や勉強方法は?」
昨今、外国人に日本語を教える職の需要は高まっており、日本語教師にも質の高い教育が求められています。

本記事では、日本語教育能力検定試験のテキストについて解説していきます。
日本語教師が国家資格へ移行することも決定しました。
日本語教育能力検定試験に対し、不安や悩みを抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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日本語教育能力検定試験とは?

「日本語教育能力検定試験」とは、日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的とした試験です。
出題範囲は日本語教育に係る知識・技能・教材選定・授業展開など幅広い領域にわたります。
また、合格した場合、海外の大学の日本語教育での採用条件や、日本での就職先での有利な評価・待遇を期待できるなど、さまざまなメリットがあります。
試験は毎年1回だけ実施され、その合格率は例年30%をやや下回る程度となっています。
また、日本語教育能力検定試験には級が存在せず、合格点に届かなかった場合は認定が受けられず、チャンスは来年以降ということになります。

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日本語教育能力検定試験の合格率

日本語教育能力検定試験は日本語教育に携わる方が持つべき実践的な能力を測定するもので、実際に授業を行ううえで必要な知識や技術を問う試験です。
このため難易度は高く、合格率も高くはありません。
例年20%前後の合格率であるため、初めて挑戦する受験者が合格するためには、十分な準備と努力が必要です。

とはいえ、独学でも十分に合格できる可能性があります。
現在、多くの参考書やオンラインの教材があり、自宅学習に適した資料が揃っています。
独学によって自分のペースで学ぶことができ、自分に合った学習スタイルを確立することもできるでしょう。
ただし、独学だけで合格するためには、効率的な学習方法や成績分析、模擬試験の活用が必要です。
また、模擬試験によって自分の不足点を把握し、対策を練ることも重要です。
独学でも合格できる可能性はあるものの、自らの意思で努力し、自分自身で責任を持って学習を進める姿勢が必要です。

日本語教育能力検定試験の注意点

日本語教育能力検定試験について、注意点として挙げられる点としては、模擬授業や教壇実習などの実践的な経験ができないということです。
試験は知識の評価が主で、授業をする際に必要な実践的なスキルを学べる場ではありません。
そのため、実際に教壇に立ってから初めて学ぶことも多々あります。
また、1年に1回しか試験が行われていないため、受験したい人は計画的に勉強しなければなりません。
低い合格率も相まって、数回受験しなければ合格できない人もいるため、時間と精神的な負担がかかることも考慮すべきです。
実践的なスキルを学べないことや、1年に1回しか試験がないことなどを踏まえ、資格取得やその後のキャリアのための勉強を進めていきましょう。

日本語教育能力検定試験の勉強方法

ここまで、日本語教育能力検定試験の概要、合格率、注意点とそれぞれ見てきました。
ここからは、実際に日本語教育能力検定試験の勉強をする方法について解説していきます。
ここでは、以下の2つのパターンに分けて解説します。

  • ・独学
  • ・講座の受講

それぞれ見ていきましょう。

独学

まずは独学のパターンから見ていきましょう。

独学は、自分自身で問題を解決するために自己主導的な学習ができる人、独自の興味や好奇心を持って探究することができる人、自分の時間管理能力が高く計画的な人、そして自分自身を律することができる人などが向いています。
ここからは、さらに独学で日本語教育能力検定試験を勉強するうえでのメリットとデメリットについて深掘りしていきます。

メリット

日本語教育能力検定試験の勉強方法として独学を選ぶ場合のメリットとしては、自分のペースで学習できること、そして自分の弱点に集中的に取り組むことができることが挙げられます。
また、自己管理能力を身につけることができるため、集中力や粘り強さが身につくことで、試験本番でも冷静に対応することができます。
さらに、教材の選定が自由であるため、自分に合った教材を選ぶことができ、効率的に学習できることが期待されます。

デメリット

日本語教育能力検定試験の勉強方法として独学を選ぶ場合のデメリットとして、まず指導者からの適切なアドバイスが得られないことが挙げられます。
試験対策に必要な知識と技術を身につけるために、独学で勉強するには、指導者の経験から学ぶことができないため、知識の定着にある程度の時間がかかることがあります。
また、自分に合わない勉強方法を続けていると、長い時間をかけても思うように学習が進まないこともあります。

講座の受講

次に講座を受講するパターンを見ていきましょう。

講座受講は、人とのコミュニケーションを通じて学ぶことが好きな人、他人からのアドバイスや指導を受けて学びたいという思いがある人、複数の視点からアプローチして知識を習得したい人、ディスカッションやグループワークを通じて学ぶことに興味がある人などが向いています。
とはいえ、講座の形態も多種多様なため、一概にはいえない側面もあります。
ここからは、さらに講座受講で日本語教育能力検定試験を勉強するうえでのメリットとデメリットについて深掘りしていきます。

メリット

日本語教育能力検定試験の勉強方法として講座の受講を選ぶ場合のメリットとして、まずは講師から専門的なアドバイスや指導を受けられることが挙げられます。
また、講座では試験対策に特化したカリキュラムが組まれており、効率的な勉強が可能です。
こうした講座には経験豊富な講師の講座やオンライン提供されている講座もあるため、安心して勉強を進めることができます。

デメリット

日本語教育能力検定試験の勉強方法として講座の受講を選ぶ際のデメリットとしては、まず、受講料の負担がかかることが挙げられます。
また、講座の時間や日程に合わせての参加が必要であるため、仕事や他のスケジュールとの調整が必要となる場合があります。
くわえて、集団講座の場合であれば学ぶ範囲やペースに全員が合わせる必要があるため、自分自身の学習速度や理解力に合わない場合もあることが考えられます。

日本語教育能力検定試験のおすすめのテキスト

日本語教育能力検定試験の勉強方法がわかったところで、実際に勉強する際に使うおすすめのテキストも紹介しましょう。 ここでは、以下の4つを紹介します。

  • ・日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド(赤本)
  • ・日本語教育能力検定試験 合格するための問題集
  • ・日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40
  • ・考えて、解いて、学ぶ、日本語教育の文法

それぞれ解説していきます。

日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド(赤本)

著者:ヒューマンアカデミー
出版社:翔泳社

日本語教育能力検定試験に多くの合格実績を出しており、様々な範囲を網羅的に学習できるよう内容を厳選して、初心者でもわかりやすく解説した参考書です。
実力をチェックできる練習問題も付いています。
「合格者続出の大人気講座が1冊で学習できる」と謳っており、最近の動向に合わせて大幅なリニューアルも加えられています。
試験の全出題範囲から重要なところを重点解説している網羅的な参考書で、最新の統計資料や「音声」試験対策ができるCDが付いている徹底ぶりです。

日本語教育能力検定試験 合格するための問題集

著者:アルク出版編集部
出版社:アルク

長年、検定試験の解答速報や検定対策セミナーなどを通し、試験の傾向や内容を常に分析してきた1冊。
この問題集は、そんなノウハウを詰めながら、一流の執筆陣が作成した演習問題を選りすぐった試験対策の決定版参考書です。
検定試験でよく出る問題を厳選している点や、各問題に詳しい解説が付いている点、問題の背景や関連キーワードなども効率よく学習できる点もおすすめの点です。
聴解問題、記述式問題対策もしっかり対策されています。

日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40

著者:石黒圭,辻和子, 星野恵子
出版社:アルク

2011年度から改定された記述式問題の形式「400字程度で問いに対する自分の考えを論理的に述べる」にあわせて作成された参考書です。
「講義編」と「実践編」の2編構成になっており「講義編」では記述式問題の解答作成の手順やコツを易しく解説しています。
「講義編」で記述式問題の解答に必要な知識を身に付けたら、それを生かして練習を積むのが「実践編」です。
講義編では、はじめに「よくない解答例」が示され、その後なぜその解答例が良くないのか解説されています。

考えて、解いて、学ぶ、日本語教育の文法

著者:原沢伊都夫
出版社:スリーエーネットワーク

日本語を教えるための基礎となる文法知識を身につけることを目指した1冊。
ただし、難しい用語や規則の暗記に終始するのではなく、母語話者としての日本語力を活用して多くの問題を解き、その過程を通して、日本語のさまざまな文法事項について自ら考える体験を積み重ねていくことに重点を置いています。
学校で学んだ「国語文法」と日本語教育のための文法の違いにも触れられているため、これから日本語教育を目指す方にこそおすすめの参考書です。

日本語教育能力検定試験の勉強時のポイント

おすすめのテキストがわかったところで、ここからは日本語教育能力検定試験の勉強時のポイントを解説していきます。
なかでも重要なポイントは以下の4つです。

  • ・キーワードの暗記のみに集中しない
  • ・基本だけでなく例外まで押さえる
  • ・すべての分野を網羅する
  • ・スケジュールを立てる

それぞれ解説していきましょう。

ポイント①キーワードの暗記のみに集中しない

日本語教育能力検定試験では、キーワードの記憶だけでなく、実際に語学教育を行う場面で必要なスキルや知識が問われます。
たとえば「文法」や「教材の選び方」「語彙の教え方」などを単にキーワードを暗記するだけでは理解できず、実際に理解したうえで(教育の場で実践できるように)問題を解かなければなりません。
語学教育は実践的なものであるため、軽い会話練習や模擬授業などを組み合わせたトレーニングも有効です。
暗記だけでなく、実践的なスキルや知識も身につけることが、試験の合格につながるポイントです。

ポイント②基本だけでなく例外まで押さえる

日本語教育能力検定試験において、基本的な文法や表現の理解は必要不可欠ですが、それだけでは不十分です。
日本語教育能力検定試験の過去問題集を何年分か見るとわかりますが、基礎を問う問題のほか、応用力を問う問題も出題されています。
そのため、対策問題集や過去問題集を繰り返し解くことで出題傾向をつかみ、幅広い知識を身につけておくことが重要です。

ポイント③すべての分野を網羅する

日本語教育能力検定試験は、日本語の教育に関する幅広い知識が要求されるため、すべての分野を網羅することが高得点を狙ううえで重要です。
たとえば、日本語の表音表記や漢字の読み方、会話や文法、読解など様々な分野が含まれます。
また、試験範囲のなかでも初級的な問題から上級的な問題まで幅広くあります。
上級レベルであれば日本語教育における理論や教育法、日本文化にも関わってくるため、すべての分野を網羅することで、幅広い知識を身につけることができ、試験に十分対応できるようになるでしょう。
ただし、いきなりすべての分野に着手するのではなく一つひとつ対応していくことが大切です。
わからない箇所は無理に考えすぎず、できるところから進めていきましょう。

ポイント④スケジュールを立てる

日本語教育能力検定試験の勉強は、広範囲かつ詳細な内容を網羅する必要があります。
このため、まずは試験日までの期間を考慮してスケジュールを立てることが重要です。
たとえば、1週間単位で試験範囲の区切りをつけ、それに合わせて勉強する内容やテキストを決め、計画的に進めていくようにすることが大切です。
また、自分の生活スタイルに合わせた効率的な勉強時間や、復習時間や休憩時間も考慮してスケジュールを立てることで、効果的な勉強ができるでしょう。
試験は年に1回しかありません。
合格ラインや勉強時間、出題分野などを確認・整理して、スケジュールを立てて遂行していきましょう。

日本語教育能力検定試験はテキストを買って対策しよう

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今回は、日本語教育能力検定試験のテキストを紹介してきました。
日本語教育能力検定は独学でも取得を目指せる資格ですが、決して簡単というわけではありません。
テキストや実践講座などを駆使して、しっかり対策して臨みましょう。

既に日本語教育能力検定試験を持っているという人には、420時間の日本語教師養成講座の受講がおすすめです。

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この記事の監修者

監修者の写真

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。