コラム

日本語教師に必要な本は?目的別に徹底解説

2023.07.18

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「日本語教師に必要な本は?」
「日本語教育能力検定試験に合格するための本は?」
「日本語教師としての"教え方"を学ぶための本は?」

日本語教師の方や日本語教師を志す方に向けた本は、多く出版されています。
そこで、本記事ではさまざまな視点から、日本語教育に役立つおすすめの本をわかりやすくまとめました。

日本語教師を目指している方や、日本語教育に興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

日本語教育能力検定試験の合格に役立つ本

日本語教師として働く上で、取得しておくと役立つといえるのが日本語教育能力検定試験です。
そこで、はじめにこの日本語教育能力検定試験の合格に役立つ、4冊の書籍をご紹介します。

  • ・『日本語教育能力検定試験 試験問題』
  • ・『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド』
  • ・『図表でスッキリわかる日本語教育能力検定試験合格サード1400』
  • ・『2020年 日本語教育能力検定試験 合格するための本』

それぞれ、概要とポイント、著者名・出版社・出版年についてお知らせしていきます。

『日本語教育能力検定試験 試験問題』

日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定するのが、日本語教育能力検定試験です。
2023年6月現在、最新版は『令和4年(2022年)度 日本語教育能力検定試験 試験問題』で、実際に出題された問題と解答が一挙掲載されています。
試験問題を繰り返し解くことで出題傾向に慣れることができ、ぐっと合格が近づきます。

  • ・著者名:公益財団法人日本国際教育支援協会
  • ・出版社:凡人社
  • ・出版年:2023年

『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド』

幅広い試験分野を1冊で学習できるよう内容が厳選され、出題範囲5区分がすべてカバーされています。
さらに、多くの人が弱点と感じる音声と記述問題を克服するための特別章も含まれています。
試験対策としてだけでなく、日本語教育の入門書として、さらに日本語教師になってからの手引書として使える1冊です。

  • ・著者名:ヒューマンアカデミー
  • ・出版社:翔泳社
  • ・出版年:2021年

『図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験 合格キーワード1400』

日本語教育能力検定試験で合格水準に達するために必要とされるキーワード1452語をピックアップし、はじめて試験に挑む方にもわかりやすく解説されています。キーワードは、以下の三層構造になっています。

  1. ①見出し語...基本となる重要なキーワード
  2. ➁小見出し語...見出し語に深く関連するキーワード
  3. ③関連語...見出し語または小見出し語に関連するキーワード

見出し語の下に関連する小見出し語が掲載、解説されているので、順番に読んでいくことで理解が深まるようになっています。
さらに見出し語、小見出し語と関連語をひもづけて学習することで、効率よく知識を身につけることができます。
試験問題とセットでの使用をおすすめします。

  • ・著者名:泉均
  • ・出版社:晶文社
  • ・出版年:2021年

『令和3年度 日本語教育能力検定試験 合格するための本』

『令和3年度 日本語教育能力検定試験 合格するための本』は、次年度の日本語教育能力検定試験受験者向けに作成されている対策本です。
昨年度の本試験問題を徹底分析し、出題傾向をふまえたオリジナルの対策問題が掲載されています。
また、苦手な人が多い聴解問題や記述式は、出題形式や解答のコツが丁寧に解説されているため、聴解問題と記述式問題を徹底的に対策したい方にもおすすめの1冊です。

  • ・著者名:アルク出版編集部
  • ・出版社:アルク
  • ・出版年:2019年

日本語の教え方を学ぶのに役立つ本

ここまで、日本語文法の教え方の助けになる書籍を解説してきました。
日本語を学ぶ人たちがより理解しやすいように、日本語教師は教え方の工夫をする必要があります。
そこで、ここからは「日本語教師としての教え方」に重点を置いた書籍を4冊ご紹介します。

  • ・『みんなの日本語初級Ⅰ 第2版 教え方の手引き』
  • ・『改訂版 日本語の教え方ABC』
  • ・『もしも...あなたが外国人に「日本語を教える」としたら』
  • ・『音声を教える(国際交流基金日本語教授法シリーズ2)』

『みんなの日本語初級Ⅰ 第2版 教え方の手引き』

初版20年以上、国内外で幅広く使われている『みんなの日本語初級』を使って教える人のため指導書です。
第1部では、『みんなの日本語初級Ⅰ 第2版』で用いられている用語、各課の構成と内容、基本的な授業の進め方、復習問題について、第2部では、各課の教え方を授業の流れに沿って具体的に紹介されているため、初めて授業を担当する人でも安心して進められる構成になっています。
授業に役立つ付属資料のCD-ROMもついているので、ぜひ授業で役立ててみてください。

  • ・著者名:スリーエーネットワーク
  • ・出版社:スリーエーネットワーク
  • ・出版年:2016年

『改訂版 日本語の教え方ABC』

1998年初版発行の『日本語の教え方ABC』が時代の流れに合わせて内容を改良したものです。
導入の場面や使用される語彙を見直しただけでなく、デジタル教材を使った授業やオンライン授業でも活用できる練習方法も新たに掲載されています。
初級の授業で学習する主要な基本文型の教え方が網羅されており、日本語教師としての経験があまり長くない方でも、具体的な導入の方法がわかるようになっています。
初級文法の教え方に加え、デジタル教材を使った授業やオンライン授業での活用方法を確かめたい方におすすめです。

  • ・著者名:寺田 和子, 三上 京子, 山形 美保子, 和栗 雅子, 三好 裕子
  • ・出版社:アルク
  • ・出版年:2022年

『もしも...あなたが外国人に「日本語を教える」としたら』

突然外国人に日本語を教えることになった3人の登場人物のケースを例に、「日本語」を外国語として教えることについてわかりやすく解説した入門書です。
第1章から第3章まで、日本語教育の初歩と指導のポイントや、授業準備、導入などから復習まで授業の流れにそって「教え方の枠組み」が解説されています。
第4章では日本語教育の概観が記されており、今後日本語教師として活躍していくためのヒントが盛りだくさんの1冊です。

  • ・著者名:荒川洋平
  • ・出版社:スリーエーネットワーク
  • ・出版年:2004年

『音声を教える(国際交流基金日本語教授法シリーズ2)』

国際交流基金 日本語国際センターが行っている海外で活躍する日本語教師のための研修で使用された教授法を基に作成された『国際交流基金 日本語教授法シリーズ』のうちの1冊です。
『音声を教える(国際交流基金日本語教授法シリーズ2)』では、日本語の発音について説明するだけでなく、実践面から学習者にとっての問題点とその練習方法が示されており、どのような練習を指導すればよいかがわかります。

  • ・著者名:磯村一弘
  • ・出版社:ひつじ書房
  • ・出版年:2009年

日本語の文法の教え方について学べる本

日本語教師は普段から何気なく使っている日本語文法を、日本語を学ぶ人たちが理解できるように教えることができなくてはなりません。
ただ日本語が話せるだけではなく、文法の意味や用法、指導する際のポイントを理解している必要があります。
そこで、ここからは日本語教育の文法の教え方に着目している3冊をご紹介します。

  • ・考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法
  • ・初級日本語と教え方のポイント
  • ・一歩進んだ日本語文法の教え方

『考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法』

母語話者という視点から多くの文法問題を解き、日本語のさまざまな文法事項について自ら考える体験を積み重ねていくことで、日本語を教えるための基礎となる文法知識を身につけることを目指します。
すべての設問に解説が付いており、これから日本語教師を目指す方や日本語文法をもう一度復習したい方などにおすすめの1冊です。

  • ・著者名:原沢伊都夫
  • ・出版社:スリーエーネットワーク
  • ・出版年:2010年

『初級日本語文法と教え方のポイント』

初級で教える69の文法項目を取り上げ、現場ですぐ使えるようなわかりやすく楽しい教え方がまとめられています。
それぞれの文法項目について、その項目を使った短い「会話文」、「学習者はどこが難しいか、よく出る質問」、「学習者の誤用の例」、意味と用法の「説明」、「指導法あれこれ」、「指導ポイント」があります。
そのため、日本語教師になったばかりでいきなり初級の授業を任されてしまった、という方も授業場面が想像しやすい構成になっています。
「いつ、どう使うのか」をどのように学習者に説明すればよいか迷ったとき、大きな助けになる1冊です。

  • ・著者名:市川保子
  • ・出版社:スリーエーネットワーク
  • ・出版年:2005年

『一歩進んだ日本語文法の教え方』

文法項目を教える際のポイントは、典型的なルールと少しの例外を頭に入れて、日本語教師にとっても、日本語を学ぶ人たちにとっても無理なく導入していくことです。
第1部では初中級で取り上げられやすい10項目の導入方法が紹介され、第2部と第3部では正確に理解したい用語と、導入時の心構えや考え方が解説されています。
他の書籍と合わせて読み、自分なりの教え方を見つけるのも良いでしょう。

  • ・著者名:庵功雄
  • ・出版社:くろしお出版
  • ・出版年:2017年

日本語の授業を考える際に役立つ本

ここまで「日本語文法の教え方の本」「日本語教師としての教え方の本」と順に見ていきました。
ここからは、さらに具体性を増して「日本語の授業を考える際に役立つ本」を見ていきましょう。ここで紹介するのは以下の5つです。

  • ・『新人日本語教師のためのお助け便利帖』
  • ・『新人日本語教師のための授業づくり練習帖』
  • ・『日本語の授業の進め方 生中継』
  • ・『日本語教師のための「授業力」を磨く30のテーマ』
  • ・『くらべてわかる日本語表現文型辞典』

『新人日本語教師のためのお助け便利帖』

授業準備、導入などの教室活動、文型や作文など科目別の授業の進め方、クラス運営での困りごとなど、日本語教師が授業を進めるうえで起こりがちな問題の解決方法をベテラン講師が解決するスタイルで進んでいく本です。
本のタイトルには「新人日本語教師のため」とありますが、何年経っても困ったことがあったときに繰り返し読みたくなる本です。

  • ・著者名:鴻野豊子、高木美嘉
  • ・出版社:翔泳社
  • ・出版年:2015年

『新人日本語教師のための授業づくり練習帖』

授業力向上を目指す日本語教師におすすめの本です。50を超える授業場面において、どのような方策を取ればよいか自ら考え解決法を探りながら、授業力に磨きをかけていきます。
「書く」、「読む」、「話す」、「聞く」、「漢字・語彙」、「文型・文法」、「日本語能力試験対策」のケース別に授業の作り方を学んでいきます。

  • ・著者名:鴻野豊子、高木美嘉
  • ・出版社:翔泳社
  • ・出版年:2016年

『日本語の授業の進め方 生中継』

ベテランの教師が授業を生中継するという流れで進んでいきます。
日本語の授業がどんなものかイメージできない、授業の進め方に自信がない、という方には、リアルな現場を知ることができるこの本がおすすめです。
導入から練習、活動までの一連の流れ、それぞれの授業でした方がいいこと、しない方がいいこと、見やすい板書の仕方など日本語教師であれば知っておきたいことが詰まっています。

  • ・著者名:金子史朗
  • ・出版社:アルク
  • ・出版年:2018年

『日本語教師のための「授業力」を磨く30のテーマ』

日本語教師の授業の成功のために必要なものは「授業力」であると考え、この本を読みながら自分自身で授業力を磨くために必要なことを見つけるきっかけになる本です。
教育実習生の視点から話が進んでいくので、最近日本語教師になったばかりという方にもわかりやすい内容になっています。
授業のマンネリ化を感じたときに読み直すのもよいでしょう。

  • ・著者名:河野俊之、小河原義朗
  • ・出版社:アルク
  • ・出版年:2006年

日本語教師のキャリアに役立つ本

実際の授業に役立つ本のあとは、さらにその先、日本語教師のキャリアを見据えた書籍の紹介をしていきます。

『ことばで社会をつなぐ仕事―日本語教育者のキャリア・ガイドー』

日本語教育を学びたくても、キャリアにつながるのか不安な方、日本語教育業界で自分らしく働く方法がわからない方におすすめの本です。
国内外で日本語を教えている例、外国につながる人々を支援している例、日本語学習現場を支えている例など、さまざまな現場で活躍している日本語教育者や日本語学習者の先輩を紹介し、これから自分らしいキャリアを築いていくための1冊です。

  • ・著者名:義永美央子、嶋津百代、櫻井千穂
  • ・出版社:凡人社
  • ・出版年:2019年

日本語教師に役立つ本、参考になる本は多い

日本語教師になりたい方、今日本語教師として活躍している方は、日本語教育に関する本は複数買っておくとよいでしょう。

本記事で紹介したものの中に、ルネサンス日本語学院の日本語教師養成講座や、日本語教育能力検定試験対策講座で使用している本もあります。

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