コラム

第2回:新しい法律で、日本語教師の国家資格取得後の就職先はどう変わる?

2023.06.06

日本語教師の就職イメージ

2023年6月2日「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」が公布され、この新しい法律が国民に発表されました。
前回(第1回)コラムでは国家資格「登録日本語教員」の概要について解説しましたが、これから日本語教師を目指そうと考えている皆さんにとってもう一つ気になるのは「日本語教師の就職先への影響は?」という点ではないでしょうか。

そこで、今回は

  1. 1.「認定日本語教育機関」ってなに?
  2. 2.新しい法律で日本語学校はどう変わる?
  3. 3.日本語学校に就職するにはどうすればいい?
  4. 4.日本語学校以外の「日本語教育機関」はどうなる?

の4つのポイントから、「日本語教師の国家資格取得後の就職先」について解説します。

1.「認定日本語教育機関」ってなに?

今回公布された法律の正式名称を見てください。
「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」となっています。
実はこの法律「日本語教育機関」を国としてしっかり管理していこう!というのがそもそもの始まりなのです。
法律の本文を読めば分かるのですが、法律の章立て自体がこのような流れになっています。

「認定日本語教育機関」イメージ図

つまり、一番のポイントは「国が日本語教育機関を認定して教育の質を保つ」ことであり、その「国が指定した日本語教育機関」を2024年4月1日以降「認定日本語教育機関」と呼ぶということなのです。

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2.新しい法律で日本語学校はどう変わる?

では、現在、日本国内、海外にある日本語を教えている機関は、2024年4月1日以降全てこの「認定日本語教育機関」になる必要があるのかというと、答えは「『なる必要がある機関』と『なるか、ならないかを選択できる機関』の2つに分かれる」です。

では、「認定日本語教育機関」になる必要があるのは、どこか・・というと、それがいわゆる日本語学校です。
2023年2月にまとめられた文化庁の報告書には、このように記載されています。

認定を受けた日本語教育機関であることを、在留資格「留学」による生徒の受入れを 認める要件とすることとし、(後略)

引用元:文化庁「日本語教育の質の維持向上と仕組みについて(報告)」

つまり、現在の法務省告示校、いわゆる「日本語学校」など、「留学」のビザで入国している外国人たちを集めて教えている日本語教育機関は全て「認定日本語教育機関」になる必要があります。

3.日本語学校に就職するにはどうすればいい?

2024年4月1日以降、日本語学校は「認定日本語教育機関」になる必要がありますが、ではそこで働くために、日本語教師はどのような条件を整えなければならないのでしょうか。

法律には、

第七条 認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当する教員は、第十七条第一 項の登録を受けた者でなければならない。

引用元:法律本文

とあり、この「第十七条第一項」というのが、「登録日本語教員」です。
つまり、2024年4月1日以降は、日本語学校に就職するためには「登録日本語教員」でなければならないということです。

ただし、ここで注意していただきたいのは、2024年4月1日時点で登録日本語教員であることを求めているわけではないということです。
新しい法律が施行されたときは、この世に「登録日本語教員」の資格をもっている日本語教師は一人もいません。どんなベテラン教師であろうと、全員が来年の4月1日以降に登録日本語教員の申請をすることになるのです。

ですから、法律でも経過措置期間が設けられ、2029年3月31日までは登録日本語教員以外の日本語教師(現在の法務省告示基準の要件を満たす日本語教師)が働くことを認めています。

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4.日本語学校以外の「日本語教育機関」はどうなる?

日本語教育は日本語学校以外で、留学生以外の人たち(就労者、生活者、外国にルーツを持つ子どもたちなど)に対しても行われています。
こういった人たちに教えている日本語教育機関については、

認定基準を満たせば設置者の種別や機関の施設種別は問わずに認定を受けられる制度とする。例えば、(中略)地方公共団体が生活者を対象とした場合や、就労者を対象とした日本語教育課程を置く団体などについても必要な一定の要件を備える場合は認定対象となることとする。

引用元:文化庁「日本語教育の質の維持向上と仕組みについて(報告)」

とあります。

つまり、認定日本語教育機関になることを希望するか、しないかはそれぞれの教育機関の判断で、認定を希望する日本語学校以外の教育機関は一定の要件を満たして入れば、認定日本語教育機関になれるということです。

そして、日本語学校以外で働く日本語教師は・・というと、その就職先、所属先が「認定日本語教育機関」であれば、そこで働く日本語教師には登録日本語教員であることが必須となります。
しかし、就職先、所属先が認定日本語教育機関ではない場合は、登録日本語教員の資格は必須とはなりません。

さて、今回は「新しい法律で、日本語教師の国家資格取得後の就職先はどう変わる?」という視点から解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
これから日本語教師を目指す皆さんは、養成講座修了後に「どこで日本語教師として活躍したいのか」という将来を考えた上で、勉強を始めるのが良いかと思います。

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次回(6月20日更新予定)は、「新しい法律『日本語教育機関認定法』で、日本語教師養成講座はどうなる?」について解説したいと思います。

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