日本語教師養成コラム

50代からセカンドキャリアの準備を進めるべき理由とポイント

公開日:2025.01.28 更新日:2025.02.21

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

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人生100年時代といわれる現代においては、将来を見据えて、計画的にセカンドキャリアのプランを立てるのが理想です。
老後を見据えて50代には考え始めたいものですが「なぜこのタイミングなの?」と疑問をもつ方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、50代で次のステージに進む準備をすべき理由を解説します。
セカンドキャリアを考える際のポイントもお伝えしますので、輝かしい未来をつかみとるために、ご一読ください。

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50代でセカンドキャリアを準備すべき理由

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50代に突入したら、なぜセカンドキャリアを考え始めたほうがよいのでしょうか。

以下で、その理由を見ていきましょう。


<関連記事>50代こそ始めよう!リスキリングの必要性とメリットとは?

終身雇用が確実なものではないため

昨今の日本国内では経済の低迷が問題視されており、終身雇用の維持が難しいのが現状です。
将来働く場所を失うリスクを減らすためにも、50代でセカンドキャリアを考えておきたいところです。

そもそも終身雇用は、従業員が入社してから定年を迎えるまで雇用しつづける制度のことを指します。
働く場所を確保でき、かつ安定した収入を得られるため、働いている従業員にとっては安心材料となります。

しかし、経済が足踏みしている状況での終身雇用は、企業にとっては大きな負担となるかもしれません。
企業に長く勤めている従業員ほど人件費が高くなり、支払わなければならない給料が上がるためです。

勤続年数の長い従業員に給料を支払うためにも、企業は毎年収益率を向上させる必要がありますが、
これを叶えるには経済の成長が不可欠です。

日本国内で経済が成長しない状況が続けば、終身雇用が崩壊する可能性も出てきますから、
50代に突入したタイミングで一人ひとりが将来の計画を立てるべきといえます。

年金に期待できないため

現在「老後は年金暮らしをしたい」という夢の実現が、少々困難な状況にあることも
セカンドキャリアを形成すべき理由の一つです。
定年後にもらえる年金が、年々減額しているという話を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

厚生労働省が公表した、厚生年金保険や国民年金に関する調査では、年金支給額の水準が少しずつ下がっている結果が出ています。

定年後、これまで頑張ったご自身にご褒美をあげられるような日々を送るには、それなりにお金が必要です。
将来の金銭的な不安を減らしたいのであれば、50代でセカンドキャリアを準備しておくのが賢明です。

参照元:厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

働き方が多様化しているため

セカンドキャリアでは、今後どのように働きたいのかを考えることが欠かせません。
一人ひとりが働き方を選択し、自分らしく生きられる基盤が整いつつあるからこそ、働き方を考える必要があります。

近年ではライフスタイルの変化に伴い、多くの企業で在宅ワーク制度や短時間勤務制度など、さまざまな制度が導入されました。

ご家族の介護をしながらでも仕事ができたり、都内にオフィスを構える企業が遠方に住んでいる方を採用できたりと、
従業員と企業の双方に大きなメリットをもたらしています。

また、2021年に法改正がなされ、70歳まで働ける機会が確保されるようになりました。
年齢を重ねても働きたいと思える環境に身を置くためにも、老後のキャリアプランを立てておくのが大切なのです。

参照元:厚生労働省『高年齢者雇用安定法 改正の概要

自分のやりたいことに取り組むため

50代でセカンドキャリアを考えておけば「この業界で働きたい」「新しい仕事にチャレンジしたい」といった、
ご自身のやりたいことに取り組むチャンスをつかめます。

たとえば、これまで子どものためにアルバイトやパートで働いていた場合、
子育てとご自身のやりたい仕事を両立するのは難しかったかもしれません。

しかし50代に突入する頃には、子どももある程度大きくなって時間的に余裕をもてるようになることがほとんどです。

早めに次のキャリアプランを立てておくと、自分のために時間を使えるようになったときに
"やりたかった仕事"にもチャレンジできます

50代が目指すセカンドキャリア

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セカンドキャリアは、新たなライフステージへのシフトを意味します。

単なる転職とは異なり、しっかりと将来を考えなければなりませんから
「どんな道を選べばいいのだろう」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。

本項では、老後のキャリアプランの一例をお伝えします。

現在の会社でのスキルアップ

セカンドキャリアでは、必ずしも新しい道を選択する必要はありません。
定年後も安定した収入が保証されており、ご自身で満足できる状態なのであれば、現状維持でもよいでしょう。

現在の会社に留まる場合は、何かしらのスキルを伸ばすのがポイントです。
スキルが十分に備わっていれば、描いたキャリアプランを実現できるはずです。

新しい分野へのチャレンジ

これまでの経験を活かしてステップアップするのもよいですが、
ご自身が「やってみたい!」と心が躍る仕事にチャレンジするのも一つの手です。

これまでご自身やご家族のために頑張ってきたからこそ、定年後は夢を現実のものにする良い機会だと考えられます。
好きなことや興味のあることを生業にすると、人生にさらなる彩りを与えられるはずです。

ただし、未経験からの転職が難しい業界が存在するのは事実です。
新たな道に進むときは、ご自身も就くことのできる仕事かどうかをきちんと確認しましょう。

50代の転職事情

新たに挑戦すると決めたものの「50代でも転職できるかな」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

総務省統計局が公表したデータによると、2023年度の45~64歳の転職者数は、およそ107万人です。
2021年度は92万人、2022年度は99万人となっていることから、50代を含むミドルシニア世代の転職者数が
年々増加傾向にあるとうかがえます。

この結果からも、50代だからといって転職が難しくなるとは考えにくいため、ご安心ください。

参照元:総務省統計局『労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)平均結果の概要

独立開業

将来は、思い切って開業してみてもよいでしょう。

ご自身が有しているスキルを最大限活かすことができれば、事業が成功する可能性もグッと高まります。
くわえて、自ら自由な働き方を叶える制度を整えられるため、年齢を重ねても無理なく仕事を続けられます。

ただし開業には、さまざまなリスクがつきものですので、きちんと対策を講じることが大切です。

50代でセカンドキャリアを考えるポイント

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今後の人生にも彩りを与えるセカンドキャリアを考えるときには、いくつかのポイントがあります。

ポイント①自分をきちんと見つめ直す

まずは、働き始めたときから現在までのキャリアを振り返りましょう。
その際には、これまでの経験をもとに得意分野や専門性、有しているスキルなどを一つずつ洗い出していきます。

セカンドキャリアで活かせる強みを、明確にするためです。

50代からセカンドキャリアの準備を進め、将来憧れの仕事に就けたとしても、
ご自身の強みをうまく発揮できなければ楽しめないかもしれません。

適正を見極めて就職後のミスマッチを防止するためにも、ご自身を見つめ直す時間を設けることが不可欠です。

ポイント②徹底的に情報を集める

労働市場や業界動向などをリサーチするのも、50代からセカンドキャリアを考える際のポイントの一つです。

50代は、若い世代より定年退職までのタイムリミットが迫っているがゆえ、
後悔のない人生を歩めるようなキャリアを形成しなければなりません。

ですから、ご自身の強みや働くうえで大切にしたいことを洗い出したあとは、徹底的に情報を集めましょう。
ご自身のスキルを活かせる業界はもちろん、成長産業や需要の高い仕事、縮小しうる業界も調べておくのがベターです。

ポイント③足りないスキルを習得する

現時点で「足りていないな......」と思われるスキルがある場合は、セカンドキャリアの準備を進めるなかで
習得しておきたいところです。
特に、50代を過ぎてから新たな分野への一歩を踏み出そうと考える方は、幅広いスキルを身につけるのが得策です。

50代の転職においては、スキルが重視されます。
長年の業務経験があるからこそ、即戦力としての活躍が期待されるためです。
専門的なスキルのほか、コミュニケーションスキルや問題解決力、柔軟性など、50代に求められるスキルは多岐にわたります。

また「自分の評価を上げたい」と思われる場合や、業務上必須となっている場合は、資格も取得しておきましょう

50代のセカンドキャリアにおすすめの資格については後述しますので、そちらをご覧ください。

ポイント④相談先を見つける

セカンドキャリアを成功させるには、相談相手の存在が必要不可欠です。

客観的に自分自身を見てもらうことで、これまで気がつかなかった強みを発見できたり、
目指す道のヒントを得られたりするといえます。

さらにセカンドキャリアの選択は、老後の人生を左右すると言っても過言ではありません。

ですから、50代でスキルアップや転職の成功を目指すとなると、漠然とした不安を抱える方もいらっしゃるでしょう。
そのようなときでも、気軽に相談できる相手がいれば、安心してセカンドキャリアの準備を進められるはずです。

老後のキャリアプランを立てるときに行き詰まったら、ご家族や友人、職場の同僚など、
親しい方に話を聞いてもらうのがおすすめです。

ポイント⑤とにかく行動に起こす

次のステージへの具体的な計画を立てたら、実際にそれに取り組みましょう。

セカンドキャリアに限った話ではありませんが、理想を描いてもアクションを起こさなければ何も始まりません。
思い描いたセカンドキャリアを現実のものにするためにも、
「失敗するかもしれないけれど、とにかくやってみよう」という想いで行動することが大切なのです。

資格の勉強を始めたりインターンシップに参加してみたりと、勇気を振り絞って一歩を踏み出してみてください

50代におすすめの国家資格

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ここからは、セカンドキャリアでも活かせるおすすめの国家資格の一例をお伝えしていきます。

以下で紹介する資格以外にも、セカンドキャリアで役立つものがありますので、
ご自身が行きたい道に合わせて取得を目指しましょう。


<関連記事>セカンドキャリアに活かせるおすすめの資格10選!

登録日本語教員

セカンドキャリアにも活かせる資格としてまず挙げられるのが、登録日本語教員です。

登録日本語教員は、外国の方に日本語を教える"日本語教師"の国家資格です。

2024年4月に"日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律"が施行され、国家資格化されました。
日本国内での外国人労働者数は年々増加傾向にあるため、将来性のある資格だといえます。

また登録日本語教員の取得後に、日本語教師としてセカンドキャリアをスタートさせた場合、
活躍の場は日本国内にとどまりません。

世界各国に展開されている日本語教育機関やボランティアなど、さまざまな場所で仕事をすることも可能です。

ほかの職種と比べると、日本語教師には50代以上の世代を積極的に採用する傾向にありますので、登録日本語教員を取得するとセカンドキャリアで役立つはずです。

参照元:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】

3級FP技能士

3級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士は、相談者の総合的な資産設計の企画立案や実行を支援する、
ファイナンシャル・プランナーの国家資格です。

FP技能士には1~3級までの3つのレベルがあり、3級はファイナンシャル・プランナーの登竜門となります。
国家資格のなかでは合格率が高いため、きちんと学習していれば、金融業界での実務経験がなくとも取得を目指せるでしょう。

そして3級FP技能士は、金融以外にも不動産や会計、人事など、幅広い仕事に役立ちます。

セカンドキャリアでこうした業界への転職を考えている方は、取得しておくとよいかもしれません。

中小企業診断士

中小企業が抱える経営の課題を解決へと導く経営コンサルタントに必要なのが、中小企業診断士です。

経済産業省が登録する国家資格で、取得後の活躍の場は多岐にわたります。

近年では、多くの中小企業が従業員の満足度の向上や、事業基盤の強化などを目指しています。
それゆえに経営コンサルティングのニーズも高まっており、今後も需要が伸びていくはずです。

中小企業診断士を取得後、資格を活かして仕事をしている50代以上の方も多くいらっしゃいます。
中小企業診断協会が実施したアンケート調査で、資格を取得して活躍している20~70代以上の方のうち
50代以上に該当する方は、58%を占めることがわかりました。

この結果からも50代で資格を取得しておけば、セカンドキャリアでも役立つことがうかがえるでしょう。

参照元:一般社団法人中小企業診断協会『データでみる中小企業診断士

管理業務主任者

50代のセカンドキャリアで活かせる資格には、管理業務主任者も挙げられます。

管理業務主任者は、マンション管理組合に業務を委託する際に、
重要事項の説明や管理事務の報告などを実施するために必要な国家資格です。

将来有望な資格の一つで、取得しておくと不動産業界への転職に役立ちます。

資格取得後に目指せる管理業務主任者は、定年を迎えて体力面で不安を抱えがちな時期でも無理なく働ける仕事といえます。
マンションの運営をサポートする事務的な業務がメインですから、セカンドキャリアとしてもぴったりです。

50代のセカンドキャリアを支援してくれる制度

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50代からのセカンドキャリアを支援してくれる制度には、"教育訓練給付制度"と"リスキリングを通じた
キャリアアップ支援"、"ハロートレーニング"の3つがあることはご存じでしょうか。

以下では、それぞれの特徴を確認していきます。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度とは、働く方のキャリアアップを支援し、雇用の安定や再就職の促進を図る制度のことです。

厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練の講座を修了した際に、受講料の一部を受け取れます

教育訓練には3つの種類があり、それぞれ給付金の対象者や受給条件が異なります。
さらに、受講できる講座の種類や取得を目指せる資格もさまざまです。

50代からのセカンドキャリアで、スキルアップしたい方や新たな道へと進みたい方は、活用するとよいかもしれません。

参照元:厚生労働省『教育訓練給付制度

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

教育訓練給付制度との違いは、金額と仕組みです。

給付金額については資格取得の授業料の最大70%(最大56万円)となっています。

仕組みの特徴として、リスキリングが目的であるため、現在働いている人や離職して間もない方が
転職をすることを前提にしています。
そのため、キャリア相談・リスキリング(講座の受講)・転職支援が一体的に実施されているところが特徴です。

教育訓練給付制度は厚生労働省の制度で、こちらのリスキリングによるキャリアアップ支援は経済産業省による制度です。

ただし教育訓練給付制度と一緒に申し込むことはできません。
資格講座によってどちらの給付金が活用できるかは事業者のHPなどに掲載されていますので、確認する必要があります。

老後の不安を減らし、自分らしく生きるために50代でセカンドキャリアを考えよう

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今回は、50代でセカンドキャリアを考えるべき理由をお伝えしました。

近年では、終身雇用の取りやめや年金の減額など、老後の生活への不安が募るような動きがみられつつあります。
こうした不安を打ち消すためにも、老後が目前に迫っている50代は将来をしっかりと考えなければなりません

自分自身と向き合ってセカンドキャリアを考えたあとは、スキルの習得や資格の取得などを目指しましょう。


日本語教師養成講座ならルネサンス日本語学院にご相談ください。
50代から新たな道を目指したいときにもうれしい、教育訓練給付制度やリスキリング支援を活用できるコースもご用意しております。

この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。