日本語教師養成コラム
日本語教師の主な就職先16選!それぞれの業務内容も解説
公開日:2025.01.06 更新日:2025.02.21

監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
「日本語を扱う仕事がしたい!」という想いを抱いて、日本語教師を目指す方は多くいらっしゃいます。
日本語教師が活躍できる仕事には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
そこで今回は、日本語教師のキャリアとしてメジャーな就職先や、その能力を活かせる就職先を紹介します。
「日本語教師になったあとの進路を具体的にイメージしておきたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
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日本語教師の主な就職先
それでは早速、日本語教師が活躍できる就職先を8つ紹介していきます。
<関連記事>日本語教師として海外で働くには?条件や必要なものを解説
日本語学校・日本語教室
まず候補として挙げられるのは、日本国内の日本語学校や日本語教室です。
日本在住で「日本語を学びたい」と考えている外国人向けに日本語を教えるのが、
日本語学校・日本語教室の基本的な仕事です。
基礎的な文法や語句、日常的な会話、さらにはビジネス用の日本語など、
さまざまな角度から日本語を教えられるスキルが求められます。
また、日本で生活するうえで守るべきルールやマナーなどを、レクチャーすることもあります。
日本の習慣や文化に精通していることはもちろん、
異文化を背景にもつ相手を理解する心構えをもっていることも大切です。
上記のほかには、カリキュラムの作成や学校運営のサポートなど、日本語指導以外の業務にも対応する必要があります。
なお、2024年4月1日から国家資格「登録日本語教員」の制度がスタートしました。
今後、留学生を正式に受け入れることができる『認定日本語教育機関』で働くには、
この資格を取得しなくてはなりません。
活躍の場を広げたいのであれば、登録日本語教員を取得することをおすすめします。
小学校・中学校
小学校や中学校といった教育機関に就職するのも、選択肢の一つです。
小・中学校では、日本語の支援が必要な児童のサポートが主な業務内容となります。
対象となるのは、海外から日本に引っ越してきた子や、生まれは日本でも、
母語が外国語で日本語を苦手に感じている子などです。
日本語を教えることに加え、児童・生徒がクラスや学校の一員として、
学校生活を送れるようにサポートすることも日本語教師の大切な役割と言えるでしょう。
一点、学校で働くためには、主たる指導者として日本語指導を行う場合は教員免許が必要となります。
教員免許をお持ちでない場合でも、主たる指導者とともに日本語指導を行うことは可能です。
教員免許は働きながらでも取得できるので、小・中学校で日本語を教えたいなら、
早い段階から教員免許の取得準備を始めておくのが良いかもしれません。
大学
より専門性の高い業務に携わりたいのであれば、大学への就職がおすすめです。
大学における日本語教師の役割には、留学生向けに日本語を指導することはもちろん、
日本文化についての講義や、アカデミックな文章の読み書きに関するレクチャーなども業務に含まれます。
指導内容にも専門性が求められるため、大学で日本語教師として働くためには、
募集条件に修士課程以上の学歴を求められる場合が多いです。
博士課程修了が条件として定められている大学もあるため、
ご自身の状況や目指す就職場所次第では、日本語教師になったあとから大学院に通う必要も出てくるかもしれません。
また、一定期間の教育経験が必要になることも多いので、様々な現場で日本語教師としてのキャリアを積んでから
大学の就職を目指すのも一つの方法と言えるでしょう。
海外の語学学校
「日本語を学びたい」と考える方は、海外にも非常に多くいらっしゃいます。
そのため、日本を飛び出して海外の語学学校で働くというのも一つの手です。
例えば、日本国内の日本語学校から、海外の姉妹校に派遣されるという場合もあります。
このような場合は、充実したサポート体制のもと、海外で日本語教師に挑戦することも叶います。
業務内容そのものは、日本の学校とそこまで変わらない場合が多いでしょう。
日本で働きたい・留学したいと考えている方に向け、日本語の文法、文化やマナーなどを教えます。
文法やマナーに関する授業は現地の日本語教師が担当し、日本から派遣された教師は、
主に会話授業を担当する場合も多いようです。
海外で教える場合、教室の外に一歩出れば、自分自身が外国から来た人です。
自分自身、その国の文化や習慣に慣れる必要があります。
そのため、英語やその国、地域の言語が話せると生活がしやすくなるというのは、想像に難くないでしょう。
海外の教育機関
海外進出を視野に入れるのであれば、海外の教育機関で働くのも一案です。
先述した通り、海外での日本語の需要は高まりをみせており、日本語を選択科目に採用している学校も存在するほどです。
よって、日本語教師として就職できるチャンスは十分にあるといえます。
ただし、海外かつ教育機関で働くとなると、言語や文化面以外にもさまざまな条件をクリアしなくてはなりません。
現地の教員免許を取得する必要があったり、大学の場合は、
日本と同様に修士課程以上の学歴が求められたりすることもあります。
ですから、海外の教育機関で活躍したいのであれば、将来を見越して早いうちから準備しておくのが大切です。
海外派遣
公的機関が実施する海外派遣プログラムに参加することでも、海外での活躍の道を見出せます。
独立行政法人国際交流基金や、独立行政法人国際協力機構など、
海外へ日本語教師を派遣するプログラムを設けている機関はいくつかあります。
このようなプログラムに参加することができれば、万全のサポート体制のもと、
安心して海外で働くことができるでしょう。
派遣先が教育機関の場合は実務経験が求められることあるため、
日本国内で十分な経験を積んでからチャレンジすることをおすすめします。
一般企業
最近では、一般の企業で働く道を選ぶ日本語教師の方も増えてきています。
グローバル化が進む昨今、日本国内の企業で働く外国人の数が、業種を問わず増加傾向にあります。
それに伴い、外国人に日本語を教えるポジションとして日本語教師が採用されるようになったわけです。
企業での日本語指導では、基礎的な部分のほかに、ビジネスシーンで用いられる専門用語なども教えます。
その業界独自の内容も関係してくるため、事前に業界についての知見を深めておくことが重要です。
また、授業の対象者のなかには、初めて日本語を学ぶ方もいれば、
ある程度日本語を使うことに慣れている方もいるので、
学習者のレベルや必要としている日本語力を考慮したカリキュラムを求められる場合もあるでしょう。
オンライン講師
柔軟に働ける環境を優先するなら、オンライン講師を目指すのもおすすめです。
インターネットが社会インフラとなっている今日では、
オンライン講師として自宅から世界中の生徒に日本語を教えることが可能です。
教室を確保する必要もなければ時間に関する制約も少ないため、ご自身にとっても学習者にとっても負担が少なく、
効率的に日本語をレクチャーできます。
また、この方法であれば個人でスクールを開業することも難しくありません。
自分の生活スタイルに合わせて柔軟に働きたい場合は、
フリーランスの日本語オンライン講師を検討してみてはいかがでしょうか。
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日本語教師のスキルを活かせる就職先
ここまでは、日本語を教える立場としての就職先をご紹介してきましたが、
日本語教師のスキルは、教壇に立つ以外の場面でも活かすことができます。
そこでここからは、日本語教師のスキルやノウハウが活かせる、多種多様な就職先を7つピックアップして解説します。
出版社・アプリ開発会社
一見すると関連性がないように思えますが、出版社やアプリ開発の会社でも日本語教師のスキルが活用できます。
どのようにして活かせるのかというと、"教材開発"における監修や企画などです。
出版物にせよアプリにせよ、最近では日本語を取り扱う教材が増えてきています。
そうした教材の開発にあたって、題材の選定や難易度の調整、
問題・解説の作成をする際に、日本語教師としての能力が発揮できるわけです。
間接的ではあるものの、実用的な教材が開発できれば、外国人の日本語学習に貢献できるのは確かです。
「いろいろな可能性を探ってみたい」とお考えの方は、出版社やアプリ開発会社への就職も検討してみてください。
放送局
"直接教壇に立つ以外の方法で日本語を教える"という意味では、テレビ局やラジオ局への就職もおすすめです。
日本語学習者向けの番組を企画する際や、多言語放送の番組を作成する際に、
日本語のプロとして意見や案出しができます。
また、ナレーション用の原稿を校正する業務に携われる可能性もあります。
テレビもラジオも多くの人が見る・聞くものですから、日本語の間違いがあるなどもってのほかです。
ゆえに、日本語教師の手腕を大いに発揮できる仕事だといえるでしょう。
行政(役所や地方自治体)
グローバル化の影響から、県庁や市役所といった行政でも日本語を教えることに精通した方の採用が多くなっています。
外国人の住民が全国的に増えてきたのに伴い、各自治体では多文化共生の推進が重要視されるようになりました。
地域に住む外国人に向けての広報や生活ガイドの提示、
日本語学習プログラムの作成など、さまざまな取り組みが進められています。
そうした取り組みを効果的に進めるうえでは、日本語教師として培ってきたノウハウが非常に有用なものとなりえます。
「日本語を教えるだけじゃなく、多文化共生の実現に貢献したい」とお考えの方には、まさにうってつけの仕事です。
大使館・領事館
日本語教師の能力が活かせる就職先としては、日本国内にある大使館や領事館なども挙げられます。
日本で生活する自国民に対する日本語教育のサポートや、日本文化の普及活動などが、
大使館・領事館での主な業務内容です。
職員に直接日本語を教育することもあるため、フレキシブルに活躍することができます。
日本にいながら海外のような異文化交流が実現できるため、いろいろな経験を積みたい方にとっては最適な就職先です。
ただし、就職するためには、その国の言語や英語に堪能であることが求められる点は留意しておきましょう。
日本語学校や語学スクールの経営・運営スタッフ
日本語ではなく、経営・運営スタッフとして日本語学校に就職することも検討してみてください。
カリキュラムの作成や授業のサポート、新たな生徒募集のためのマーケティングなど、
運営スタッフの業務でも日本語教師のノウハウが役立つ場面は多数あります。
また、スクールの運営を通じて経営者側の視点を徐々に身につけていけば、幅広くキャリアを形成していけます。
養成学校での講師
日本語教師養成講座の講師になれば、ご自身が培ってきた知見やノウハウを、
将来の日本語教師に伝えられるため、大きなやりがいを感じながら仕事ができるのではないでしょうか。
ただし養成講座の講師は、現場での経験を積んだ方のみが採用の対象となっていることがほとんどです。
そのため、日本語教師になってすぐに目指すのではなく、
将来的なキャリアの一つとして考えておくことをおすすめします。
日本語教師の資格試験対策を行う予備校や教育機関
養成講座に似た就職先としては、資格試験対策のための予備校や教育機関などもあります。
資格試験対策の予備校や教育機関では、日本語教育能力検定試験や、
登録日本語教員になるために必要な日本語教員試験の合格を目指す受講生に対して、試験対策や実践的な学習方法を指導します。
日本語教師からの的確なアドバイスを受けられれば、受講生も安心して勉学に励めるはずです。
また指導を通じて、日本語の基礎部分の再確認やアップデートも可能なため、ご自身の成長にもつながります。
日本語教師の就職先はどのように探すのがよい?
「就職先の候補がたくさんあることはわかったけど、そもそもどこで職を探せばいいのだろう......」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
就職先を探す際は、以下の3つの手段を利用するのがおすすめです。
養成講座が提供する求人情報
日本語教師の養成講座では、キャリアカウンセラーが求人を紹介してくれる場合があります。
また、サイトに求人情報を掲載している学校もあるので、そちらをこまめに確認するのも大切です。
日本語学校・日本語教室から、オンライン講師、出張レッスンなど多種多様な求人を探せます。
「日本語教師に関連するいろいろな就職先を探したい」とお考えなら、ぜひ利用したい手段です。
ハローワーク
より広範囲で就職先を探すなら、ハローワークを利用するのが最適です。
ハローワークなら、日本全国のさまざまな求人情報を確認できるので
「上京してからの仕事を探したい」あるいは「地方で就職したい」という場合にもうってつけです。
就職活動が難航した際には個別相談や適性検査などの支援も受けられるので、困ったときには相談してみるとよいでしょう。
知人からの紹介や口コミ
頻繁にあるケースとはいえませんが、すでに就職している知人のツテを利用して就職先を見つけるのも、手段の一つとしてもっておきましょう。
求人情報を出していない学校や海外で働いている知人から、仕事を繋いでもらえる場合があるからです。
また稀ではあるものの、フリーランスで働いていた際の口コミが企業の目に留まり、
声をかけてもらえるということもありえます。
どちらのケースにせよ、思わぬかたちで就職先が決まる可能性はゼロではないので、
人脈作りや実績作りは優先的に行っておきたいところです。
国内外・業種を問わず、日本語教師の就職先は数多く存在する!
今回は、日本語教師の主な就職先を合計16個紹介しました。
日本語教師の就職先としては、日本語学校や公的機関のほかにも、一般企業やオンライン講師などもあります。
また、講師という役職に限らないのであれば、さらに多種多様な業種で活躍することが可能でしょう。
しっかりと検討したうえで、ご自身にピッタリな就職先をぜひ見つけてみてください。
ルネサンス日本語学院では、就職サポートとして求人情報の提供や個人面談、履歴書添削・面接練習などを実施しています。
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この記事の監修者

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。