日本語教師養成コラム

特定一般教育訓練給付金とは?対象者や支給額・申請方法を解説

公開日:2026.09.02 更新日:2026.09.04

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

「将来に備えて資格を取りたいけれど、受講費用が心配」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そのようなときに活用したいのが、資格取得費用の一部が支給される「教育訓練給付制度」です。

この制度には、「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の3種類があります。
本記事では、登録日本語教員の取得を目指す日本語教師養成講座も対象となっている「特定一般教育訓練給付金」について解説します。

教育訓練給付制度とは

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講・修了した場合に、支払った教育訓練経費の一部が戻ってくる制度のことです。
給付金は3種類あり、それぞれ以下のような違いがあります。

教育訓練給付制度の種類

種類 教育訓練経費に対する支給割合 講座の例
一般教育訓練 20%(上限10万円)
  • 資格取得を目指す講座
  • 社会人向け大学院などの課程
特定一般教育訓練 最大50%(上限25万円)
  • 業務独占資格などの取得を目標とする講座
  • デジタル関係の講座
  • 大学や専門学校の課程
専門実践教育訓練 最大80%(年間上限64万円)
  • 1年以上の教育課程を持つ業務独占資格などの取得を目標とする講座
  • デジタル関係の講座
  • 大学院・大学・短期大学・高等専門学校の課程
  • 専門学校の課程

※いずれも支給額が4,000円を下回る場合は支給されません。

出典:「教育訓練給付金」(厚生労働省)
出典:「教育訓練給付金のご案内」(厚生労働省)

特定一般教育訓練給付金とは

ここからは、教育訓練給付制度の一つである「特定一般教育訓練給付金」について解説します。

特定一般教育訓練給付金は、働く人の能力開発を支援し、速やかな再就職やキャリア形成を促すために2019年にスタートしました。
一定の条件を満たす方が、厚生労働大臣指定の特定一般教育訓練を受講・修了し、支給申請を行うことで、支払った教育訓練経費の一部が支給されます。

なお、受給するには、訓練前キャリアコンサルティングを受け、ハローワークで受給資格確認を行う必要があります。

特定一般教育訓練給付金の対象者

給付の対象となるのは、雇用保険の被保険者、または過去に被保険者だった方のうち、一定の条件を満たす方です。
対象になるかどうかは、在職中か離職中かに加え、雇用保険の加入期間や、過去に教育訓練給付金を受給したことがあるかどうかによって異なります。

以下で対象となる条件を解説します。

在職者

現在、雇用保険の被保険者として働いている方は、支給要件を満たすことで給付対象となります。

初めて教育訓練給付金を受給する場合は、原則として、受講開始日までに雇用保険の被保険者期間が1年以上必要です。
過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合は、前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上あり、かつ前回の支給日から3年以上経過している必要があります。

離職者

一方、現在離職中の方でも、雇用保険の被保険者資格を失った日の翌日から受講開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間を満たしていれば給付の対象です。
支給要件期間は原則3年以上ですが、初めて教育訓練給付金を受給する場合は、1年以上あれば対象となります。

ただし、離職から1年を超えている場合でも、適用対象期間を延長できる場合があります。

適用対象期間を延長できる場合

離職後、妊娠・出産・育児・疾病・負傷などの理由により、引き続き30日以上教育訓練を開始できなかった場合は、適用対象期間を延長できる可能性があります。
適用対象期間の延長は最大20年です。

延長が認められるかどうかは状況によって異なるため、離職から期間が空いている場合でも自分で対象外と判断せず、ハローワークで確認しましょう。

特定一般教育訓練給付金の対象講座

特定一般教育訓練給付金は、すべての講座で利用できる制度ではありません。
対象になるのは、厚生労働大臣の指定を受けた講座に限られます。

主な対象講座には以下のようなものがあります。

講座の分野 講座の例
輸送・機械運転関係
  • 大型自動車第一種・第二種免許
  • 中型自動車第一種・第二種免許
  • 大型特殊自動車免許
  • 普通自動車第二種免許
  • フォークリフト運転技能講習 など
情報関係
  • ITSSレベル2の資格取得を目指す講座
  • プログラミング
  • データベース
  • ネットワーク など
専門的サービス関係
  • 社会保険労務士
  • 行政書士
  • 税理士
  • 土地家屋調査士 など
医療・社会福祉・保健衛生関係
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員実務研修 など
事務関係
  • 登録日本語教員

このようにさまざまな資格講座が対象ですが、同じ分野の講座であっても、すべてが給付対象になるわけではありません。
受講を検討する際は、スクール名や講座名だけで判断せず、特定一般教育訓練給付金の対象として指定されているかどうかを確認することが大切です。

対象講座かどうかは、厚生労働省の「教育訓練給付金検索システム」で確認できます。

出典:「教育訓練給付金厚生労働省指定教育訓練講座検索システム」(厚生労働省)

特定一般教育訓練給付金の支給額

特定一般教育訓練給付金の対象講座を修了した場合、支払った教育訓練経費の40%が支給されます。
支給額の上限は20万円です。

さらに、訓練修了後、資格を取得し、1年以内に雇用保険の被保険者となった場合、追加で教育訓練経費の10%(上限5万円)が支給されます。
追加支給分を合わせると、合計で教育訓練経費の50%(上限25万円)まで支給されることになります。

ただし、追加の支給を受けるためには、資格を取得し、雇用保険の被保険者として雇用された日の翌日から1か月以内にハローワークへ申請しなければなりません。

支給対象になる費用とならない費用

支給対象となる教育訓練経費は、受講者本人が教育訓練施設へ支払った入学料や受講料です。
受験料、交通費、補助教材費、パソコンなどの機材費、受験対策用教材費などは教育訓練経費に含まれません。
また、スクールが実施しているキャンペーンや割引を受けた場合は、その割引額が教育訓練経費から差し引かれるため注意が必要です。

具体的にどこまでが支給対象になるかは、講座や支払い内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

特定一般教育訓練給付金を利用する流れ

ここからは、特定一般教育訓練給付金を受給するための具体的な流れを解説します。
手続きの主な流れは、以下の通りです。

特定一般教育訓練給付金を利用する流れ

  • ステップ①自分が受給対象になるか確認する
  • ステップ②受講したい講座が対象講座か確認する
  • ステップ③訓練前キャリアコンサルティングを受ける
  • ステップ④受講開始日の2週間前までに受給資格確認を行う
  • ステップ⑤講座を受講・修了する
  • ステップ⑥修了日の翌日から1か月以内に支給申請を行う

ステップ①自分が受給対象になるか確認する

最初のステップは、自分が特定一般教育訓練給付金の対象者に該当するかを確認することです。
対象かどうかは、雇用保険の被保険者期間、現在の就業状況、離職してからの期間、過去の受給履歴などによって変わります。

在職中の方は、現在雇用保険に加入しているか、受講開始日までに必要な被保険者期間を満たしているかを確認します。
離職中の方は、被保険者資格を失った日の翌日から受講開始日までの期間も確認が必要です。

ステップ②受講したい講座が対象講座か確認する

次に、受講を検討している講座が、特定一般教育訓練給付金の対象になっているかどうかを確認します。

その際、同じ分野の講座でも、対象になるコースと対象外のコースがあるため注意が必要です。
厚生労働省の「教育訓練給付金検索システム」を利用して、希望する講座が給付の対象かどうかを確認しておきましょう。

出典:「教育訓練給付金厚生労働省指定教育訓練講座検索システム」(厚生労働省)

ステップ③訓練前キャリアコンサルティングを受ける

特定一般教育訓練給付金を利用する場合、受講する前にハローワークまたは「キャリア形成・リスキリング支援センター」等で訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成する必要があります。
そこで、これまでの職歴や今後のキャリア形成、受講予定の講座が今後の仕事にどのように役立つかなどを整理し、ジョブ・カードを作成します。

そのうえで、講座が始まる2週間前までに、以下の書類を準備して、住所地を管轄するハローワークで受給資格確認を行わなければなりません。

受給資格確認に必要な主な書類

  • 教育訓練給付金受給資格確認票
  • ジョブ・カード
  • マイナンバーカード
  • 特定一般教育訓練給付再受給時報告書(該当する場合のみ)
  • 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(該当する場合のみ)
  • 委任状(該当する場合のみ)

必要書類は状況によって異なるため、自分に必要な書類を厚生労働省の「特定一般教育訓練給付金提出書類チェックリスト」で確認しておきましょう。

出典:「特定一般教育訓練給付金提出書類チェックリスト」(厚生労働省)

ステップ④受講開始日の2週間前までに受給資格確認を行う

訓練前キャリアコンサルティングを受けたあとは、受講開始日の2週間前までに、ハローワークで受給資格確認を行います。
受給資格確認は、自分が特定一般教育訓練給付金の支給対象に該当するかを確認するための手続きです。

訓練前キャリアコンサルティングの予約や書類の準備に時間がかかる場合もあるため、期限ぎりぎりではなく、余裕を持って進めましょう。

ステップ⑤講座を受講・修了する

受給資格確認が完了したら、対象講座を受講・修了します。

特定一般教育訓練給付金は、講座を受講しただけでは支給されません。
教育訓練実施者が定める修了認定基準を満たし、講座を修了する必要があります。
修了認定基準は出席率や課題提出、修了試験など講座によって異なるため、どのような基準を満たせば修了と認められるのかを事前に確認しておくと安心です。

無事に修了が認められれば、支給申請時に必要な「教育訓練修了証明書」が発行されるという流れになります。

ステップ⑥修了日の翌日から1か月以内に支給申請を行う

講座を修了したら、修了日の翌日から1か月以内に住所地を管轄するハローワークで支給申請を行います。
支給申請では、講座を修了したことや、教育訓練経費を支払ったことを証明する書類も必要です。
申請期限を過ぎると給付金を受けられない可能性があるため、忘れないよう注意してください。

支給申請で必要になる主な書類

  • 教育訓練給付金支給申請書
  • 教育訓練修了証明書
  • 領収書
  • マイナンバーカード
  • 教育訓練経費等確認書
  • 受給資格確認通知書
  • 特定一般教育訓練給付受給時報告書(該当する場合のみ)
  • 返還金明細書(該当する場合のみ)
  • 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(該当する場合のみ)
  • 委任状(該当する場合のみ)

教育訓練修了証明書や領収書は、受講した教育訓練施設から発行されます。
紛失すると手続きに時間がかかる可能性があるため、大切に保管してください。

必要書類は状況によって異なるため、先に挙げた厚生労働省の「特定一般教育訓練給付金提出書類チェックリスト」で確認しておきましょう。

追加給付を受ける際に必要な書類

通常の40%(上限20万円)の給付に加え、10%(上限5万円)の追加給付を受ける場合は、以下の書類が必要です。

追加給付の申請で必要になる主な書類

  • 教育訓練給付金(第101条の2の7第3号関係)支給申請書(様式第33号の2の3)
  • 受給資格確認通知書
  • 本人・住居所確認書類
  • 資格取得等したことを証明する書類
  • 教育訓練実施者の発行する教育訓練経費に係る領収書
  • 特定一般教育訓練給付追加給付申請時報告
  • 返還金明細書
  • 委任状

これらの書類を、特定一般教育訓練に係る資格を取得し、雇用保険の一般被保険者等として雇用された日の翌日から1か月以内に、住所地を管轄するハローワークへ提出します。
追加給付の対象になるかどうかは、講座の修了状況、資格取得の有無、雇用保険の加入状況などによって変わるため、ハローワークで確認しておきましょう。

出典:「令和6年10月から特定一般教育訓練給付金を拡充します」(厚生労働省)

特定一般教育訓練給付金に関するよくある質問

最後に、特定一般教育訓練給付金に関する疑問にお答えします。
対象者や支給額などについて疑問がある方は、ぜひチェックしてください。

会社へ知られずに申請できますか?

原則として、会社を経由せずに申請することは可能です。
特定一般教育訓練給付金は、本人が受講前にキャリアコンサルティングを受けたうえで、ハローワークで受給資格確認を行い、修了後に支給申請する制度です。
通常の申請書類に勤務先の証明書は含まれません。

ただし、会社から受講費用の補助を受ける場合などは、給付対象経費の計算に影響するため確認が必要です。

受講途中で退職した場合はどうなりますか?

受講途中で会社を退職しても、それだけで特定一般教育訓練給付金の対象外になるわけではありません。

受講開始日時点で支給要件を満たし、指定講座を修了すれば、原則として教育訓練経費の40%、上限20万円の支給対象となります。
ただし、資格取得後の追加給付は雇用保険の被保険者として就職・在職していることなどが要件になるため、退職後の状況によって扱いが異なります。

受講後に申請しても給付金は受け取れますか?

特定一般教育訓練給付金を受けるには、受講開始前に必要な手続きを済ませておかなければなりません。

具体的には、訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作成し、受講開始日の2週間前までに、住所地を管轄するハローワークで給付金の対象条件の確認(受給資格確認)を行います。
この手続きが済んでいない場合、対象講座を受講・修了しても給付対象外になる可能性があるため注意が必要です。

まとめ:特定一般教育訓練給付金を利用して資格取得の費用負担を減らそう

特定一般教育訓練給付金とは、働く方の速やかな再就職やキャリア形成を支援するための制度です。
厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了し、一定の要件を満たすと、教育訓練経費の最大50%(上限25万円)が支給されます。

ただし、すべての講座が対象になるわけではありません。
受講を検討している講座が、特定一般教育訓練給付金の対象講座として指定されているかを、事前に確認しておきましょう。

ルネサンス日本語学院の日本語教師養成講座「登録日本語教員養成・実践研修コース」は特定一般教育訓練の指定講座です。
登録日本語教員を目指したいものの、費用面に不安がある方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。