日本語教師養成コラム

登録日本語教員制度の導入で現職の日本語教師はどうなる?

2024.03.22

「登録日本語教員制度による現職の日本語教師への影響は?」
「そもそも登録日本語教員とは?」
「経過措置や救済措置について知りたい」

現職の日本語教師として働いている方は、令和6年からいよいよ始まる日本語教師の国家資格「登録日本語教員」で資格取得が必要なのか気になっている方も多いと思います。

本記事では、特に現職の日本語教師の方に向けて国家資格「登録日本語教員」について、よくある疑問から資格取得のメリットや要項までを解説していきます。
日本語教師が国家資格へ移行することが決定し、それについて不安や悩みを抱えている方は、必見の情報満載です。

ぜひ、最後までご覧ください。

そもそも登録日本語教員とは

まずは、そもそも「登録日本語教員」が何かから解説していきます。

登録日本語教員は、日本語教師の国家資格の名称です。登録日本語教員は国から認可を受けた有資格者として、日本国内外の日本語学習者や留学生、外国人労働者などを対象に日本語教育を行います。また、認定日本語教育機関で日本語を指導することができます。
登録日本語教員の資格を取得するためには、認定日本語教育機関で日本語教育を行うために必要な知識や技能についての試験に合格し、文部科学大臣の登録を受けた登録実践研修機関で実践研修をする必要があります。

当然、資格取得過程での試験は、日本語の教育方法や指導技術、教材の選定などに関する知識や能力を評価するものです。登録日本語教員の資格を持つことで、専門的な知識とスキルを持つ教師として日本語教育に従事することができるといえます。

登録日本語教員は、日本語学校、大学などの教育機関で働くなど様々な場で活躍することを期待されています。

登録日本語教員制度による現職の日本語教員への影響は?

登録日本語教員が何かわかったところで、ここからは、登録日本語教員制度によって引き起こる現職日本語教師への影響について解説していきます。ここでは、以下2つの観点から見ていきましょう。

  • ・認定日本語教育機関(大学・日本語学校など)に所属する場合
  • ・認定日本語教育機関に所属しない場合

それぞれ確認してください。

認定日本語教育機関(大学・日本語学校など)に所属する場合

現職の日本語教師として法務省告示機関(日本語学校や大学など)で教えており、ご自身の日本語学校や大学などが認定日本語教育機関になるのであれば、登録日本語教員資格の取得は必須となります。

ただし現職の日本語教師には経過措置もあり、登録日本語教員の資格取得をすぐに行わなければならないわけではありません。資格取得は基本的には大学や日本語学校など、認定日本語教育機関で働くために必要な資格と考えられます。

今後も継続して働く場合には、経過措置が終わるまでに国家資格を取得しておく必要があります。

認定日本語教育機関とは

認定日本語教育機関は、日本語教育を適切かつ確実に実施できる機関であり、文部科学大臣によって認定されている機関です。

令和6年5月ごろから、現状の日本語教育機関の申請が開始されます。この認定は、留学のための過程・就労のための過程・生活のための過程に分かれており、一定の教育の質が担保されることになります。
特に大学では、「留学のための課程を置く認定日本語教育機関の認定等について」で以下のように記載されています。

  • ・大学においても、一定の日本語能力(日本語で授業を行う場合、日本語能力試験N2レベル相当以上)を備えていない留学生を対象に専ら日本語教育を行なおうとする場合は、原則として留学のための認定を受けた機関でなければ、入学しようとする外国人に「留学」の在留資格が認められないとする制度改正が予定されています。
  • ・別科や留学生センター、日本語教育センターに限らず、大学の正規課程で開講される日本語教育科目により構成されるプログラムであっても、受講者の所属・身分・日本語能力が前述の条件に当てはまる場合、当該受講者を「留学生」として受入れるためには、令和11年3月31日までに留学のための課程の認定を受ける必要が生じることとなります

参照:【引用】"留学のための課程を置く認定日本語教育機関の認定等について"「認定生徒に関する留意事項」p.10

認定日本語教育機関に所属しない場合

日本語教師が国家資格となっても、所属する機関や働き方によっては必ずしも国家資格取得が必要なわけではありません。

たとえば、海外の学校やオンラインで働く日本語教師、いわば認定日本語教育機関以外で働く教師にとっては資格取得が必要ない場合もあります。上記の場合は今まで通りに働くことが可能です。
また、大学の日本語教育について下記に該当する場合は認定日本語教育機関の認定は不要であり、それに伴って登録日本語教員の資格取得も不要になります。

  • ・正規課程に正規生として在籍する留学生に日本語教育を行う場合
  • ・国費外国人留学生制度に基づく国費外国人留学生に日本語教育を行う場合
  • ・大学間交流協定に基づく学生交換計画により受け入れる交換留学生に日本語教育を行う場合

登録日本語教員の資格を取得するメリット

登録日本語教員の資格を取得することには、いくつかのメリットがあります。

まず、より専門的な知識が身につき、日本語教育のプロフェッショナルとしてのスキルを高められる点です。
また、認定日本語教育機関で働くことができるため、日本語教育者としての信頼性を得ることができ、安定した仕事につける可能性があることも挙げられます。

さらに、フリーランスなど個人で働く場合にも強い信頼性と専門性を武器に立ち回ることができ、自己の能力をより高いレベルで発揮できるでしょう。

登録日本語教員の経過措置・救済措置について

すでに日本語教師である、あるいは制度導入前に日本語教育の経験を持っていた場合、登録日本語教員の資格がなくても認定日本語教育機関で働くための経過措置が用意されています。
経過措置期間は、5年間(令和11年3月31日までの期間)です。経過措置期間中に、教員としての経験やスキルを持ちながら登録日本語教員の資格を持っていなかった人々は、専門知識を身に付けるための講習に参加することで、認定日本語教育機関で働けるようになります。

この経過措置によって、日本語指導を担当している現職日本語教師が新しい制度にスムーズに移行できるようになっています。この経過措置は現職の日本語教師を対象にしたものだけでなく、これから日本語教師になる人であっても令和11年3月31日までに法務省告示機関などで1年以上の勤務がある場合は適用になります。次から詳しく解説していきます。

現職の日本語教師が必要な講習について

ここからは、現職の日本語教師が登録日本語教員を取得するための、経験者講習について解説していきます。いずれの場合でも現職者は実践研修は免除になります。

  • ・講習の対象者
  • ・講習の内容

それぞれ解説していきます。

講習の対象者

登録日本語教員制度経過措置
【引用】文化庁 "登録日本語教員の経験者講習について(案)"「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置(案)」P.2

現職者のうち、大学卒業をしている方(学士の学位を持つ方)の場合

大学の学位を取得している場合、大きく分けて3つのパターンがあります。

  • 1.必須の50項目に対応した課程の修了者
  • 2.必須の50項目対応前の過程修了者で、5区分の教育内容を実施している養成課程の修了者
  • 3.必須の50項目対応前の過程修了者で、5区分の教育内容を実施していない養成課程の修了者

まず、大学の学位を取得されている場合、必須の50項目に対応した現行告示基準教員要件に該当する養成課程を修了していれば、応用試験の合格のみが必要になります。

次に、大学の学位があり、必須の50項目対応前の過程修了者で、5区分の教育内容を実施している現行告示基準教員要件に該当する養成課程を修了している場合、講習IIとその講習修了認定試験と、応用試験の合格が必要になります。

最後のパターンですが、大学の学位があり、必須の50項目対応前の過程修了者で、5区分の教育内容を実施していない養成課程の修了者の場合は、講習Iと講習II、その講習修了認定試験と、応用試験の合格で登録日本語教員の資格を得ることができます。

現職者のうち、大学卒業をしていない方の場合

大学の学位を取得していない場合も3つのパターンで登録日本語教員の資格を取得することができます。

  • ・昭和62年4月1日~平成15年3月31日までの日本語教育能力検定試験に合格している
  • ・平成15年4月1日以降の日本語教育能力検定試験に合格している
  • ・それ以外の現職者

まず、大学の学位取得がなく、平成15年3月31日までの日本語教育能力検定試験に合格し、現職の日本語教師になった方は、講習Iと講習IIとそれぞれの講習修了認定試験が必要で、応用試験は不要です。

次に、大学の学位取得がなく、平成15年4月1日以降の日本語教育能力検定試験に合格し、現職の日本語教師になった方は、講習IIと講習修了認定試験が必要で、応用試験は不要です。

現職者向け講習の内容について

経験者講習は大きく2つに分かれており、「講習I」と「講習II」に分かれています。当然ですが、現職日本語教師のみが対象で、自宅などで受講できるよう、オンデマンド(配信)で実施します。講習それぞれについて、講習内容の修了確認試験があります。

講習Iについて

平成12年報告書で新たに追加された内容を中心に構成された講習があります。
各90分で5回分の講習が予定されており、講習の修了試験では50問程度に回答する必要があります。

講習IIについて

平成31年報告書で追加された内容及び近年の情勢などの変化が大きい内容を中心に構成された講習があります。
各90分で10回分の講習が予定されており、講習の修了試験では100問程度に回答する必要があります。

在留外国人の増加にともない活躍の場が増える可能性

ここからは、日本語教師の需要増加に関してさらに深ぼりしていきましょう。その背景にあるのは「在留外国人の増加」です。
ここでは、さらに以下2つの側面から解説します。

  • ・日本語教師が求められている背景
  • ・日本語教育の現状の課題

それぞれ順に見ていきましょう。

日本語教師が求められている背景

日本語教師が求められている背景としては、外国から日本に移住してきた在留外国人の増加が挙げられます。それによって日本語教師の需要は急速に増えていますが、その需要に対して現役の日本語教師の数は不足していると言われています。

在留外国人の増加により、その子供が満足な日本語教育を受けることができていない現状も問題です。国としては「外国人の子供18人に対して1人の日本語教師を配置すること※1」を定量的な指標として定め、改善を目指しています。

また、日本語学校ではこれまで60人に1名の日本語教師を設置することが求められていましたが、今後「40人に1名の専任の日本語教師を設置するように制度※2」が変更になり、より日本語教師が求められることになります。

参照:※1【参照】法務省 "日本語教育機関の告示基準解釈指針"P.7
参照:※2【参照】文部科学省 "外国人児童生徒等教育の現状と課題"「帰国・外国人児童生徒等教育に関する主な施策」P.17

日本語教育の現状の課題

外国人に対する日本語教育の課題としては、教員数の不足が続く懸念と、日本語教育の品質、教育の統一性でしょう。この課題を解決するためには、教員養成プログラムの充実や受験負担の軽減、教員の待遇改善などが必要です。それを一挙に解決する策として、日本語教師の国家資格化の機能が期待されています。

登録日本語教員は現職も必ず取得が必要なわけではない

登録日本語教員は、現職の日本語教師も必ず取得が必要なわけではありません。

ただし、認定日本語教育機関で働く際には登録日本語教員資格が求められます。

また、日本語教育における自身の専門性や信頼性を高める点でも登録日本語教員資格は有効なため、現職の教員もできる限り取得した方が良いでしょう。

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