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自転車は「押す」?「引く」?
自転車に乗らないで、ハンドルに手をかけて歩いていることを皆さんは、
「自転車を押す」と言いますか。それとも、「自転車を引く」と言いますか。
「押す」か、「引く」か。
地方によって、どちらかしか使わないというところもありますが、両方使う
というところもあり、どちらかが間違いというわけではありません。
ただし、「両方使う」をいうところは、「押す」と「引く」の使い分けを
しているようです。
では、「押す」と「引く」。どのように違うのでしょうか。
手元にある辞書をみると、
「押す」:向こうへ動かそうと力を加える。(例)荷車を押す。
「引く」:前から力を加えて車などを進める。(例)荷車を引く。
とあります。
つまり、
「押す」というのは、物が自分の前にあり、それに後ろから力を加えて動かす
動作、
一方、「引く」というのは、物が自分の後ろにあり、それに前から力を加えて
動かす動作
と言えます。
そうなると、自転車のハンドルに手をかけて歩く状態は・・・。
自転車があるのは、自分の前でも、後ろでもありません。「横」にあります。
だから、「押す」のか、「引く」のか?という疑問が出てくるのかも
しれません。
ハンドルと自分の位置関係に注目するなら「押す」 です。
また、前のかごに重い荷物が載っている場合も「押す」を使う傾向があります。
それに対して、自転車の後ろに重い荷物が載っている場合は「押す」ではなく、「引く」 と言いたくなるのではないでしょうか。
学生の頃、教授に「日本は上り坂と下り坂のどちらが多いか?」という問題を
出されたことがあります。答えは、「同じだけある」です。
なぜなら、坂を上から見れば「下り坂」、下から見れば「上り坂」。
どちらの視点で見るかで表現が変わるということです。
自転車を「押す」と「引く」。
これもどちらの視点で見ているのかで、日本人は無意識に使い分けている
のですね。