現役日本語教師の日本語豆知識

日本語の拍とリズムのルール

公開日:2016.01.25 更新日:2023.04.26

正しい日本語を話しているのに、日本語が下手に聞こえてしまう外国人が
います。
これは、日本語の発音の問題もありますが、それ以上に「日本語のリズム」が
悪いのが原因ということが多いのです。

そこでみなさん、「日本語の拍とリズムのルール」、ご存知ですか。

日本語は「仮名1文字=1拍・同じ長さ」というルールがあります。
例えば、「おはようございます」は「お/は/よ/う/ご/ざ/い/ま/す」
と9文字ありますから、9拍ということになります。
そして、「お-/は/よ/う-/ご-/ざ/い-/ま/す」というように、
長くなったり、短くなったりせず、「お/は/よ/う/ご/ざ/い/ま/す」
全て同じ長さで発音されます。

この「仮名1文字=1拍・同じ長さ」というのは、日本語の特徴の一つです。

しかし、実際の生活では「お/は/よ/う/ご/ざ/い/ま/す」と1文字ずつ
分けて発音している日本人はいないはずです。
そこで重要になってくるのが「日本語のリズム」です。

日本語のリズムは「2拍でひとまとまり」というルールがあります。
例えば「せんせい」は、「せん|せい」というように、「せん」、「せい」の
2拍のまとまりでリズムをとって発音しています。

では、「おはようございます」のリズムはどのようになるかというと、
「おは|よう|ご|ざい|ます」となるのです。
『え?「おは|よう|ござ|いま|す」じゃないの??』と思った方。
違うのです。この「日本語リズム」。前から2拍ずつかたまりにしていけばいい
という単純なものではありません。

実は、「日本語のリズム」には次のようなルールがあります。

SETP1 「○ー」、「○ッ」、「○ン」、「○+母音(あいうえお)」、
     「です」、「ます」は第一優先で2拍のまとまりとする

STEP2 STEP1で挙げた以外のものは、隣り合う2拍でひとまとまりとする。
STEP3 あまった拍はそのまま1拍とする。

このルールに「おはようございます」を当てはめると、
「よう」、「ざい」、「ます」が最初に2拍のまとまりとなります。
(「おは||ご|ます|」)
そして、次に 「おは」が隣り合う2拍でひとまとまりとなります。
最後にあまった「ご」はそのまま1拍にします。

こうやって、「日本語のリズム」のルールに従って、区切って発音させると、
あら不思議。
ぎこちなかった外国人の話し方も、日本人の話し方に近くなってくるのです。

「ありがとうございます」も、STEP1~STEP3のルールに従って、リズムの
区切りをいれると、
「とう」、「ざい」、「ます」が最初に2拍のまとまりになり、
次に、「あり」が隣り合う2拍でひとまとまりになります。
最後に、余った「が」、「ご」はそのまま1拍にし、
あります」となります。

皆さん、知り合いの外国人に「話し方が下手に聞こえる」という方がいたら、
ぜひ、この日本語は「仮名1文字=1拍・同じ長さ」というルールと
「日本語のリズムのルール」を教えてあげてください。
また、外国人が周りにいない・・という方も、自分の話す言葉のリズムと
このルールを照らし合わせてみても、面白いと思いますよ。
誰に教わったのかしりませんが、私たち日本人は無意識にこのルールに
従って、発音していますから♪

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。