現役日本語教師の日本語豆知識

「違かった」を聞いたことがありますか?

公開日:2016.08.24 更新日:2023.04.26

先日、こんなことがありました。

ビドゥーラさん:(採点済みのテストを持って)
        先生、「違かった」は正しくありませんか?
私:ええ。違いますよ。「違う」は動詞ですから、「違った」が正しいです。
ビドゥーラさん:え~・・・。でも、日本人は「違かった」と言っていますよ。
        私の会社の人も、この前言っていました。
私:う~ん。それは、その人が間違っているんですよ・・・。


皆さん。「違かった」という言い方を聞いたことがありますか?
私は何回か聞いたことがあり、気になっていましたが、外国人から指摘された
のは初めてでした。

文法的に考えれば、「違う」は動詞ですから、「違った」となるはずです。
では、どうして、「違かった」という言い方が出てきたのでしょうか?
自分なりにいろいろ考えてみました。

「違う」の対語である「正しい」の変化に引きずられているのかもしれません。
「正し はい形容詞で、「正しかったと変化します。
それにつられて「違「違かったとなってしまったのかな・・・と。

うーん。でも、「ある」の対語の「ない」は「なかった」になるけど、
「あかった」「ありかった」とかにはならないし・・・。
なぜ、「違う」だけ???
もしかして、「違った」と発音が似ているから、「違かった」も受け入れられた
のでしょうか???

理由は分かりませんが、外国人から「聞いたことがある」と言われるように
なってきたので、使う日本人は増えてきていることは確かなようです。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。