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責任逃れしたいときは、自動詞を使う?!

先週のブログで、日本人はなぜ「お茶を入れました(他動詞)」ではなく、
「お茶が入りました(自動詞)」と言うのか・・について書きました。
→詳しくはこちら。「お茶が入りました」と「お茶を入れました」

今日も、この「自動詞」と「他動詞」について紹介したいと思います。

先週、日本人は「動作主である自分を言い立てないことを良しとする」価値観
を持っているので、「(私は)お茶を入れました(他動詞)」ではなく、
「お茶が入りました(自動詞)」を使うことで、自分を隠す、ということを
紹介しました。

こう説明すると、自動詞を使って表現することは、謙虚さを表す良い表現の
ように感じますね。
しかし、この「自動詞を使った表現」は使う状況によっては、責任逃れの表現
になってしまいます。

例えば、こんな場面に遭遇したことはありませんか?

子ども:(ガチャーン。コップをテーブルから落として)
    「ママ~!ママ~!コップが壊れたよ~。」
お母さん:「壊れたじゃないでしょ!!!壊したんでしょ!!」

「壊れた」という自動詞を使うことで、結果の方に視点をおき、
「壊した」自分を隠す
という、自動詞の特長を上手く(?)使った言い方です。
もちろん、子どもは「壊れた」と「壊した」の違いを知って、使い分けている
のではないと思いますが、もし、これが大人の会話であれば、「コップが
壊れたよ」なんて言ったら、相手に「責任逃れ」と思われても仕方ありません。

「自動詞」を使って、「謙虚さ、控えめさ」のニュアンスを添えるか、
「責任逃れ」をするか。
その時の自分の心情で日本人は無意識に使い分けているようです。

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