現役日本語教師の日本語豆知識
あなたの名字は?
公開日:2016.08.10 更新日:2024.05.27
監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
日本語教師という職業柄、様々な国の人と出会います。
そこで行われるのが「自己紹介」。
A 「私は田中太郎です。」
B 「私はナルスです。」
A 「ナルスさん。フルネームは?」
B 「ナルスです。」
A 「??ナルスはファミリーネームですか?ファーストネームですか?」
B 「ナルスだけです。モンゴルにはファミリーネームはありません。」
A 「え?!そうなの!」
日本人は名前は「姓+名」で構成されていると考えますが、世界には「名字が
ない(もしくは、あっても使わないので、国民に姓」の意識がない)」という
国があります。
モンゴル、インドネシア、ミャンマー、アイスランドなどは名字がありません。
しかし、日本に来て、外国人登録証を作る時、どうしても「姓と名」が必要に
なります。
彼らはどうするか・・・というと、「お父さんの名前」を名字の代わりにする
という国の人が多いです。
例えば、横綱白鳳関の名前は「ムンフバト・ダヴァジャルガル」ですが、これは
「ムンフバト(自分の名前)+ダヴァジャルガル(お父さんの名前)」として
名字の代わりにしています。日本名でいうなれば、「太郎 一郎」といった感じ
でしょうか。
こういう国の場合は、呼び方に気を付けなければなりません。
「ムンフバトさん」であれば、本人を呼んだことになりますが、「ダヴジャル
ガルさん」と言ったら、お父さんを呼んだことになってしまいます。
一方で、「お父さんの名字&お母さんの名字=私の名字」という国もあります。
スペイン語圏とポルトガル語圏です。
これは、日本風に言えば「山田田中 一郎」という感じでしょうか。
更に、彼らの国ではここに洗礼名も加わるので、日本人は「長い名前」と感じ
ます。
今はちょうどオリンピックが開催されています。
競技はもちろん、こういう「名前」にも注目して見てみると、面白いですよ。
この記事の監修者
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。