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「だけ」と「しか」

ある映画の台詞です。
去っていく恋人に向けてヒロインが投げた言葉。

「行かないで!私にはあなただけなの!」
「行かないで!私にはあなたしかいないの!」

「だけ」と「しか」。
どちらも「限定」を表す言葉です。
日本語のテキストでは、初級(または中級前半)に出てきて外国人も勉強する
ので、日本語教師はこの二つの言葉の違いを教えなければなりません。

では、どう違うのか。

まず、「だけ」と違い「しか」は常に「~ない」と一緒に使うというルール
があります。
これをしっかり理解させなければなりません。
そうしないと、外国人は「私はあなたしかいます。」という文を作ってしまうのです。

更に、「だけ」と「しか」は同じ「限定」でも、「限定の質が違う」ことを
理解させる必要があります。

「しか」は「~ない」と一緒に使うことからわかるように、「●●しか~ない」の
「●●」以外のものをすべて否定する時に使います。
ですから、「あなたしかいないの!」は「あなた」以外の人をすべて否定する
心情
を表しています。

一方、「だけ」は確かに限定していますが、他を否定する意味はありません
つまり、「あなただけなの!」は他にも人はいるけれど、その中で「あなた」を
限定する心情
を表しています。

「だけ」と「しか」。
同じ「限定」を表す言葉ですが、どちらを使うかで、その人の「崖っぷち度合」
が分かるかもしれませんね。

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