現役日本語教師の日本語豆知識

春はあけぼの・・・

公開日:2016.07.27 更新日:2023.04.26

ある国の外交官に日本語を教えていた時のことです。
その人は日本語がペラペラなので、仕事や、生活で困ることはないのですが、
日本が大好きなので、もっと極めたいと勉強を続けていました。

そんな彼女が読みたい!と言ってきた本が「枕草子」の現代語訳。
なんでも、国にいるときに日本の歴史を勉強し、そのときに知って以来、
いつか読んでみたい!と思っていたそうなのです。

枕草子は、色々なテーマで書かれていて、国が違っても共感できる内容もあり、
「面白い!」と彼女も喜んでいたのですが、どうしても理解できないと首を
ひねるところ
がありました。

それが、私たち日本人にとって有名な「春はあけぼの・・」という部分
「段々白くなっていく山際が、少し赤みを帯びて、紫がかった雲が細くたなび
いているのが趣がある」という内容なのですが、どうしてこれが「趣がある」
のか理解できない
のだそうです。

なんでも、彼らの国は天気の変化が激しいそうで、
『朝、こんな空の状態だったら、「今日は絶対雨が降るから、早く畑に行って、
収穫して、早く納屋に入れて、帰らなくては!」と思う。すごく嫌な気持ち
になる
』のだそうです。

う~ん。
そういう国なら、「いいわね~」なんて思っている日本人の気持ちは理解でき
ないですね・・。

日本語を極めようとすると、こういう日本人の価値観も理解できるようになる
必要がありますね・・・。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。