現役日本語教師の日本語豆知識

「~で作る」と「~から作る」

公開日:2016.07.25 更新日:2024.05.27

大豆から味噌を作ります
椅子を作ります

日本語を勉強する外国人は初級レベルで、このような日本語の違いを勉強
します。
「●●から作る」と「●●で作る」。
私たち日本人はどう使い分けているでしょうか?

日本語に関する文法書を見ると、この二つの違いは、次のように説明されている
ことが多いです。

「~から作る」:できている物を見ても、その「もと」になっている物が
        分からない場合

「~で作る」:できている物を見て、その「もと」になっている物が分かる場合

この説明。分かったような、分からないような・・・。
その物を見て、「もと」になっている物が分かるか、分からないかは個人の
経験・知識に左右されます。
例えば、大人が知識として知っている範囲と子供のそれとは異なりますから、
子供は『見ても、「もと」になっている物が分からない』場合が多いはずです。
そうすると、子供は大人より「~から作る」を使う機会が多いということに
なってしまいます。

そこで、私たちルネサンス日本語学院の教師は「助詞の持つ概念」に注目して、
教えています。
どういうことかというと、
「~から作る」の「~から」は「起点」を表す助詞。と言うことは、
ある物の起点つまり、「原料」を言うときは「~から作る」を使う、
一方、「~で作る」の「~で」は「手段」を表す助詞
つまり、ある物を作る際の手段=「材料」を言うときは「~で作る」を使う
というように教えます。

そうすると、外国人も「なるほど!」と簡単に理解できるのです。

日常生活では、原料について聞く場面よりも、材料について聞く場面が多い
ですよね。
そのため、私たち日本人にとっては「~で作る」の方が耳慣れた表現かも
しれません。
しかし、日本語を勉強する外国人たちは、この二つの表現の違いを勉強し、
使い分けています。
外国人に「その日本語、違いますよ!」と突っ込まれないよう、「~から作る」
と「~で作る」を皆さんも使い分けてみてください。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。