現役日本語教師の日本語豆知識

「~から・・・まで」と「~から・・・にかけて」

公開日:2016.07.11 更新日:2023.04.26

天気が変わりやすいこの時期。
天気予報のチェックは欠かせません。
今日はそんな天気予報で使われている言葉について書きます。

天気予報では、こんな言葉をよく耳にします。

「昼過ぎから夕方にかけて、にわか雨か、雷雨があるでしょう。」

この「~から・・・にかけて」という言葉と似ているのが、
「~から・・・まで」です。
両方とも、「~」と「・・・」の部分に場所や時間を表す言葉を入れて、
2点間の起点と終点を述べるときの言い方ですが、実は使い方の違いが
あります。

「~から・・・まで」は、例えば
「昨日、17時から17時半まで猛烈な雨が降りました。」というように、
起点と終点がはっきりと「点」のように示せる場合に使います

一方、「~から・・・にかけて」は
「九州から西日本にかけて猛烈な雨にご注意ください。」とか、
「昼過ぎから夕方にかけてにわか雨か雷雨があるでしょう」というような使い方
をし、起点と終点がはっきりと示せない場合に使います。

つまり、「~から・・・まで」は「点」と「点」を結ぶ言葉、
「~から・・・にかけて」は「面」と「面」を結ぶ言葉
と言えます。

よ~く聞いていると、お天気キャスターの方も、こんな風に使い分けています(意識してか、無意識かは分かりませんが・・・)。

「今日は、昼過ぎから夕方にかけて急な雨にご注意ください。
特に、12時~15時までにお出かけの方は、必ず傘を持っていって
ください。」

今週はこの二つの言葉の使い分けに注意して、天気予報を聞いてみると、
面白いかもしれませんね。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。