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「右」を辞書で引いてみると・・・

大学で「日本語教授法」という授業を受けていた時の話です。
教授は私たち学生に「国語辞典に頼って日本語を教える危うさ」を体感させ
たかったようで、色々な辞書を持ってきて、私たちに「右の意味を調べなさい」
と指示しました。

皆さん。「右」の意味を辞書で調べたことがありますか?
私は調べたことがありませんでした。
改めて「右とは?」を調べて、驚きました。
各辞書の説明は、次の通りです。

・南を向いたとき、西にあたる方(広辞苑)
・アナログ時計の1時~5時までの表示がある側。(新明解国語辞典)
・この辞書を開いて読むとき、偶数のページのある側(岩波国語辞典)
・人体を対称線に沿って二分したとき、心臓のない方。
 (大修館書店 明鏡国語辞典)
・人のからだで、心臓のない側。また、野球で言えば、キャッチャーから見て、
 一塁側にあたる方角。(三省堂 例解国語辞典)
・大部分の人が食事の時、箸を持つ側。(大辞泉)

調べる前は、「右なんて簡単な言葉、どんな辞書も同じように説明している」
と思っていたのです。
しかし、簡単だからこそ、定義が難しいと感じました。
しかも、「外国人に日本語を教える」という視点に立つと、「野球は知らない」
という外国人は大勢いますし、「箸を持つ側」というのも、左利きの場合は、
勘違いされる可能性があります。

(私たち日本語教師は「右」をどう教えるか・・というと、言葉で説明せず、
体を使って「右」、「左」を見せるだけです。)

ちなみに、教授によると、「右の意味を調べてみる」というのは、自分に合った
国語辞典を探す時にも有効な手段
とのことです。
その説明が自分にとって「なるほど」と思えるものは、相性が良い辞書だそう
です。皆さんも機会があれば、書店や、図書館で「右」の意味を調べてみて
ください。面白いですよ。

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