現役日本語教師の日本語豆知識

あまり使いたくないテキスト

公開日:2016.06.01 更新日:2023.04.26

監修者の写真

監修者情報

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

職業柄でしょうか。
海外でしか手に入らない日本語のテキストを集めるのが趣味です。
自分で外国に行った時だけでなく、家族が、友人が海外に出かけたときにも
お願いして買ってきてもらっています。

先日、フランスに行った友人が日本語のテキストをお土産にくれました。
このテキスト、正直なところあまり使わないでほしい・・・と思うものでした。

まず、文字を教えるページ。
ひらがな カタカナ フランスのテキスト

「わを」、「ワヲ」って・・・。
いったいいつの時代なんでしょうか・・・。

さらに、例文も変なものがちらほら・・・。
例えば、
「どんな事があっても、ふたをお開けなさいますな。」
「いやだわ。私が呼ぶもんですかね。」
「私は苦しゅうございます。」
などなど・・・間違ってはいないのですが、今は耳にすることが少ない表現が
例文として挙げられています。

さらに、
母は子に薬をのませられる
って、シチュエーションとしてあまりないですよね・・・。
(子は母に薬をのませられる・・というのはよくありますが・・。)

数え方の練習では、
御座敷が一間
と・・。これ、覚える必要があるのでしょうか。

他にも、「一番目」「一つ目」などの「~目」の学習のページに
「八つ鰻」、「馬鹿」、「ひどい」など、明らかに「~目」とは
関係のない語彙が例として出ています。

挿絵も
テキスト挿絵 フランスのテキスト
といった意味不明な絵が・・・。
ウケねらいなんでしょうか・・・。


見るだけなら面白いですが、このテキストで日本語を勉強するのはやめてほしい
ですね・・・。

→ルネサンス日本語学院の法人向け日本語研修はこちら

この記事の監修者

監修者の写真

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。