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「隣」と「横」と「側(そば)」の使い分け

「~が ~に あります。/います。」という表現を教えるときに、
「位置」の言葉を教えます。例えば、「上」、「中」、「下」などのように。

その中で、教師の提示の仕方が悪いと、外国人が混乱する言葉があります。
それが「隣」、「横」、「側(そば)」です。

例えば、
A)私のにジョンさんがいます。
B)私のにジョンさんがいます。
C)私の側(そば)にジョンさんがいます。
といった場合、「隣」、「横」、「側」はどう違うのでしょうか。

「隣」と「横」と「側」。
実は、明確な違いがあります。

「隣」というと、自分のすぐ近くの位置を思い浮かべる方が多いかと思います
が、実は、近い・遠いの距離は問題ではありません。
例えば、「韓国は日本の隣にあります。」といった場合を考えてみてください。
「距離」で言うなら、日本と韓国は明らかに「遠い」はずです。
また、牧場が多い場所に住んでいる人たちが、「ちょっと隣の家まで行って
くる」と言って、車で移動する・・という映像をテレビや映画などで見たことが
ありませんか?
これも「距離」で言うなら、明らかに「遠い」はずです。
しかし、私たち日本人はこれらの場面で「隣」と言っても、なんら不自然さを
感じません。
つまり、「隣」というのは、自分から見て横列にある「第一障害物のある位置」であって、「距離」は関係ないのです。

では、「横」はというと、自分から見て左右の横線上すべての位置を言います。
「隣」とは違い、ある一点の場所ではなく、線上の全ての場所が「横」になり
ます。
また、距離も関係ありません。自分からどんなに遠い場所でも、それが横線上の
場所なら「横」
と表現できます。
(例)地図で見ると、日本の横に韓国と中国とアメリカがあります。

最後に「側(そば)」ですが、これは「隣」、「横」と異なり「距離」が関係
します。
側は自分から近い範囲(手が届くぐらいの範囲)の場所を表す言葉です。
しかし、「隣」や「横」と違い、横列ではなく、自分を中心とした360°の範囲
全てです。

「隣」、「横」、「側(そば)」。
簡単にまとめると、次のように表すことができます。

隣:図の赤丸の位置。横線上にある第一障害物のある位置。「点」の言葉。
横:図の緑の横線の位置。横線上の全ての場所。「線」の言葉。
側(そば):図の青い丸の範囲。自分から近い範囲。「面」の言葉。

人や建物が密集している場所に住んでいると、「隣」、「横」、「側」は
同じように感じてしまいがちですが、実は、こんな違いがあるんですね。

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