現役日本語教師の日本語豆知識

甘いコーヒー、酸っぱいコーヒー

公開日:2016.04.13 更新日:2023.04.26

甘い、辛い、酸っぱいなどの味の言葉を教えた時のことです。

味を教えるときは、実際に食べたり、飲んだりさせて、体感させながら
教えるのですが、「コーヒー」で「苦い」を教えるときに、ちょっとした
カルチャーショックがありました。

まず、最初はブラックコーヒーを飲ませて、「苦い」を体感させ、その後に、
コーヒーに砂糖を入れて「甘くなる」ということを理解させます。
通常は、ブラックコーヒーにスティックシュガーを1本入れば「甘くなった」と
学生は感じるのですが、インド人ではそうはいきません

インド人の学生たちは砂糖を2本入れても、3本入れても「苦い!苦い!」
騒ぎます。
砂糖を5本入れて、更に、ミルク(ポーションタイプのもの)を3個入れて、
ようやく「甘くなりました」
と言います。
私と他の学生たちが「それは、甘すぎるだろう・・・」と苦笑いしているのを
横目に、とてもおいしそうに甘くなったコーヒーを飲みました。
インド人は甘党が多いようです。

他に、こんなこともありました。
「先生、日本でコーヒーは苦いですか?ブラジルでは酸っぱいものですよ」と。
う~ん・・・。
確かに、日本でもコーヒーのセールスでは「苦味と酸味が・・・」と言います。
しかし、やはり、コーヒーは「酸っぱい」ではなく、「苦い」という日本人が
多いのではないでしょうか。

万国共通のように思う「味」ですが、その感じ方は国によって大きく異なる
ことがあるんですね。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。