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「~ている」は「~ing」ではありません
中学生の頃、英語の時間に「~ing」は「~ている」ですと習いましたが、
日本語教師になってから、「そんな単純なことではない」ということを
知りました。
皆さん、次の文の「~ている」について考えてみてください。
A)今、私はりんごを食べている。
B)今日、私は白いジャケットを着ている。
C)毎週土曜日にジムで運動している。
D)私は5年前に大学を卒業している。
これは全部「ている」を使った文ですが、A)~D)の「ている」は同じ意味
でしょうか?
うまく説明はできないけれど、この四つの「ている」は違う感じがする・・・
という方が多いのではないでしょうか。
日本語の「~ている」は、単純に「~ing」ということではありません。
実は、次のような意味があります。
① その動作が進行中であることを表す(例文A)
② 動作が行われた結果の状態を表す(例文B)
③ 習慣を表す(例文C)
④ 過去の経験を表す(例文D)
私たち日本人は、今、どの意味の「~ている」が使われたかを毎日の会話の中で
瞬時に判断しています。
しかし、日本語を勉強する外国人はそうはいきません。
では、どうやって教えるか。
「時間の言葉」に注目させます。
③の習慣の「ている」は毎日、毎週、毎月・・など「毎●」や「いつも」などの
繰り返しを表す言葉と一緒に使います。
(「ジムで運動しています」だけだと、日本人でも今進行していることか、
習慣か分かりませんよね。しかし、「毎週土曜日に」をプラスすると、
「習慣だ」と言うことがわかります)
④の過去の経験は「過去」ですから、「●年前」とか、「去年」と言った過去を
表す言葉と一緒に使います。
①は、「今進行している」ということをはっきりさせるために「今」を一緒に
使います。
②はちょっと特殊です。
例えば、「今、ジャケットを着ています」と言えば、ジャケットに袖を通して
いる様子をイメージしますが、「今日、ジャケット着ています」となると、
「ジャケットを着終わった後、その状態が続いている」ことを表します。
ですから、わざわざ「今日」などという「今」よりも長い時間を表す言葉を
入れますが、それよりも重要なのは、「ジャケットを着ました」⇒「ジャケット
を着ています」という流れを実演し、「今、着ています」とは違う意味である
ことを理解させることです。
他にも、「立つ」、「座る」、「結婚する」など動作そのものは瞬時に終わって
しまう動詞の「ている」はこの②の意味として使われることを理解させる必要が
あります。
(「私は結婚しています」というのは、今、婚姻届を出していることではなく、婚姻届を出した後の状態を意味していますよね。婚姻届を出す動作自体は瞬時に終わってしまいます)
普段、あまり考えずに使っている「ている」ですが、今週は『この「ている」は
どの意味なのかな?』ということを考えてみても、面白いかと思います。