現役日本語教師の日本語豆知識
「了解しました」と「承知しました」
公開日:2016.04.11 更新日:2024.08.29

監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
先日、友人がこんな話をしてきました。
最近、メールで「了解しました」という返事をよく見るんだけど、違和感を
覚えるんだよね。
上司や社外の人への返事に「了解しました」と使うのは、変じゃないかと
思うんだ。
さて、皆さん。
この友人の話について、どう思われますか?
確かに、「了解しました」は私もほぼ毎日見聞きするフレーズの一つです。
しかし、こんなに頻繁に「了解しました」が飛び交うようになったのは
最近なのではないかと思います。私も社会人になって、数十年が経ちますが、
以前は「承知しました」がよく使われていたように思います。
では、「承知しました」と「了解しました」は同じか?というと、
実は同じではありません。手元の辞書を見ますと。
「承知」・・・相手の依頼、希望、命令を聞き入れること。
(例)確かに承知いたしました。
「了解」・・・理解した上で承認すること。
(例)その件については了解済みだ。
とあります。
どちらも相手の話したことやお願いなどをわかって受け止めるという点では
同じなのですが、了解の方は「承認する」つまり、「認めて許す」という意味
があります。
ここで、はじめに書いたある友人の話に戻ります。
友人が言う違和感とは、「認めて許す」の意味を持つ「了解」を、上司や
社外の人に使うことなのです。
「了解しました」と「承知しました」。
最近は「了解しました」が主流(?)のようですが、「承知」と「了解」の
持つそれぞれの意味を理解した上で、上手に使い分けたいものです。
この記事の監修者

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。