現役日本語教師の日本語豆知識

たきのおトイレ??

公開日:2016.03.30 更新日:2023.04.26

ある日の授業のこと。
フィリピン人の学習者がこんな質問をしてきました。

学習者:「先生、たきのおトイレってなんですか?」
私:「滝のおトイレ???」

「滝のおトイレ」なんて、私も知りません。
トイレの水が滝のように流れるのでしょうか。
それとも、トイレによくある「流水音」のボタンを押すと、
せせらぎの音ではなく、滝の音でもするのでしょうか。

何のことだか全くわからないので、「そのトイレはどこにあるの?」と聞くと、
「駅です。駅のトイレのアナウンスで聞きました」とのこと。

そこで、ピン!ときました。
「たきのおトイレ」ではなく、「たきのう(多機能)トイレ」のことだと!!

「たきのう」の「う」は、文字にすると「う」と書きますが、
日本人は「のー」と伸ばして発音します。
ですから、フィリピン人の彼女は「たきのートイレ」→「たきのおトイレ」と
考えてしまった
のです。

その後、駅のトイレで「たきのートイレ」というアナウンスを聞くと、
「滝のおトイレ」を思い出し、一人思い出し笑いをしています。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。