現役日本語教師の日本語豆知識

「勉強したことにします」

公開日:2016.02.03 更新日:2023.04.26

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

1月のレッスンのある日のことです。
その授業では、「今年の目標」をみんなで発表する時間がありました。

「日本人ともっとたくさん話します」とか、
「JLPT N1に合格して、もっといい仕事を見つけます」とか
それぞれの目標を日本語で発表しました。

そんな中で、ネパール人の学習者が、
「私は毎日漢字を勉強したことにします!」
と宣言。

クラスメイトも、先生も「え?」っと目が点になりました。
「勉強したことにします???」
クラスがざわざわし始めました。

宣言したネパール人のディパックさんは、どうしてクラスがざわざわしている
のかわからない様子。

そうなのです。
彼は、「勉強することにします!」と言うべきところを、
間違って「勉強したことにします!」と言ってしまったのです。

「~することにします」なら、これからの行為についての決定・決意を表し
ますが、「~したことにします」となると、本当はやってないのに、やったか
のようなふりをする意になってしまうのです。

「~する」か、「~した」かの小さな違いですが、意味は大きな違いになって
しまいます。

ディパックさん!
もちろん今年の目標は「勉強することにします!」ですね。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。