現役日本語教師の日本語豆知識

ものは言いようで腹が立つ

公開日:2016.01.13 更新日:2023.04.26

この年末年始の休みの間にある本を読みました。

「ものは言いようで腹が立つ」
(監修:岩淵 匡/ 著:柴田 謙介/サンマーク出版)

という本です。
8年ぐらい前に購入して、読んだ本なのですが、ふと、読み直してみよう
という気になって、手にしました。

改めて読んでみると、面白い!
「なるほど!」と何度もうなづきながら、一気に読んでしまいました。

例えば、「しかし、」の使い方。

「連絡が遅れて、すみませんでした。
しかし、どうしても電話できなかったのです。」
というのか、
「どうしても電話できなかったのです。
しかし、連絡が遅れて、すみませんでした。」
というのかで
聞いている方の「腹の立ち方」は随分変わってきます

こういう文で比較すると、「しかし、」がどういう働きをする言葉なのか、
よくわかります。

他にも、
「今まで言わなかったけど」とか、
「前から思ってましたが」とか、
「ご存じないかもしれませんが」とか、
余計な前置きが、聞き手に不快感を与えるという例なども載っていました。

こういうのは、日本人だけでなく、上級レベルの日本語学習者に教えたら、
面白いかもしれません。

そういえば、私が以前教えていた学習者に「わざわざ」という言葉を
よく使う人がいました。

「先生、今日は私の国の料理を先生の為にわざわざ作ってきました」とか、
「先生、わざわざお茶を持ってきました。どうぞ」とか・・・。

彼は「わざわざ」の意味を勘違いして使っていたのですが、これを普通の日本人
が聞いたら、きっと「ムッ!」としますよね。


読み終わったあと、考えました。

学習者はこういう言葉や表現のニュアンスを知らないと、本人はそんなつもり
ではないのに、勘違いされることがあるのだろうな・・・と。

この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。