現役日本語教師の日本語豆知識

日本語の語順

公開日:2015.11.25 更新日:2023.04.26

図書館で面白い本を見つけました。
その名も「世界の中の日本語」(小峰書店)という本。
子供向けの本なのですが、世界の言語と比較しながら、日本語の特徴を考え、
日本語に興味を持ってもらうための本です。

その本にとても興味深い話が書かれていました。

それは、「世界の言葉の語順」というものです。

私たちの母語である日本語は「主語+目的語+動詞」という語順の言葉です。
しかし、英語を初めて勉強した時、英語は「主語+動詞+目的語」という語順
で、主語以下の語順が日本語とは違うことに「へ~。そうなんだ」と思った
のではないでしょうか。

更に、中国語、フランス語、ドイツ語などの言葉も英語と同じ
「主語+動詞+目的語」の語順なので、
日本語の語順は世界の言語から見たら、マイナーなのか」と考える方も
多いかと思います(私はそう思っていました)。

ところが!!!

世界の言語の50%弱は日本語と同じ語順なのだそうです!!!

ちなみに、英語と同じ語順の言語は40%弱
「動詞+主語+目的語」の語順の言語は10%弱、
「動詞+目的語+主語」のは約2%
なのだそうです。

つまり、日本語の語順は決してマイナーではなく、実は世界の主流!なのです。

びっくりしました!!!

ということは・・・
日本語と外国語は語順が違うから、日本人が外国語を勉強する時は大変・・・
なのではなく、むしろ、同じ語順の外国語に出会う可能性が高いのです。
また、日本語を勉強する外国人も、「あ!日本語の語順は自分の国と同じだ!」
と思う人が多いと言えるのでしょうか。

正直なところ、あまりそう感じたことは今までの人生でありませんが、
「語順」が外国語を習得する際の一つのポイントになるのであれば、
外国人が日本語を勉強する時も、日本人が外国語を勉強する時も、
ちょっと楽なのかもしれませんね。

◆◇◆ 本のご紹介 ◆◇◆
「世界のなかの日本語」全6巻(小峰書店)

子供向けの本のため、絵や例が豊富で、難しい専門用語を使わず、とても分かり
やすく「日本語とはどんな言葉か?」をまとめてあります。
1巻約50ページ程度ですので、ちょっとした時間に読める本です。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。