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「ここに ない」と「ここには ない」

ジョンさん:先生、この前日本人と話していたら
      「その本はここにはない」
      と言われました。
      でも、日本語のテキストには「ここない」と書いてあります。
      「ここにはない」と「ここない」は同じですか?

この質問は、日本語を勉強している外国人からよく出ます。

確かに初級のテキストでは「ここ ありません」と書かれているものが
ほとんどです。
しかし、実際の日本人の会話では「ここ ありません。」という時もあれば、
「ここには ありません。」という時もありますから、外国人にとっては「???」なのです。

では、「本は ここ ありません。」と「本は ここには ありません。」を
皆さん、どのように使い分けていますか?

「え~、そんなこと考えたこともない」という方は、次のように考えてみて
ください。

「本は ここに ありません。」と言われた時と
「本は ここには ありません。」と言われた時。
どちらの方が「じゃあ、どこに あるの?」と続けて質問したくなりますか?

こう考えると、ほとんどの方が「本は ここには ありません。」と言われた時
の方が、「じゃあ、どこに あるの?」と続けたくなるのではないでしょうか。
更に、そう続けて質問した時に、「さあ、知りません。」と答えられたら、
「え?!」っと戸惑う(シチュエーションによってはムカっとする?)のでは
ないでしょうか。

その皆さんの感じる感覚が
「ここ ありません。」と「ここには ありません。」との違いなのです。

「ここ ありません。」と言った時は、
単に『「ここ」という場所に「本」が存在しない』ということだけを伝えているのですが、
「ここには ありません。」と言った時は言外に「他の所にある」ということを
示している
のです。

ですから、「ここには ありません。」という時は、
「どこにあるか知っている」場合でないと使えないのです。

たった一文字「は」があるか、ないかでこんなにもイメージが変わってしまう
ということを考えると、助詞は日本語の中でとても重要な役割を担っている
のだな・・・としみじみ思うのですが、皆さんはどうですか?


◆◇◆ 次回(11/30)予告 ◆◇◆

ジョンさん:先生、質問があります。
新米先生:なんですか。ジョンさん。
ジョンさん:この作文ですが、私は「昨日 私は 田中さんに 会いました。」
     と書きましたが、
     先生は「昨日 私は 田中さんと 会いました。」に直しました。
     「田中さん 会いました。」と「田中さん 会いました。」は
     どう違うのですか?


さて、皆さん。
「田中さんに 会いました。」と「田中さんと 会いました。」はどう違う
のでしょうか。

答えは、また来週。

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