現役日本語教師の日本語豆知識

夜1時に会いましょう。

公開日:2015.11.11 更新日:2023.04.26

授業で「時間の言い方」を教えていた時のことです。
タイの学習者が「先生、私の国では、午後7時のことを夜1時と言います。」
と言いました。

そのクラスには様々な国籍の学習者がいたのですが、私を含めた全員が
「えええっ??夜1時???」
とびっくり。
時間に関しては、言葉としての言い方が違うだけで、世界共通だと思っていた
ので、みんな「どうして、7時が1時になるの??」とびっくり仰天。

タイの学習者曰く、
「世界の国は1日を12時間単位で分けますが、タイは6時間単位で分けます
だから、午後7時のことを夜1時と言います。」
とのこと。

しかし、この説明を聞いて、みんなから更に疑問が・・。
「では、タイでは1時が4回ありますか?1時に会いましょうと言われたら、
どの1時かわからない
でしょう?」
午後7時は夜1。では、午前1時は?午前1時も、まだ夜ですよ?」
と質問攻め状態に。

そこで、たどたどしい日本語で説明をしてくれたのですが、タイでは次のような時間の言い方になるそうです。

              【タイの言い方】
午前1時~午前5時  → 深夜1時~深夜5時
午前6時~午前11時 → 朝6時~朝11時
            (ここでは「朝1時」とは言わないとのこと)
午後1時~午後3時  → 昼1時~昼3時
午後4時~午後6時  → 夕方4時~夕方6時
午後7時~午後11時 → 夜1時~夜5時
午前0時と午後12時には特別な言い方があるそうです。

この説明を聞いて、みんなますます混乱。

「6時間単位なら、どうして、午前6時が朝6時なの?朝1時じゃないの?」
「結局、午前1時~午後6時までは同じなのに、どうして、夜7時以降だけ
変わるの?」
「6時間制なら、タイの時計の数字は1から6までしかないの?」
などなど・・・。

タイでも、職場や、テレビなどの時間は「12時間単位」で言うそうですが、
日常の会話ではもっぱらこの「6時間単位」の言い方を使うそうです。

う~ん。混乱しそうです・・・。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。