現役日本語教師の日本語豆知識

動詞の活用のルールは「五十音表」で説明できます(1)

公開日:2015.11.02 更新日:2024.08.29

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

先週の月曜日から「動詞の活用」を外国人がどう勉強するのかをご紹介して
きましたが、今日もその続きです。

動詞の活用は、外国人だけでなく、日本人の子供も苦手意識を持つ人が多い
ようですが、実は、あるものを使うとそのルールを簡単に教えることができ
ます。

その「あるもの」とは何か。
「ひらがな五十音表」! です。

日本でも、幼稚園や小学校1年生の教室には貼ってある「ひらがな五十音表」。
もっぱら、ひらがなを覚えるために使っていますが、これを上手く活用すると、
動詞の活用(五段活用)のルールが簡単に説明できる
のです。
(「五段活用ってなんだっけ?」という方は、前回10/28(水)のブログを
ご覧下さい)

では、私たち日本語教師がどうやって教えているのか。

こうやって教えています。

①動詞の 「辞書の形」の最後のひらがなは全て「う段」のひらがなである。
 (例)歌/書/話/立/死/読/座/泳/遊

五段活用の動詞は、
「動詞+ない」の形は辞書の形の最後のひらがなと「同じ行」の
 「あ段」のひらがなを使って作る

 (例) 【辞書の形】      【動詞+ない】
    書(か行・う段) → 書ない(か行・あ段+ない)
    話(さ行・う段) → 話ない(さ行・あ段+ない)
    立(た行・う段) → 立ない(た行・あ段+ない)
    死(な行・う段) → 死ない(な行・あ段+ない)
    読(ま行・う段) → 読ない(ま行・あ段+ない)
    座(ら行・う段) → 座ない(ら行・あ段+ない)
    泳(が行・う段) → 泳ない(が行・あ段+ない)
    遊(ば行・う段) → 遊ない(ば行・あ段+ない)
    歌(あ行・う段) → 歌ない(わ行・あ段+ない)※注1
(※注1)「●う」で終わる動詞は「あ行・あ段+ない」ではなく、
    「わ行・あ段+ない」となるルールがあります。

「動詞+ます/ました/ません」のは、辞書の形の最後のひらがなと
 「同じ行」の「い段」を使って作る

(例) 【辞書の形】        【動詞+ます/ました/ません】
   歌(あ行・う段) → 歌ます/歌ました/歌ません
             (あ行・い段+ます/ました/ません)
   書(か行・う段) → 書ます/書ました/書ません
             (か行・い段+ます/ました/ません)
   話(さ行・う段) → 話ます/話ました/話ません
             (さ行・い段+ます/ました/ません)
・・・「立」、「死」、「読」、「座」、「泳」、「遊」も
   同様のルールで作れますので、やってみてください。


このように五十音表の「行」と「段」の組み合わせで、動詞の活用を教えると、
外国人も簡単に理解できるのです。
(学習者の中には、「先生、動詞の意味は忘れたけど、活用だけは正しく
できるよ~」なんて言う人もいます...。)

もし、皆さんの周りに「動詞の活用が苦手」という外国人や日本人の子供が
いたら、この五十音表を使ったルールを教えてあげてください。
「おおおおお〜!」と感動されるかもしれませんよ。


◆◇◆ 次回(11/9)予告 ◆◇◆

今日は五十音表の「あ段」、「い段」、「う段」を使ったルールをご紹介
しましたので、次回は「え段」と「お段」を使ったルールをご紹介います。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。