現役日本語教師の日本語豆知識

昨日、私は「ねこ」を食べました。

公開日:2015.10.14 更新日:2023.04.26

ある日の授業のことです。

昨日、何を食べたかを学習者と私とで話していたのですが、
私が昨日食べたものを行った途端、あるアラビア語が母語の学習者が驚いて、
「ええっ!!!先生はねこを食べましたか?!?!」と質問してきました。

ねこを食べた。

皆さん、私が食べた物が何か分かりますか?
(もちろん、「猫」は食べていません!!)

実は、「にくを食べた。」と私は言ったのです。

それが、アラビア語圏の学習者には「ねこを食べた」と聞こえたようで・・・。

私の発音が悪いのか?とも思いましたが、他の学習者にはきちんと「にく」と
聞こえていたので、そういう問題ではないのです。

では、なぜ「にく」が「ねこ」になってしまったのか?

何でも、アラビア語には母音が三つしかなく、聞いた時に、
日本語の「い」と「え」、「う」と「お」の区別が難しいのだそうです。
だから、「N(にく)」が、「N(ねこ)」というように
聞こえてしまうそうなのです。

日本語に限らず、外国語を勉強する際には、自分の母語にない発音は習得が
難しいですが、「にく」が「ねこ」に聞こえてしまう・・・というのは、
日本で生活する場合、ちょっと大変だなあと感じました。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。