現役日本語教師の日本語豆知識

私の名前の漢字は・・・

公開日:2015.10.07 更新日:2023.04.26

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

日本で生活する上で、何かと必要になる「印鑑」。
外国人も日本で銀行口座を開いたり、何かの契約をする為に印鑑を作ります。

その時によく質問されるのが、
「先生、私の名前の漢字は何ですか?」
という質問。
漢字を使わない国から来た学習者からよくこの質問をされます。

もちろん、印鑑は「漢字を使わなければならない」というルールはないので、
「カタカナでいいじゃない?」というのですが、
「せっかく印鑑を作るのだから、日本人のように漢字で名前を書きたい!」と
いう学習者が、結構いるのです。

これには、正直困ってしまいます。
外国人の名前には日本語にはない小さい「ァ、ィ、ゥ、ェ、ォ」を含むもの
が多かったり
、「ミュ」とか「ジャ」とか 普段あまり語彙として使わないような音が含まれていることが多いからです。

例えば、「ジェイミー」という場合。
これに当てはまる漢字となると、難しいのです。
単に音と同じ読み方をする漢字を選ぶだけなら、「ジ」には「時・自・寺・・」
などたくさんあるので、簡単に選べますが、「漢字には意味がある」という
ことを知っている私たち日本人は「ジ」に「寺」を当てるのには、
その人が何かお寺に関係しているような場合以外は、ちょっと
ためらってしまうのではないでしょうか。

音と意味。両方を考えて漢字を選ぼうとすると、外国人の名前を漢字で書く
のは、本当に難しいです。
最近話題の「キラキラネーム」なんてレベルではありません。
それ以上です・・・。

ちなみに、この「ジェイミー」さん。
私が「ジェイミーさんの漢字は、無理!」と伝えたのですが、どうしても
漢字で書きたかったようで、自分で辞書で調べて考えてきました。
それが「侍影魅(じ・えい・み)」です(無理矢理・・・)。
何でも、彼は「侍と忍者」が好きだそうで、そのイメージで漢字を選んだ
とのこと。
う~ん。なんとなく伝わってきます・・・か?

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。