現役日本語教師の日本語豆知識

1ぽん、2ほん、3ぼん

公開日:2015.08.31 更新日:2024.05.27

ある日本語レッスンの1コマです。


ジョンさん:鉛筆が1ぽん、2ほん、3ぼん、4ぽん
新米先生:ジョンさん。「4ぽん」ではありません。「4ほん」です。
ジョンさん:4ほん、5ぼん
新米先生:ジョンさん。「5ぼん」ではありません。「5ほん」です。
ジョンさん:うわー!!! ぽん、ほん、ぼん」、分かりません

ジョンさん、困っていますね。
「ほん」なのか、「ぼん」なのか、「ぽん」なのか・・・と。
このような反応は、数え方の勉強を始めた外国人によく見られるものです。
そして、こんな外国人の反応を見た日本人も、「日本語の数え方は難しいよね」
と言います。

しかし、実際は・・・。
きちんとルールを教えてあげさえすれば、外国人の方は次の日にでも、
正しく使い分けることができるのです。


では、皆さん、この「ほん」と「ぼん」と「ぽん」。
どんなルールがあるか考えてみたことがありますか?
こんな質問をすると、「え~。なんだろう・・。」と戸惑う日本人は
とても多いです。


実は、この「ほん」、「ぼん」、「ぽん」にはこんなルールがあるのです。

1・6・8・10 + 
2・4・5・7・9 + 
3 + 
更に、

「ぽん」につながるときは、
その前の数字の最後の音を小さい「っ」に変えます

1(い)・6(ろ)・8(は)・10(じゅ)+ぽん

というように。


皆さん、どうでしょうか。
普段、意識せずに使っている日本語は、こんなにも論理的なルールを持っている
言葉なのです。
自分の母語を改めて見つめ直すことは、驚きと同時に、とても楽しいことだと
思いませんか?
今週は皆さんが使う「数え方」の言葉にどんなルールがあるのか、考えてみては
いかがでしょうか。
きっと、面白い発見があると思います。


◆◇◆ 次回(9/7)予告 ◆◇◆

ジョンさん:先生、「ほん・ぼん・ぽん」のルールは分かりました。
      でも、まだ分からないことがあります。
      日本人は、「フィンガーチョコレート1本、チロルチョコ1個、
      
ガーナチョコレート1枚」と言います。
      どうして、同じチョコレートなのに「1本、1個、1枚」と
      変えるのですか

新米先生:ジョンさん、それはですね・・・・。

さて、皆さん。
私たち日本人は「本、個、枚」をどう使い分けているのでしょうか。
考えてみてください。

答えは、来週月曜日に!

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。