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言葉が通じないストレス

日本語教育とは全く関係のないあるTV番組で、興味深い実験をしていました。
それは「人間が感じるストレス」を測定する実験。

ロシア語が全く分からないAさん、Bさん、Cさんの3名(日本人)が、
ロシア語の歌しかないカラオケボックスでロシア人と1時間一緒に過ごしたら、
どのぐらいのストレスを感じるか?という実験で、
次のように、少しずつ3人の条件を変えます。

①Aさんは1時間ずーっと黙ってロシア人たちのロシア語の歌を聞いている

②Bさんは時間ずーっと黙って、お菓子を食べることで現実逃避し
 ロシア人たちのロシア語の歌を聞いている

③Cさんは、意味や単語が分からなくても、とにかくロシア語の歌を口真似して
 ロシア人と一緒に歌う

というものでした。

結果は、

ただ黙って聞いていたAさんのストレスは最高レベルの5
(これは肉親を亡くした時に感じるストレスと同じレベルだそうです!)

お菓子を食べることで現実逃避していたBさんのストレスは3

そして、わからないけど、とにかく周りに合わせて声を出していた
Cさんのストレスは2

(これは通常私たちが日常生活で感じるストレスと同じレベルだそうです)

という大変興味深いものでした。

このAさん、Bさん、Cさんの置かれてい状況を、日本で生活している外国人に
置き換えてみると、彼らが「言葉」に関して、どんなストレスを感じている
のか、イメージができます。

何より私が驚いたのは、Aさんのストレスレベルです。
言葉が分からない環境で何も話さず黙っているというのは、肉親を亡くした時に
感じるのと同じストレスの高さとは・・・!!


たまたま見たTV番組だったのですが、日本語を教える立場の私にとって、
大変参考になるものでした。

私たち日本語教師は日本語を教えるとき、
常に学習者の言語能力の範囲」で話し
教師と学習者の言葉のキャッチボール(「質問‐答え」の繰り返し)」を
しながら
授業をしています。
全くのゼロの段階でもとにかく教師の口を真似させて、
学習者たちに発声するように促します

このTVをみて、どうして直接法の時に、そういう指導法が必要なのかを
改めて理解しました。
同時に、「言葉」というのは人が生活していく上で、とても重要なものなのだと
しみじみ思いました。

日本で生活する外国人に日本語を教えることは、このストレスから彼らを
開放してあげることにつながる!と言ったら、大げさでしょうか?

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