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日本語教師ってどんな仕事?第16回 日本語は本当に難しいのか?
「日本語教師をしています」と日本人に話すと、よく返ってくる反応が、
「日本語って難しいですよね~」というもの。
正直なところ、この反応には戸惑ってしまいます。
「そうかな・・??日本語って、本当に難しいのかな?」と。
日本語教師であり、フランス語教師でもある野口恵子さんが、ご自身の著書
「かなり気がかりな日本語」(集英社新書)でこんなことを書いています。
「日本語が難しい」というのは神話である。
(以下、本文から引用)
「日本語が難しい」というのは、一部の日本人が信じている、あるいは
信じたいと思っている神話の一つである。
(中略)
「外国語としての日本語」という視点から母語を眺めたときに、それまで
知らなかった、というより意識していなかった日本語のしくみに目を開か
されることはありうる。その感想が「日本語は難しい」「日本語は奥が深い」
ではあまりにも短絡的だ。
(中略)
また、まことしやかに伝えられる「日本語は世界で一番難しい言語」という
虚妄を信じることは、たとえ本人が意識していなくても、
「外国人にはこの奥深い日本語をマスターすることは到底無理だろう」という
優越感の裏返しである。その証拠に、
外国人学習者は「日本語はそんなに難しくない。(後略)」と話す
(中略)
この「難しい」という形容詞は、十分に理解しているつもりだったことを
実はよく把握していなかったとわかったショックから出た言葉であり、
一種の照れ隠し、もしくは責任転嫁ともとれる。
う~ん。同感です。
日本語教師になる前、そして、日本語教師の勉強をしている時、
何度も「日本語は難しい」と思い、口にしました。でも、そういう時は
確かに「日本人なのに答えられなかった自分への照れ隠し」が多分にあった
と思います(今でも、「難しい」と思うときは、そういう心境の時です)。
実際、私の教えてきた生徒たちも「日本語は簡単」、「英語よりはるかに簡単」
という人は多いです。
日本語教師は、この「難しい」という言葉に表現される「自分自身への言い訳(?)」をせず、「外国語としての日本語」を考えていくことが、求められる
のかと思います。