現役日本語教師の日本語豆知識

日本語教師ってどんな仕事?第15回 「なぜ?」を考える習慣が必要です。

公開日:2015.07.27 更新日:2023.04.26

監修者の写真

監修者情報

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

「日本語教師」という言葉を聞くと、外国とのつながりが多く、
日々、外国人に囲まれた生活・・という華やかなイメージを
持つ方も多いようです。

しかし、実は日本語教師は地味な仕事です。

とはいっても、教室の中や、学習者とのコミュニケーションの場で
地味にしているということではありません。
むしろ、そういった場面では、「楽しくて、華やか」な仕事です。

では、どんなところが「地味」かと言うと、
教壇に立つための準備をしている時間が大変地味なのです。

どういうことか?
それは、「日本語」について
ひたすら「なぜ?なぜ?なぜ?」と自問自答する作業が求められるからです。

新聞のとある記事によると、トヨタ自動車では「なぜ?を5回考えること」が
求められるそうですが、日本語教師も同じです。
自分が教えようとしている日本語について、常に「なぜ?」を考えることが
要求されます。
それは、
その「なぜ?」は、外国人が日本語に対して感じる「なぜ?」だからです。

この「なぜ?」を考える作業。
はっきり言って、根気が要ります(泣)。
まるで、禅問答のようです・・・(涙)。
大抵は、辞書に答えは書いてありませんし、参考書もほとんどありませんから、
自分でどうにかするしかないわけです・・・。

しかし、そこで諦めて「昔からそう言うの!」と投げ出してしまうことは、
「外国人の立場になって日本語を考えることを投げ出すこと」に繋がります。
つまり、そうなったら「日本語教師」ではなく、ただの「日本人」だという
ことです。

日本語教師を目指そうという皆さん。
このなぜ?」を考える習慣を大切にしていきましょう!!

→ルネサンス日本語学院の法人向け日本語研修はこちら

この記事の監修者

監修者の写真

松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。