現役日本語教師の日本語豆知識

漢字の勉強方法

公開日:2015.07.01 更新日:2023.04.26

日本語を勉強する外国人にとって、大変なものの一つに「漢字」があります。
特に、非漢字圏の学習者にとっては「漢字は絵」にしか見えないそうで・・・。

でも、避けて通れない「漢字」ですから、教える方も色々と工夫しています。
例えば、
・絵と漢字を関連付けさせる(山の絵から「山」を導くなど)
・偏と旁をバラバラにしたカードゲームをする
・日常生活でよく見る漢字から教える
などなど、本当に涙ぐましい(?)努力を教師もしています。

そんな毎日の中で、突然、漢字がよくできるようになった学習者がいたので、
「どうやって勉強したの?」
と聞いたら、

カラオケで勉強しました。」

との答え。

「え??カラオケ??」と固まる私。

彼女曰く、
「カラオケを歌うとき、テレビに漢字がたくさんあります。
でも、その漢字はすぐ消えてしまいます。
だから、私は漢字を覚えて、カラオケで早く読む練習をしています。」
とのこと。

「私たち教師の努力は・・・」とがっくりしてしまいましたが、
よくよく考えると「それは面白い方法かも!」と納得できました。

他にも、
筆ペン」をあげたら、急に漢字ができるようになった学習者たちも。
(これ、結構多いんです)

彼らに言わせると
「筆ペンで書くのが面白くて、たくさん書いていたら、覚えた。」
とのこと。
(またまた、教師は「え?そんなこと??がっくり・・」です)

学習者が漢字に興味を持って、楽しく練習し、覚える方法は、
私たち教師があれこれ工夫するより、
もっとシンプルなものなのかもしれない・・・と思うこの頃です。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。